[変更済]MISSION 20 :一分間のチャンスを掴め!
私、大鳥ホノカは
愛機である人型機動兵器
一分後に動けなくなる代わりに、あの敵の『怪獣戦車』相手に空中から倒すために!
<コトリ>
《これで一分間飛んでられる!!
絶対にロックオンサイトから外さないで撃ちまくれ!!》
「OK!!やってやる!!」
相棒のAIの緋那ちゃんに応えて、さぁ戦いが始まる。
両腕のライフル────右腕のマガジン式でバンバン撃てるスナイパーライフルと、左腕のバトルライフルとか言う強力なライフルをぶっ放す。
真下の海面をホバー移動する怪獣戦車に命中。
だけど奴はメカメカした怪獣の口を開けて、あのカオカオうるさい光弾をぶっ放してくる。
なら
ドヒャアという爆音と一緒に回避して、外れた射線を直ぐに腕を動かして戻して撃つ!!
命中。相手の体に穴が開く。
効いてる……でもすぐにヤケクソみたいにカオカオ光弾をぶっ放してきてこっちを邪魔する。
ジェネレーターの限界まで残り47秒。
<コトリ>
《見なよあの必死な抵抗!効いてるって言ってるようなもんだ!!》
「続けるしか無いよね、ならさぁ!!」
発射、命中、回避、回避、発射、命中、回避、回避、回避、発射、命中、回避、発射、命中
作業的な動きだ。縦横無尽な動きの単調作業。
方向が違うだけで、やること自体は全く同じ。
狙って、撃って、攻撃を避けて、また狙って。
ただしこの激しい作業を一個でもミスれば、私は死ぬ。
これだけ75mm弾、それもバトルライフルとかのすごい奴とかスナイパーライフルの特別なヤツをぶち込んで、まだ生きてる。
しぶといんだよ、いい加減に死ね!
こうは激しく思うけど、命懸けの作業にミスはできない。
残り32秒。
発射、命中、回避、回避、発射、命中、回避、回避、回避、発射、命中、回避、発射、命中
「───いい加減に落ちろ、この怪獣戦車!!」
***
「見とるか全員?
とんでもない新人じゃのぉ、アイツ!」
切り離された自立兵器後部のハッチの縁で、片腕がちぎれ白い人工血液が凝固した傷口からケーブルの見えるような破損した体のまま、キリィはホノカの戦いを見てそう言った。
「でしょ!痛っ……期待の新人なんだからさ、アレは」
直ぐ近くで手当を受けるサージェント・トルペードは、赤い血滲む包帯を抑えながら、そう笑って言う。
「……勝ってくれますよ。
ホノカちゃん、今日会ったばかりだけど……
色々強い子だから……!」
そして、サージェント・トルペードの手当をするエーネが、自信ありげにそう言葉を紡ぐ。
「…………せやけど、まーだアイツはなんか持っとるようや」
しかし、その隣で一人で鎮痛剤を自分に打つオルトリンデが、厳しそうな目でアルゲンタヴィスを……そしてあの自立兵器を見て、確信を持ってそう応えた。
***
リミッター解除限界まで、残り26秒
機械的な咆哮を上げるのが、私には見えた。
そして、背中が何箇所かパカパカ開いた!?
バババババ!!!
─────ミサイル隠し持ってたのコイツ!?
「ぐっ……!!」
回避。いや、回避に集中しなきゃダメな弾幕!!
やばい……あのカオカオうるさい光弾も!!
攻撃ができない!!どこにそんなかず仕込んでたの!?
残り20秒……!!
「だったらぁぁぁぁぁっ!!!」
弾幕を、無視する。
例のカオカオ光弾だけ避けて、ミサイルはぶつかってやる!!
その分攻撃を緩めてたまるかぁ!!
<コトリ>
『避けない気!?』
「これって実弾に強いんでしょ!?
だったら私が攻撃し続ける間は耐えてよ!!」
<コトリ>
『無茶な子だよねぇ君!!
嫌いじゃないけどさぁ!?』
「コイツぶっ倒すためには15秒しかないんだ!!
いい加減にぶっ倒れろぉぉぉ!!!」
ミサイルは無視して、両腕のライフルをとにかく叩き込む。
直ぐそこのコアパーツの一部が吹き飛んだ。
神経接続じゃなかったらもう外が丸見えだ。
だからどうした!?
残り10秒……まだ撃てるなら撃てばいい!!
避ける暇がもったいない!!
そして、
数度目の相手のミサイルのその時、
私の撃った弾が、発射された背中のミサイルに命中!
今じゃん。
残り6秒。
ストライクブーストを起動して、全力でぶっ放しながら近づく。
残り4秒、もう目の前、
残り3秒、そのまま脚を叩き込む。
残り2秒、相手がタンク脚とトカゲみたいなロボットボディに分離する。
残り1秒、腹に二つのライフルを叩き込む。
0秒。相手は、スクラップになって先に海に落ちた。
「やった……!」
でも、もうそこまで。
アルゲンタヴィスの電気が落ちる。
真っ暗になった視界は、直ぐに外の見える吹き飛んだコアの中に戻る。
そして、目の前には海水。
海は夏行きたかったな……強化ボディって防水だっけ?
ガクン、と、すごい衝撃で海の目の前で崩れ落ちるのが止まる。
「うぉ……!?」
一体何が、と思ったら、グググと持ち上げられたアルゲンタヴィスの空いた穴から、赤い色のeX-Wの姿が見える。
『単機であの未確認兵器を落とすとは。
脱帽だよ……強いな、Bランクですら、このレベルか』
あ……表示はないけど、この声は、インペリアルの隊長さん!
無線はパイスーの使わないと……あ、私強化済みだからいちいちスイッチ押さなくていいんだった。
「いえ……見ての通り、ギリギリですし。
助かります」
『はは……ギリギリは皆同じさ。
任務は完了だ……迎えもきたらしい』
ガクンと動かされた外の穴は、夕日の向こうからやってくる一隻の船。
そして、複数のヘリ────どれかはいつもの私のオペレーターさんの船だと思うのがやってきた。
《終わりか……私も外してよ》
「おっとっと……」
コトリちゃんの三頭身ロボットボディを外して、一緒に外の景色を見る。
きれいな夕日に、帰りのヘリ。
あー、なんだろう、生きてるって実感が湧くなぁ……!
《ミッション終了……いい景色だ。こう言う大変なミッションの後には沁みるね》
「…………10万じゃなくてもっとふっかけときゃ良かった」
《たしかに。
でも、そんな後悔出来るのも、生きて帰れたからさ。
まして、生きて、勝って、報酬いただいて、帰れる。
傭兵でそれは上出来なのさ》
「ますます、早く辞めたくなるねぇ。
あー、でも修理費は依頼主サマ持ちでよかったよね。
穴空いてるって、結構お高いんじゃない?」
《これからはこの値段クラスの依頼だと、こう言う事にもなるよ。
ちょっと辞めるの遠のくけど、早いうちに機体はもう少し強化しようよ》
「……ま、それも帰ったら考えよう?
なーんか、お腹すいちゃった!
今日はなんか、甘辛いヤツ食べたい気分。
スーパーの焼き鳥とかさ、そういうの」
まぁー、そうだね。
今日はこれでお仕事終わり!!
報酬もらって、帰ろうよ!
『…………おかしいな』
と、そんな帰る気満々だった時に聞こえた無線の声。
『我がインペリアル艦隊はどこだ?
輸送船だけか……いや、艦種は間違いなくインペリアルのものとはいえ、護衛がいない?』
インペリアルの隊長さんが、そんな不穏な声を無線で出す。
『隊長。アレは間違いなく我がインペリアルの輸送船です。無線で確認は取れました……ただ、』
『どうした?』
『…………どうも、申し訳なさそうな声で『話せば長い』と言ってきているんですよね』
『…………何か、あったな?』
えー?
まさか、普通に帰れない感じですかー??
***
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