第186話 途中下車

-2日後 朝

@一等客車 ヴィクター達の客室


《これは酷い出来だな……》

《ライナーも、通常であればタンタル合金などを用いますが、それは何でしょう?》

《おそらく、スズとか亜鉛、他の個体は鉛とか銅、もしくはそれらの合金みたいだな。多分、鋳造して造ってるんだろうが、造ってる人間とか場所はバラバラなんだろうな》

《その場で加工しやすい金属を使用しているという訳ですか》

《おそらくな。見様見真似で作っているんだろうが、性能は低そうだな……》

《しかし、炸裂時の弾殻が飛散して危険ですし、性能が低いとはいっても、ドッグハウスの装甲も耐えられるとは思いません》

《ああ。油断は禁物だな……》


「ねぇ、何してるのヴィクター?」

「ん? ああ、この前の敵が使ってた武器を、ロゼッタと解析してるんだ」

「げっ、それ大丈夫!? 爆発しない?」

「安心しろ、信管は抜いてある」


 あれから、列車は予定通りにマルロンの街を出発した。被害を受けた車両も、大したダメージは無く、搭乗員も軽傷で済んだそうだ。

 俺達はあれから街で依頼を片付けて、列車に乗り込んだ。街を去る際に、ローザとビルに引き留められるという悪夢もあったが……。


 とにかく、列車の中は基本的に暇だ。そこで俺は、先日敵が使用していた“サンダーボルト”とか言う無反動砲を分解して、ロゼッタに電脳通信を通じて手伝ってもらいながら解析する事にしたのだ。これは、先日の戦いの後に鹵獲された物で、マルロン・レイダースが回収したものを好意で譲ってもらった物だ。発射機を1本と、弾薬を数発貰った。

 分解して分かった事は、性能は(崩壊前の基準で)かなり低いが、油断は出来ないという事だ。……分解する前の認識と変わらないな。


「あれ、そう言えばここに武器持ち込んで大丈夫なの?」

「ああ。一応、許可は得てある。後で預けに行くよ」


 まあ、貰ったはいいがあまり使い道は無いな。どっかで使うか捨てるとしよう。……そう言えば、ローザから貰った例の衣装も結局持ってきてしまった。次の街で処分を考えよう。


「コレットの様子はどうだ?」

「まだ寝てるみたいよ……」

「全く、いつまで寝てるんだかな」

「……昨日、ヴィクターが無茶したからでしょ」


 一昨日……ローザに捕まってしまった日は、調子に乗ってコレットを抱かない宣言をしてしまった為に、コレットを抱く事ができなかった。そこで、宣言が解除された昨夜は、コレットに俺を馬鹿にした代償を支払って貰うべく、色々と張り切ってしまったのだ。

 その結果、朝日が差し込んでいるというのに、未だにコレットは潰れたカエルみたいにベッドに横たわっている。


「そういえば」

「何よ?」

「カティアも、あの時俺を馬鹿にしてくれたよな?」

「うっ……そ、それは」

「カティアには何してもらおっかな〜、ふっふっふ」

「な、何よその気持ち悪い笑い方……」

「まあ、何はともあれメシだな。カティア、適当に注文してきてくれよ」



 * * *



-さらに数日後 昼食後

@ヴィクター達の客室


 あれからはや数日……特にこれといって何も無い車窓の日々を過ごしている。そう何回も襲撃があるわけでもない、というかあったら困る。

 列車は途中で2つの街に停まったが、そこでも大した事は無く、例の如く依頼を完遂させて列車に乗り込み、車窓の旅を送る日々だ。ちなみに、ローザから貰った例の衣装は、どの店にも引き取り拒否されてしまった。何故だ……。


 何度も言うが、列車は暇だ。俺が出来る事といったら、飯食って、戦術の講義やって、コレットとセックスして寝る事しかない。そんな訳で、昼食後の自由時間……俺が気持ちよく昼寝をしていたというのに、それを邪魔する者が現れた……。


「ヴィクター、ねぇヴィクターッ! 起きてったらッ!!」

「うおっ!? ッ……なんだよカティア、そんなに慌てて」

「いいから起きて! 窓の外見てよッ!!」


 カティアに叩き起こされて窓の外を見ると、綺麗な海が広がっていた。列車が大陸の南東の沿岸部に出たらしい。セデラル洋……この海の先に、目的地のポートバベルがある。

 まあ、とは言うものの船に乗るのはまだまだ先だ。航路の関係で、もっともっと北を目指す必要がある。


「何あれ!? すっごいデカい湖、果てが見えないわ!」

「あれは海だ、カティア」

「海!? って事は、あの水しょっぱいのよね!?」

「落ち着きなよカティア、ちょっとうるさいよ!」


 などと、海を知らない人間とのありきたりなやりとりをする。コレットの方も、カティアほど騒ぎはしないが、興味深々なように眺めている。


「よし、次の街で降りたら行ってみるか」

「本当に!? 行く!」

「はぁ……」



 * * *



-数時間後

@リグリアの街 鉄道駅


 あれから列車に揺られる事数時間、列車は次の街である【リグリアの街】に到着した。この街は海に面しており、かなり景観が良い。

 また、街には駅だけでなく港……さらにビーチまであるらしく、かなり活気に満ちている。


「ねぇ、見て海! 行きましょうよ、ヴィクター!」

「後でな。それにしても、ここは他の街と大違いだな」

「まあ、鉄道沿線で一番平和な街って言われてるからね。これでも、昔はギルドの駐屯地だったらしいよ」

「駐屯地……どういう事だ?」

「何でも、この先にある街と戦争してたらしいよ。確か、【アモールの街】だったかな?」


 列車でこの街に入る時、二重の防塁と門を通過した。あれは、その時代の名残なのだろう。鉄道沿線で一番平和な街というのも、この古い防衛線が今でも機能しており、外敵の侵入を防いでいるのも寄与しているに違いない。

 それにしても、アモールか……そういえば、そこ出身の知り合いがいたな……。


「何か聞いた事ある街の名前ね。何だったかしら?」

「あれだろ、ジェイコブ神父とベアトリーチェさんの出身地だ」

「ああ、それよそれ! ……何だか、お腹空いてきた」

「……誰?」

「まあ、そんな事よりギルドに行ったらメシ食いに行こう」

「賛成!」



 * * *



ー数十分後

@リグリアの街 ギルド支部


「やっぱり、大した依頼は無いわね」

「平和な証拠だ。むしろあったら困る」

「それはそうだけど……」


 この街のギルドにやって来たが、案の定大した依頼は無かった。それはそれで良いのだが、どうしたものか……。


「おい、お前達!」

「うん?」


 今後の身の振り方を考えていると、中年のおっさんがズカズカと近づいて来た。


「ふん、貴様が“V”か! とうとうリグリアまで来たか!?」

「何だおっさん?」

「……V?」

「ふん、失礼な奴め! 私はここの支部長だ、言葉遣いに気をつけたまえよ!」

「いきなり怒鳴り散らかして、失礼なのはどっちよ……」

「おっ、カティアにしてはマトモな事言うじゃん」

「何ですって!?」

「私は関係ないから、離れてるよ……」


 近づいて来たおっさんは、ここの支部長らしい。何やら歓迎されていないようだな。まあ、こういった態度の奴は無視するか、揶揄からかってやるに限る。

 コレットは、飛び火を防ぐべくしれっと離れていた。賢明な判断だな。


「で、支部長さんが俺に何の用だ?」

「それはこっちのセリフだ! この支部に、お飾りAランクに受けさせる依頼は無いッ!」

「お飾り? ……どういう意味だ?」

「ふん、話は聞いておるわ! ギルド本部から派遣された兵士達にくっついて、手柄を横取りしたのだろう? まるで、ダニのような卑怯者だな!」

「「 ……はぁ? 」」


 おそらく、スーパーデュラハン討伐の話だろう。確かに、あの時はギルドの兵士達も戦っていた。あの時は、あまり目立たないように動いたりしていた為、捉え方によっては俺が手柄を横取りしたように聞こえるのだろう。


「ちょっと、アンタ何言ってるのよ! ヴィクターは、重傷を負いながらもスーパーデュラハンをやっつけて──」

「やめとけカティア、こういう輩は何言っても無駄だ。行こう」

「ふん、さっさとこの街から出て行くんだな!」


 俺達はギルドから出ると、今後どうするかについて話し合う事にした。


「で、結局どうするのよ? アンタ、依頼は受けないわけ?」

「あの調子じゃ、何かの妨害とかが入りそうだ。触らぬ神に祟りなしってやつだな」

「でも、依頼受けないといけないんじゃなかったっけ?」

「別に無理に受ける必要もないだろ。それに……」

「「 それに? 」」

「俺は、善意ある期待には期待以上の成果を、悪意ある期待には全力で裏切る男だ」

「……どういう事?」

「アンタ、言ってる意味分からないわよ」



 * * *



-2日後 朝

@リグリアの街 ギルド支部・支部長室


──ガタンゴトン、ガタンゴトン……


「ふぅ、やっと行ったか」

「どうかしました、支部長?」

「いや、例のお飾りAランクがとうとう街を出て行ったかと思うと、肩の荷が降りるよ。この支部は安定しているのだ、不穏分子は排除するに限る」

「Aランク……ああ、ヴィクターさんですね」


 リグリアの街、ギルドの支部長室にて、出発する列車を窓から眺めながら、支部長は笑みを浮かべる。


「うむ。全く、本部も何を考えているのやら……。あんな若造がAランクだと? 流石に無理があるだろうに。お飾りにしても、もっとマシな人選をせんか!」

「えっ、お飾りなんですか? そうは見えなかったけどなぁ……」

「当たり前だろう! どうやって本部に取り入ったか知らんが、ふざけた真似をしおってからに!」

「う〜ん……でもドッグタグは本物だったし、わざわざ正式な物を実力の無い人に発行するでしょうか?」

「それもそうかもしれないが、どうせ正統な手段ではないはずだ。とにかく、問題を起こす前に出て行ってくれて清々するよ。はっはっは──」

「出て行く? まだいると思いますよ?」

「はっ、はは……うん、今何て?」

「いや、昨日の非番の時にヴィクターさんに声掛けられて、後で招待されてるんです。あの人、お金持ちみたいで、プライベートビーチを貸し切ってるみたいなんですよ! 楽しみだな〜♪」

「な、なんだと! つまり、奴はまだこの街にいるというのか!?」

「あっ、定時なんで失礼しま〜す。今日早番で良かった♪」

「あ、おい! ちょっと待ちたまえアンナ君ッ!?」



 * * *



-数時間後

@海沿いの高級ホテル プライベートビーチ


「あはは、待て待て〜♪」

「や〜ん、捕まっちゃう〜♪」

「ちょっとアンタ! アイツに捕まったら、本当に何されるか分かんないのよ!? 全力で逃げなさいよ!」

「ええ〜、でもでもこういう所に来るっていう事は、そういう事があるかもって事だから……準備は完璧です♪」

「何の準備よッ!? もういいわよ、サカってるならアンタが捕まりなさいよッ!」

「あはは、待て〜コレット! 逃がさないぞ〜♪」

「ギャー、なんでこっち来んのよッ!? てか、砂の上なのになんでそんな足早いの!?」

「砂の上なら自分が有利だと思ってたのか、砂漠の女め! 考えが甘過ぎるぞ!」

「私の出身地に探り入れるのやめて!」


 あれから俺達は、この街に滞在する事にした。海沿いのプライベートビーチ付きの高級ホテルをとって、バカンス気分を味わっている。まさか、崩壊後の世界にこのような場所があるとは思わなかったが、せっかくの機会だししばらく楽しむとしよう。

 流石に、ビーチに3人だけというのも味気ないので、現地の女の子をナンパしてたら、一人釣れた。アンナと言う娘で、奇遇にもギルドの受付嬢だった。ギルドでは、支部長の秘書的な仕事もしているらしく、かなりの美人ちゃんだ。どうも楽しい事に目がないらしく、誘ったらホイホイついて来た。多分、相当な好き者なのだろう……。

 アンナに話を聞くと、あの支部長……かなりの事なかれ主義者らしく、俺にさっさと次の街に旅立って欲しがっているらしい。俺は、全力で奴の期待を裏切ることにしたので、しばらくここで、キャッキャウフフなビーチバカンスをエンジョイすることにしていた。と言っても、まだ海に入るには少し早い時期らしいので、ビーチバレーしたり、こうして鬼ごっこしたりして過ごしている。


「キャッ!?」

「よっしゃぁぁ! 捕まえたぞ〜コレット、今夜は覚悟しろよッ!?」

「クソッ……」

「ウフフ、ヴィクターさ〜ん♡ 私は放っておいていいの〜?」

「何言ってるんだ? 今から捕まえるに決まってるだろ! 行くぞ〜アンナちゃん♪」

「や〜ん、捕まったら何されちゃうのかしら♡」

「待て待て〜、そらっ!」

「いやん! ヴィクターさん、素早い♡」

「ありゃ、避けられた? 意外と運動神経良いじゃん、アンナちゃん。次は逃がさないぞ!」

「……もう、アンタ達二人で楽しめばいいじゃない」


『コラァ〜〜ッ!! 貴様ァァ、何をやっとるかぁぁぁ!?』


「あっ、支部長だ」

「何だ? せっかく楽しんでたのに」


 俺達が楽しんでいると、例の支部長がズカズカと近づいて来た。


「貴様、なぜまだこの街にいるのだ!? 今朝の列車に乗っていたのでは無かったのか!?」

「途中下車したのさ。列車に長く乗ってると疲れるからな、こうして旅の疲れを癒してるってわけよ」

「ふざけるなッ! さっさとこの街から出て行けと言ったであろうッ!」

「ん? 何でアンタに俺達の行動を指図されなきゃならないんだ? ねぇアンナちゃん、支部長ってそんな権利あるの?」

「ありませんよ? 任務でもないですし……」

「あ、アンナ君……き、君も何をしてるのかね? それに、何だねその卑猥な水着は!?」

「何って、男遊びですけど? それに、これは今年の最新モデルなんです! 変な事言わないでください!」

「お、おと……そんなハレンチな!?」

「そんな事ないですよ、最近の子はみんなこんな感じですって。支部長の娘さんもこの前──」

「わぁぁ、聞きたくないッ!」


 やはり、アンナちゃんは好き者だったか……。この辺りは比較的平和なので、先のマルロンの街の住民達のように、若者達も遊ぶ余裕があるのだろう。それにここは海もあるし、崩壊前の話ではあるが、この辺りは軟派な人間が多いと言われていた。陽気な人間性とビーチ……若者達がやる事は一つだろう。これは、今夜期待できそうだな。

 それよりも、俺のビーチにおっさんは不要だ。出て行ってもらうとしよう。


「そういうわけで、俺達はここでしばらく休暇を過ごす。邪魔するなよ」

「なんだと! 貴様、ギルド本部から召集を受けてるのだろう!? こんな所で油を売っとらんで、さっさと向かわんかッ!」

「別に期限は決まってないんだ。ゆっくり行こうが、途中で休暇を過ごしてようが、俺の勝手だろ?」

「それだと私が困るんだッ! いいからさっさと──」

「お〜い、スタッフゥ〜! スタッフゥ〜、このおっさん摘み出して〜!」

「貴様、何を言って……ん、何だお前達は!? は、放せ! おおおっ!? お、おい! わ、私を誰だと──」

「いや〜、プライベートビーチって最高だな!」

「支部長、お疲れ様で〜す♪」


 ビーチの係員を呼ぶと、すぐにブーメランパンツのゴツい兄ちゃんが二人飛んできた。おそらく、ライフセーバーのような事もしているのだろう。そんな奴らにただのおっさんが敵うはずもなく、支部長はどこかへ連れて行かれた。


「ヴィクター、食材買って来たわよ〜!」

「よし、丁度邪魔者もいなくなった事だし、バーベキューやるぞ!」

「そういえば、何かあったの? さっき昨日のおっさんが連れ去られてたけど……」

「いや、何でもないさ。それよりカティア、いつまでシャツ着てんだよ?」

「いや、貰った水着……あれ恥ずかしくて……」

「何言ってやがる。アンナちゃんを見ろよ、堂々としてればああいうのでも絵になるんだよ! 恥ずかしくてモジモジしてる方が、余計に人の目を引くんだ」

「そ、そんな事言われても……」

「……カティア、ちょっと両手挙げてみ?」

「えっ? はい──」


──バサッ!


「えっ……ギャーッ!?」

「ふぅ、これで良し……」

「良し、じゃないでしょ!? 何してんのよッ!」

「うるせぇ! 無理矢理ついて来てるんだから、少しは俺の目の保養になりやがれッ!」

「だからって、人のシャツいきなり脱がさないでよッ!!」



 * * *



-その夜

@海沿いの高級ホテル 客室


「はぁ、はぁ、2人同時なのに……すっごぉ〜い♡」

「……はぁ」

「あれ〜、どうしたの? 流石に疲れちゃった?」

「いや、まあな。それより今後どうしようかな……」

「ギルド本部まで行くんでしょ? 次の列車に乗るなら、最低でも、2〜3日は待たないとね〜」


 勢いで休暇を取ったはいいが、いつまでもこうしている訳にもいかない。それに、あの支部長の事だ。変な任務とかを押し付けてくるに決まってる。


「あっ、そうだ♪ せっかくだし、アモールの街とか行ってみれば?」

「アモールか……」

「何か、歳上の人達は嫌いみたいだけど、私は好きなの。あの街、楽しい所多いし♪」


 確か、昔この街と戦争していたんだったか? 多分、その影響で高齢の者達の印象が悪いのだろう。だが、行ってみるのも面白いかもしれない。

 それに、カナルティアやモルデミールの復興に役立つ知見を得られるかもしれない。行ってみる価値はある。


「よし、行ってみるか!」

「でも、その前に……♪」

「うん?」

「……まだできるよね? まだやり足りなくて♡」

「……望むところだ!」

「あ〜ん♡」





□◆ Tips ◆□

【リグリアの街】

 セデラル大陸南東部、パシディッツァ半島の付け根に位置する街。セデラル大陸循環鉄道の沿線で、最も平和な街と呼ばれており、海も近い事から、ある種のリゾート地と化しており、海水浴用のビーチも整備されている。

 今でこそ平和な街であるが、過去にはアモールの街と戦争状態にあり、ギルドの駐屯地として機能していた過去を持つ。そのおかげで、かつてギルドにより港が整備されており、漁業や周囲の島々との交易が主な産業となっている。港は整備されているといっても、今は完全に地元民が利用するだけで、他の大陸への船等は出ていない。




【アモールの街】

 セデラル大陸南東部、パシディッツァ半島の西側沿岸に位置する街。かつての連合加盟国、アモールの首都に寄生した街。

 何十年も昔、カルト教団がこの地を牛耳っており、敵性都市の一つとしてギルドと対立していた。ある事件をきっかけにカルト教団は瓦解し、統治組織が消失した為、現在はギルドが直接統治・管理している。

 中世期〜近世にかけて、文化の中心として栄えていた都市であり、崩壊前は歴史的遺産が数多く残る観光地であった。しかし現在は、過去のカルト教団の支配により見るも無惨な状態となっており、塔は倒れ、円形闘技場は瓦礫の山と化し、大聖堂は倒壊している。

 それらの修復はされず(技術的に出来ず)、放置されているが、住民は負の遺産としてポジティブ?に捉えており、観光資源として推していこうとしている。かつての栄華を取り戻すべく、街では食堂でアモール料理が振る舞われ、映画や演劇が盛んに上演されており、娯楽の街として再出発している。中でも人気なのは、アモールを支配していたカルト教団から街を救った英雄を描いた演劇である、「鮮血の聖女と鉄仮面の騎士」で、住民達は毎日のようにこれらを鑑賞している。

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