[変更済]MISSION 13 :アップデート入りました
任務で油断してぶった斬られて入院していた傭兵系美少女の大鳥ホノカちゃんこと私、
退院後、早速機体の確認しに、同業者なお友達達とマッコイ商店へゴー!
てなわけで、なんだか確認して欲しいことがあるらしい整備担当のソラさんと共に、いつものガレージに愛機を迎えに行くのでした……
「ああよかったソラさん、言われた箇所で分からないところがあるのですが?」
ってあれ?知らない人だ。
しかも全身真っ赤な赤い肌だし白目が黒の3つ目だし、4腕の角付きってことは、レプリケイターの人じゃん!
しかもツナギに汚れたTシャツは整備中スタイル!
「あ、オケオケ今見に行くわー」
「驚いた。何すかマッコイさん、人件費キツイ言ってたのにバイトちゃんっすか?」
「バイトちゃんと言うより、ボランティアなのよ」
「ボランティアぁ?」
ユナさんの言葉はまさに周りの私達とおんなじ感想!
「ははは、いえこちらも自機が使う機体のことを知るのも『任務』ですので。
『
と、そのレプリケイターさんは軽く敬礼してこちらに向く。
「どうも皆さん初めまして。
イグ・フロスト。蒼鉄王国の少尉です。
同時に、こちらでも
一応は、Bランクです」
「おー、イグさんね。よろしくー、私大鳥ホノカー」
とりあえず、名乗られたら名乗らなきゃ失礼だね。
イグさんね。こっち苗字だっけ??
「あなたが……ふふ、我が国の歴史の教科書に今後載るであろう名前の一人とあえて光栄ですよ」
「え、私そんな有名人??」
「我々と初めて会った人類ですからね。
それと、こちらの傭兵の皆様も名前や機体は調べさせてもらっています。にしても、いわゆるランキング制度ですか。上からともなると顔も最初に見る方ばかりだ」
ちらり、と他のみんなの顔も見るイグさん。
ふと私も後ろ見ると、驚いている様な面々と違って……
「ほー、殊勝な方でんなー?
ほなウチのことも丸わかりっちゅーことですか」
「…………ふぅん?」
予想通りというか、内面が読めるネオとシンギュラ、そうつまりリンちゃんルキちゃんちょっと怖い顔。
この物腰は柔らかい人の、裏がよく分かるね二人を通してだと。
「おっと、噂の読心という物ですか。
聞いていた話では、表層的な物限定と聞きましたがね」
「アンタね、隠し事多すぎて怖いわよ。
そのくせ嘘とも言えない微妙な言い回、イタタタ!?」
「ルキちゃん、一つだけ注意。
心読んでもいいけど、言葉遣いは丁寧語!」
もー、この子の親の顔見てみたいー!
…………一番近いの私のお母さんか、あの時死んだこの子たちシンギュラ・デザインド作ったおじさんじゃん!!
「もぉ!そんな理由で話の腰折らないでよ!」
「いや、ルキちゃんの顔で流石のアホの私でも、なんとなくヤバい裏がある相手なのは分かるよ。
あのね、そんな人をわざわざ敵に回す態度取らないの。
まして、こうして丁寧に対応してくれるってことは、ヤバい裏がある人だけど礼儀ははあるってこと。
失礼働いていい理由にならないの。分かった?」
ぶー、と言うルキちゃんをはい頭下げさせて、とりあえずごめんなさい。
「ごめんなさい、ウチの子が」
「いえ、気にしては。
まぁ、たしかにこちらも『任務』あっての単身ここへという立場なので、どこまで読んだかは知りませんが、まぁおおよそ『そういうこと』なので」
含みが多いねぇ……全部わかるわけじゃないけど。
とりあえず、綺麗な顔をぶー垂れてるルキちゃんを話してあげて、改めてイグさんに向き直る。
「……ところで、本題に戻るついでにあなた方の意見も聞きたいことが」
あ、そう言えば、ソラさんに用だっけ?
「FCSのこと?」
「えふしーえす?」
FCS……
「そうそう、これ君らも関係あるしね。
見せてあげるしついでにみんなにも教えておくから、ちょっと待ってて……」
そう言ってソラさんはどこかへ行って……
「お待たせー」
ガラガラと台車を押してやってきて、
持ってきたのは……
「…………これゲーム機か何かですかね?」
それは、なんか四角くてでかいのとか、薄いやつが二つ並んでたり、いろんな形があるけど、
印象は、そうテレビにつなげて遊ぶゲーム機みたいな物達だった。
Xなボックスだったり、プレイするステーションな何世代目かとか、小さいのだとなんかスイッチな奴……
「あながち間違いとも言えないかな。
これね、FCSコンピュータユニット。
eX-W用のね?」
「え?
FCSコンピュータユニット!?」
流石にアホの私でも驚く。
《FCSって、頭部パーツ依存じゃ?》
肩にのってるコトリちゃんのいう通り!
確か、eX-WのFCSは、頭部パーツ依存だったはず。
「それがね、頭部パーツ自体も多機能化と高度なAIユニットを積む事に地球では20年前の『地球企業連』での次世代兵器改修計画で決まっちゃっててさ、もう地球の機体は全部────地味に、今もまだ工場から帰れないホノカちゃんの
火星はまだ、オプションパーツでのFCS調整で良いとも思ってはいたんだけど、クオンお姉ちゃんがね……なかなか無茶な納期で数日前に会議採決、現場の技術屋はこうやって悲鳴あげながら今ある機体の全改修をしてたんだよ」
どす、どす、とそのゲーム機みたいなFCSコンピュータユニット達を次々と並べていくソラさん。
「ただ、トラストもなかなか太っ腹でね。
初回導入FCSは、一個だけ傭兵にタダで好きなの配るってさ。
もちろん、そんな配りをやったお店にも補填入るから、キツネお姉ちゃんも私も懐は痛まない」
「お店ではマッコイと呼びなさいな、ソラちゃん」
おぉ、とこの会話で思わず私以下同業者なお友達
タダ!無料!代金は相手持ち!!
やっぱ欲深い我々
「……で、その上でソラさん、パーツのプロの聞きたいことが」
と、イグさんがおずおずと下の細い方の右手を挙げて言う。
「ホイホイ何さ?」
「クイックロックタイプと、ワイドアングルタイプの違いとはなんですか?」
………………
『あーーーーーーーーーーーー!!』
これは一同、わかりみが深くてめっちゃこんな声しか出ない質問だった。
分かるよー、分かるよー。
「……?
クイック、なに?」
そんな中、まさかのルキちゃんが分かってない顔を見せる。
「…………コトリちゃん、プロの解説よろ」
《どうせそんな役回りだと思ったよ》
私の頭の上にコトリちゃんがよじ登り、ルキちゃんと、ついでに何かを察したイグさんがよってくる。
《あのね、まずFCSって大別すると3つのタイプに別れるって知ってた?》
「いえ……頭部で依存してるから、頭部によって違うって」
《まぁ、企業によってなんのパラメータを重視するかは違うけど、地味に同じ社でもFCSは結構タイプ別があるんだ。
まずは、クイックロックタイプ。
いわゆる『高速標的選定型』で、これが基本だね。
FCSが『高速処理』を得意としているから、1次ロックが早くてその分2次ロックも速いタイプだ。
そもそも機動兵器と言われるぐらい、運動性能や俊敏さが求められるeX-Wではこれが基本のタイプだね》
「はぁ……」
ちなみに、いつものO.W.S.から安定のバーンズアーマメンツ、リボルバーリバティーなんかの実弾兵器の強いところは基本このFCSタイプだったりするよ。カチューシャクラートも基本はこれ。
《クイックロックタイプはロックオンからの射撃時の機体の調整のための処理が速いけど、高速処理をするために情報を制限している部分があって、ある程度の射程や斜角、つまりロックオン範囲を限定してしまうんだ。
機体の運動性能が高くて旋回性能充分あれば気にはならない……とも言いたいけどロックオン範囲って速度が乗ると逆に狭まるから、旋回が高すぎると少しキツイかな。
でもバランス型が多いから基本はこれ》
「実際私もよく使うよ」
《そして、もう一個のワイドアングルタイプ。
並列処理型の2連演算方式で、ロックオン距離をある程度犠牲にして『ロックオン可能な範囲』を上げた物だね。
主に超高速、超旋回戦を前提にしたアヤナミマテリアル系頭部とか、私の魂の場所O.W.S.社製の頭部に多いタイプだ》
「ちょっと待って!
高速機なら、クイックロックタイプじゃないの??」
うん、ここがね、アホの私もすっごく難しい話だなって思ったところ。おんなじ事コトリちゃんに言ったし、周りもそう。
《ワイドアングルタイプはね、高速機の戦闘としては中距離じゃなくて『近距離・近接距離』を主眼に置いているんだ。
さっきも言ったけど、高速処理じゃなくて並列演算、まぁつまり動作が早いコンピュータじゃなくて2個のコンピュータが同時にお仕事してくれるから速いって奴なんだ。
だから広い範囲はカバーできるけど、反面並列でも情報が多くなるから基本は遠くは狙えない。
ただ処理が速いのは割と事実だし、作ってる会社が会社なせいで、クイックロックタイプの発展っぽく感じることも分かる。
ただ、間違えちゃいけないけどあくまで近距離での反応がメインなんだ。
ワイドアングルタイプは、他二つより一歩短い距離で戦うためにあるって考えておいた方が無難かな》
ちなみに、近接機といえばのアヤナミマテリアル、やっぱりO.W.S.はこのワイドアングルタイプFCS頭部はあったし、意外にもレイシュトロームからAI社なんかのエネルギー兵器使っているところとか、さらにはシンセイスペーステクノロジー製の頭もミサイル適正の都合上これだったりするよ。
「なるほど……?」
「…………やっぱ、いつかのスパルタ訓練見たくここは、使ってみた方が分かるんじゃね?」
《まぁ、そりゃそう》
「……して、3つ目は?」
と、イグさんまた丁寧に片手を上げて問いかけてくる。
《3つ目は、ロングレンジタイプ。
いわゆる長射程、豆サイトな奴だね。
地味にここのホノカちゃん大好きサイト。
君あんな豆でよく狙えるよね??》
「良いじゃん、ロックオン時間案外短いんだから」
《私は、一番嫌いなFCSです!!
機動兵器のeX-Wがねぇ、とっさに近づかれたらロックできなかったりする様なFCS積むのは反対!
でもなぜか需要がある……いわゆるチキン狙撃戦とか、長距離の狙撃戦とかでね。
でも、クイックロックタイプもワイドアングルタイプFCS頭部にも射程がある奴だってあるし、ロングレンジタイプの射程は過剰だと思うんだよね……
まぁだからこそ今回のことは良かったかもね。
何せ、どんな頭部でも、より適したFCSが選べる》
あー……それもそうか。
私の大好きな、遠距離攻撃といえばな大和重工がメインに、AI社とそして安定のバーンズアーマメンツも一部頭部に使うこのタイプ。
豆サイトって言われる正面ロックオン範囲の代わりに、その中なら即座にロックオンして撃てるし遠くでも当てられる。
余計なロックがされないのは私は好きだけど……
でもコトリちゃんのパーツ選択は正確だ。
私のわがままと実際あった方がいい性能の間でちょうどいいのを選んでくれるし、
たしかに……本当にちゃんとした頭部との組み合わせもできるし、FCSは変えられる方がいいか。
「でも、やっぱ分からなくなるわね。
聞く限りだと、FCSのカテゴリーはあってもその種別で必ず分けられるわけじゃないのでしょ?」
……たしかに。
「やっぱり、そう言う時は……売ってる企業の性格というか……思想を考えた方がいいかも」
「……なるほど」
「…………まぁ実際、使ってみなきゃ分からないよね。
……ソラさん、他に変更点ってある?」
「……結構あるね……」
「…………ねー、マッコイさん、出張整備頼んでいい?」
「あら、900cnいただきますわよ?」
「それで済むなら……いいか。
よし、ルキちゃん今からどっか空いてるアリーナスペースでも借りて、FCSを体感しよう。
ソラさん、それでいくつか試して選んでもいいよね?」
「なるほど……ま、どのみちしばらく市場に出るFCSは地球での高級な奴じゃないし、
それにユナちゃんにもFCS取り付け練習させたいしいいか」
「ま、強化したての体慣らすには丁度いいっすね!
マッコイさん、トラック借りるっす!」
よし、じゃあそれで行こう!
私も新パーツカテゴリのFCSが出来た後の性能とやらを試したいし。
「あ、せやったらウチらも金出すし便乗させてーな!」
「それもええの!
ワシも便乗する。マッコイさん、ええか?」
「あら、じゃあ一人900cnですわ」
「「一人頭かーい!!」」
「…………まぁ、私も強化後の感覚掴みたいし、やりまーす」
「……となると、仲間はずれとでもいう状況は避けたいですね。
私も一応は
「おー、大人数大人数!
ところで、ソラさん私の手術前と機体の状況は同じ?」
「うん。
アルゲンタヴィスも前の火星トラストへの大規模襲撃でまだ工場だし、出せるのは3機だ」
「つまり、
《『オルニメガロニクス』だけやでー》
と、リンちゃんとは違う声の関西弁が響く。
見ると、静かに歩いてきたのは、『声の主』を抱えた私に頼れる美人アンドロイドなオペレーターさんであるカモメちゃんと、
「ホノカさん、遅くなりましたが退院おめでとうございます」
《よ!ごくろーさん!》
その手の中の『声の主』、
「セヤナちゃん!戻ってたんだ!!」
前の納骨式で、偶然手に入れちゃったコトリちゃん、イオちゃんと同じ3頭身チビロボAI、もといウェザーリポーターのセヤナちゃんだ!
《やー、参ったでほんま。
頭の中1億テラバイトぐらい情報抜かれてもーたの
そんでな、人格データだけおニューのボディーに移し替えやもんなー。
重要証拠の女は辛いで?》
《1億テラバイトも容量ないでしょ》
《かーっ!相変わらずキッツイお人!
おひさー、言うても毎回会っとる個体もおるか》
《なんでこんな騒がしいの拾ってくるかなホノカちゃんはさー??》
と、気さくな挨拶に、デフォルメで表情が変わらないはずの顔を見事に嫌そうに変えて言うコトリちゃん。
「まぁまぁ、実際有能じゃんセヤナちゃんは」
《せやなー……ってうぉ!?》
「なんや、ウェザーリポーターの狙撃戦型拾ったんかホノカちゃん?」
おっと、とうとう出会ってしまった……!!
火星の自称:浪速の
《なんや自分?随分上手いの関西弁。
火星も関西弁キャラのウケええの?》
「キャラ付けちゃうわ!ネオやから、育ての親が二人ともこうやねん」
《ほー……じゃ、ばーん!》
「ウッ!」
と、抱えられたセヤナちゃんがデフォルメミトンハンドで指鉄砲をしたら、リンちゃんごく自然に怯んだ。
《やるやん!吉本行けるで!》
「ええ加減にせい!」
「33-4」
《「なんでやぁ!?阪神関係ないやろぉ!?!》
と、半笑いで謎の数字を言ったキリィちゃんに爆速で近づいて胸ぐらを掴む一人と一機。
「アホじゃのぉ、お前ら。
阪神ってどの星のどの時代のじゃ一体?
ワシが言った数字になんの恨みがあるんけ?」
《なんやこのヤクザ口調のねーちゃん?》
「ウチより雑魚の広島焼きや、チビあねさん」
「誰が雑魚で広島焼きじゃゴラァ!?
関西風食っとるから知能ダダ下がりかぁ!?」
いつもの喧嘩だー。
止めようとしたイグさんを逆に止めて、その脇でソラさん達は誰が勝つかで賭け事を始める。
いつものもにダブル関西が加わってかしましいねぇ……
そして、私も隣のルキちゃんも呆れた目を向けて止めない間にすすすー、と私の脇にやってくるカモメちゃん。
「ところでですけど、実機体のFCSパーツチェックの件ですが、コトリさんから知らせがあった間にささっと場所を押さえてみました」
「おぉ!カモメちゃん相変わらずナイスすぎる!!」
「ですが、問題が発生しました。
どうやら、事前に予約されていた相手がいたのをアリーナ地域の管理人が気づかず、相手側がならばとこちらに話を付けたいと申し出がありまして」
「え、マジで?
今から断れない?」
「それがですね……」
と、流石に深刻なカモメちゃんの顔に、喧嘩してた面々も一度やめてこちらを見る。
「相手は、インペリアル
『ロイヤル』ってご存知ですか?
彼女らが、ならばこちらの演習に参加しろと言ってきたのです」
げ、とその名前が出た時、この中で活動歴ならベテランでもあるキリィちゃんとリンちゃんがすごい顔になる。
「……なぁに、それ?」
「簡単に言えば、インペリアルの精鋭を鍛える精鋭を作るための部隊です。
当然と言いますか、インペリアル部隊では別格の部隊になりますね」
「なんせ、徴兵で生まれた情けない奴らと違うからの」
「せやねん、なんってったって、ウチらみたいなクソ強い傭兵相手に生き残った奴ら集めて鍛えたほんまもんの精鋭や」
「それ怖くない!?
ちょっとまって、FCS調整のためにそんな相手とやり合おうっていうの!?」
「なお、勝ち負けに関わらず報酬は約束するそうです」
「「「「行くしかないか!!!!」」」」
「……現金なのばっか」
「……これは、手を挙げるのは間違いだったかな?」
「ネガティヴなこと言わない!!
どうせ私は5機も機体があるから、FCS一個貰ってもまだ他の機体に必要だし。
運良く、お金が向こうから来たんだ!!
乗るしかないでしょ、この場合は!」
そうそう、精鋭だかなんだか知らないけど、
要はお相手、真面目にはやるけど負けて報酬はってことは無しなんだ!!
「行こう、お金を稼ぎに!!
派手に戦って、最悪派手に負けて懐を潤そう!!」
『おっしゃー!!』
「……
そうだぜ、イグさん。
TIS!!これがスワンだ!!
***
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