[変更済]MISSION 14 :彼女らはロイヤル
さて、新しいeX-Wパーツ『FCSコンピュータ』が導入されたので、試しに使おうということでその場に居合わせた同業者のみんなと、模擬戦闘の出来るアリーナステージを借りることにしました私こと、傭兵系美少女の大鳥ホノカちゃんでした。
が、なんとインペリアルの正規軍の凄い人々が同じ場所を借りたいという事でダブルブッキング!
と思ったら、向こうが報酬付きで一緒に演習に付き合って欲しいのだとか?
「てなわけできちゃったわけだ」
────私達の街、ヨークタウンの海に浮かんだ人口の島、
インペリアル
ここは、企業連合体トラストがインペリアルの財政破綻時の担保のために使用権が半分譲渡されてて、
そこにずらりと並ぶは、インペリアル正規軍の赤いカラーのeX-W達と、
足元に同じく並び立つ、正規軍の皆様だ!
なんか……私と同じタイプの装甲型パイロットスーツなのに迫力が違う!!
「久しぶりだな、皆」
「あ、フィリアさん!」
「あんたも活躍しているみたいね」
「アウローラちゃんまで!」
でも見知った顔が二人いた!!
依頼を持ちかけたり、共闘したりしたインペリアルの軍人というか、騎士さんたち二人じゃん!
「再会の挨拶もそこそこですまないが、今回ちょうどお前がここを借りたいと聞いて無理をさせてもらったのは他でもない。
私も参加することになったこの『ロイヤル』の演習と訓練のためなんだ」
「参加……?」
「まずは、我々ロイヤルの長であり、我が国の元帥閣下ならびに、大将殿の紹介を」
「───お前が大鳥ホノカか!
噂は聞いているが、案外普通だな!」
と、なんだかずいずい来る意外と綺麗で長身の女の人が。
「あ、どうもはじめましてー……なんかこっちがブッキングしたのに依頼料までいただいて使わせてもらってすみませんー、大鳥ホノカですー」
「ほう、脳ある鷹はなんとやらか。
おっと、すまんすまん!私は、ロイヤルの今は隊長職をしている、ネェロ・インペリアル3世という物だ!」
「あ、どもですー」
ニッコリと笑って握手求められたので握手ー……ってなんかフィリアさんとかの視線が痛い!?
「…………お前、目の前のお方が現在の皇帝陛下の母君なのを知らないでいられる脳が羨ましいぞ?」
「え!?」
「フィリア!そういう堅苦しい事はよすのだ!
所詮私は、父上にわがままを言って即位しなかったバカ娘よ!
まぁ、我が息子が頭が良かったのが幸いだがな!」
え、じゃあめっちゃ偉い人じゃね!?
どーしよ、失礼……だったかなやっぱ……!?
「───お母様!あまりそういうお戯は、民を混乱させますわよ」
「ましてや、お年をお考えになっては?ネェロ様ったら」
と、何やら聞き覚えのあるが追加で二つ!
やってきたのは……!
「あ、アンネリーゼさん!」
「あらどうも」
「後……前に一緒に戦ったお姫様!」
「エカテリーナですわ。意外と覚えにくい名前かしら?」
「それと……??」
そして、二人に押されている車椅子の上、
綺麗なメガネのおばあさんが、かっこいいキラキラ装飾の軍服を着て座っている。
「……こちらも偉い人だったり?」
「ああ、紹介するわね?
こちら、私のお婆様の妹、大叔母様にして、」
「わたくしのお婆様。つまりそちらのお母様のお母様であり、前皇帝であるお爺様の妃であり、
このロイヤルの創始者、我が映えあるインペリアル
ティーリエ・インペリアル、前王妃殿下で、」
「長い説明は、理解していない顔だね。
まったく、あのアンジェそっくりのおとぼけ顔だ……フフフ」
え!?
今……私のおばあちゃんの名前を言った!?
その偉いお婆さんは、私を手で呼んで近づけさせる。
私を下から覗き込む顔に、どこか遠くを見る様な目と笑みを浮かべている。
「……不思議だけど、似てないのにそっくりだ……
50年前、ぼ……私と姉様と何度も戦い、何度も背中を預けたあの傭兵と……
そっくりの……『アホ面』で……!」
酷い言われよう、何だけど……
その目に少しだけ、涙が溢れているのを見ちゃうと、何も言えない。
…………おばあちゃんさぁ、交友関係隠しすぎじゃん……
「……まぁ、後は傭兵としての腕に期待だね。
ロイヤルは、対アンジェのために作ったと言っても過言ではないのだから」
「おばあちゃん相手に……?」
「───
それは、車椅子のおばあさんが出していると思えないシャンとした声だった。
「ロイヤルは、精鋭部隊を作るための精鋭。
戦技教導を行うための戦技を作り上げる、我が軍のeX-W戦闘のためのプロ、賢者であり猛将とも言える『
今、度重なる戦禍と各勢力の暗躍により弱体化してしまった我らインペリアルリッターオルデンの立て直しのためにも、
ボクと……じゃなかった私が鍛えた娘達が選んだ人間とを集めて再びロイヤルを結成し、地球より贈られた新たな力の使い方と真価を学び、物のするために今日馳せ参じた」
おっと、とティーリエお婆さんが口を押さえる。
一人称、ボクなんだ……
「……さて、詳しい依頼内容を話そう
何も、そこの懐かしい旧友の孫がいたから呼んだわけではないんだ。
君たちは、
我らロイヤルとの意見交換、演習できっと良い刺激になってくれる。
まぁ、演習の時は皆そちらを的にするつもりで襲いかかる気ではあるけれども。
だが、もし逆に的にできると思うなら、存分にぶち当てて欲しい。痛くなければ覚えないだろうからね」
「……なかなかオモロい事言うわな、元帥のお婆さん?
聞いたか、全員?ウチら的にされるんやって?」
「リンちゃん」
いつも通りの軽口叩けるのすごいな……一応相手偉いお一人だよ?
「まぁ、ワシらは、言わば金に跪くようなプライド無しの
住みやすい湖、割りのいい仕事に就くけぇの。
んで?まさか、FCS導入後の慣らしついでの練習試合の的役小遣い稼ぎ、程度の金でやる範囲なんけ?」
「───元帥閣下相手に即座に金の話か、下衆な」
「ちょっと」
キリィちゃんの言葉に、いかにもエリートですなって感じの女の人の嫌味と、あのアウローラちゃんが諌めるという、前の印象からだいぶ変わった感じの場面が流れる。
「そうだね……ま、報酬は一人12万cnでどうだろう?
もちろん、我々の提示した戦技開発プログラムをこなした上で」
「はい、私は文句はなしです!
みんなはどう?」
「ウチはOK!」
「文句なしじゃ」
「助かる金額……!」
「新人なんだけど、運が良かったのかもしれない金額かも」
「ま、文句を言えるほどでもない」
ふふ、と車椅子の上で笑うティーリエさんは、指を食いって動かして、さっきの偉い女の人を呼ぶ。
「ではネェロ、ロイヤルの皆の準備を。
いつも通りに指揮を頼む」
「もちろんだ母上!おっと……すみません元帥閣下。
ではロイヤルの諸君、気合を入れていくぞ!」
『了解!!』
と、ネェロさんって言う偉い将軍さんがこっちを再び向く。
「でだ。
なんて、質問と共に、向こうの精鋭の皆さんが一斉に鋭い視線を……なんだろ、値踏みというかそんな感じー。
「……いい案ある人おるけー?」
リンちゃんの言葉に、少し考える。
「……じゃあ、素人考えでも良いですかね?」
と、まず手を挙げたのは、手が多いとかは関係ないけどイグさん。
「レプリケイターの傭兵か……!
トラストも節操がない」
「おかげで本職の任務も楽ですがね。
そうそう、本職といえば、まずこの新しい機能の特性を一番把握している人物の意見を聞きつつ、実機を動かすがセオリー通りかと。
どうでしょう、大将閣下?」
「待て。我々がその一番把握している者になろうというのに、いったい誰に聞く?」
「あ!そいうことか!!」
イグさん、冴えてる!!
そうだよ、それでこそ私達より詳しい人なんているじゃんすぐ近くに?
「どういうことだ?」
「そりゃ、機体を動かす人で詳しい人は私達だけど、
整備と、開発元なら、」
「───呼んだー?」
呼びましたー!
カラカラと台車の上にFCSコンピュータを乗せて、
プロの整備屋、後たしか地球では企業勤めだった人、
ソラさんと、助手みたいな位置にいるユナさん登場!!
「……!」
流石に後ろの人々も驚く。
そして、ネェロ将軍さん?と後ろのティーリエさんもフフ、と笑ってくる。
「根回しで一本取られたな。
それもそうだ、戦う者だけが詳しいというわけでもない」
「お初にお目にかかりますー、マッコイ商店の新美ソラでーす。
ま、これでも地球育ちなんで、FCSは一通り全部の知識も整備経験ありますんでー。
早速何でアレですけど、2機だけそちらの部隊の機体、借りてもいいですかね?」
あらら、何する気だソラさん?
***
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