第183話 世紀末の車窓から

-翌朝

@一等客車 ヴィクター達の客室


──ガタンッ!


「ッ……あ〜、もう朝か……」

「あっ、ヴィクター起きた? 見て、凄い景色よ!」


 下から突き上げるような大きな揺れに、俺は目を覚ました。目を開けると、カティアが窓を開けて外を興奮した様子で眺めている。寝てる間に、既に出発していたようだ。

 列車が到着した翌朝、朝早くに列車は次の駅へと出発する。俺達は前日の内に、消費した弾薬を補充したり、ドッグハウスを列車に積み込む手続きをしたり、ギルドへ出発する前の挨拶に行ったりと、なんだかんだ忙しく過ごした後に、列車へと乗り込んだ。

 列車の出発は明け方らしく、寝過ごす訳にはいかなかったからだ。


 俺がカナルティア支部で貰った通行証を見せると、俺達は一等客車のコンパートメントの一つをあてがわれた。ちなみに、ドッグハウスの運送費や俺達の運賃はタダになるらしい。

 流石は、ギルド本部といったところか。まあ、それに伴い色々と制約はあるのだが……。


「ん、コレットはどうした?」

「さっきアンタより先に起きて、外に出たわよ。ラウンジにいるんじゃない?」

「そうか。ついでだし、朝食を頼んでくる。ここでいいよな? 何がいい?」

「任せる!」

「分かった」


 コンパートメントを出て、客車の端にあるラウンジに向かう。そこにソファーに腰掛けて、脚を組みながら備え付けのギルド製武器のカタログを読んでいるコレットがいた。


「おはようコレット。なんだ、随分と落ち付いてるな?」

「別に……カティアが子供なだけよ」

「……」

「な、何よ?」

「いや、乳首大丈夫かなって」

「ッ、アンタねぇ、人の身体によくも! それに、今度こそ赤ちゃん出来ちゃったらどうするのよッ!」

「またその話かよ、あ〜やだやだ……」

「このッ!」


 コレットからビンタが飛んでくるが、それより先にコレットの手首を掴み、防御する。


「ま、まあまあ落ちつけって!」

「アンタねぇ、アンタねぇッ!! どこまでもクソ野郎ねッ!」

「さ、流石に悪かったよ……そん時はちゃんと責任取るからさ」

「信用できない!」


 コレットは避妊薬を(本人は知らないが)服用している為、そういう心配は限りなく低い。だが、知らない本人にとっては、悩みの種だ。

 彼女の困り顔が見たくて黙っているが、いつ打ち明けるか悩みどころだな。


「まあ、何はともあれ腹ごしらえだな。食事は運んでもらうから、先に待ってろよ」

「ふん!」

「ああそうだ、何食べたい?」

「任せる!」



   *

   *

   *



 次の駅まで日を何度か跨ぐ事が多いこの鉄道では、食堂車が接続されている。食堂車とは言うが、よくある豪華寝台列車の様な高級な作りをしている訳ではなく、単純に厨房と注文カウンター、そして数席のテーブルがあるのみの車両である。

 乗客、そして列車の乗組員達はここで食事を取るが、俺達のように一等客車を利用している者は、注文すると料理をコンパートメントまで持って来てくれる。


 そして、俺が食堂車にて朝食を注文してから数十分後、俺達の所に食事が運ばれて来た。


「へ〜、中々美味しいじゃない♪」

「ミシェルのには負けるがな。それにしても、本当に卵料理好きだなカティア」

「……はむ、モグモグ」


 俺達が囲む、窓際の折り畳み式のテーブルには、少し大振りのオムレツとベーコン、スープ、パンの入ったバスケットが並んでいた。

 カティアがオムレツを美味しそうに食べる一方、無言でパンを頬張るコレット。そして俺は、外に流れる景色を眺めながら、優雅に食事を……と思っていたら、カティアとコレットに取ろうとしていたパンを取られてしまった……。


 俺達がいるコンパートメントは、“一等”客車なだけあり、ベッドやシャワー、ソファ等が備え付けられてある。ただ、通常は1〜2人用なので、寝る際は誰かがソファに寝る必要があるが。ちなみに昨夜はカティアがソファだった。

 崩壊前の豪華寝台列車には全く及ばないが、中々快適だ。線路が歪んでいるのか、時々大きく揺れたりする事以外は……。


──ドガァンッッ!! キキーッッ!!


「うおっ!」

「きゃっ、何よもうッ!」

「ッ……なにこれ、脱線事故!?」

「これは……まさか!」


──カンカンカンカンッ!!


『鉄道襲撃だ、総員戦闘準備ッ!! 客車の方々も、窓のシャッターを閉めてじっとしてて下さいよッ! 面白そうだからって、見物してたら額に穴が空いても知りませんぜッ!』


 突如、大きな衝撃とともに、列車が緊急停止した。線路に細工されていたのか、何かに乗り上げ、どこかが脱線したようだ。

 そして、敵襲を知らせる緊急用ベルが鳴り響き、車長と思われる男の野太い声が車内放送から響く。野盗か何かが、列車が停まったタイミングで、襲撃をかけたといったところか。


「カティア、窓閉めろ」

「分かった!」


──ゴォンッ!!


「重そうな音ね」


 カティアが窓の付近にあるレバーを引くと、車体外側にあるシャッターが降りた。一等客車は、金持ちの商人やギルドの役員が利用する関係上、装甲が施されている。シャッターも、その関係上かなり頑丈であり、殆ど鉄板である。


「よし、仕事に行くぞ!」


 俺達がタダで列車に乗れる理由、それは有事の際に護衛として働く事が条件だったからだ。高ランクレンジャーであれば、そこらの野盗に引けを取らない。有事の際に、頼もしい戦力となる事が期待できる。

 だが残念ながら、敵は“内”にいる場合もある。その際、一等客車のVIPを守る為にも、高ランクレンジャーは一等客車に乗ってもらった方が良いそうだ。そもそも、列車内に敵を入れない為にも、乗客や積荷は厳しくチェックを受ける。その関係で、俺達の武器も隣の車両である指揮車に預けてある。まずは回収に向かうとしよう。



   *

   *

   *



-数刻後

@指揮車


「迎撃急げ! 準備はどうなってる!?」

『重砲車、2号軽砲車、いつでもいけますッ!』

『1号軽砲車は、脱線の影響で発砲できませんッ!』

『銃座の方はもう少しで全員準備完了でさぁ!』

「分かった! よし全員確実に始末できるよう、いつも通り引きつけるぞ! 合図と共に一斉射撃だッ!!」

『『『 了解ッ! 』』』


 俺達が隣の車両に移ると、そこでは車掌や職員達が慌ただしく動いていた。その中で指示を出している指揮官と思しき男が、俺達に気がつき声をかける。


「ん、お前たちは?」

「一等客車のレンジャーだ、何かやる事はあるか?」

「ああ、例のAランクだな。あいにくだが、今回はお前さん達の出番は無いと思うぞ」

「そうか」

「なによ、私達の力はいらないってこと?」

「今回は俺達に任せてくれや。こういうのは良くある事でな。嬢ちゃんも、そうカッカしないで、俺達の活躍の見学でもしていってくれ」

「何か腑に落ちないわね……」

「そうさせてもらう、だが武器は返してくれ。念のためにな」

「そうか……よし、だったら屋根の上に行って警戒に当たってくれ」



 * * *



-数刻後

@指揮車 屋上


「さてと、お手並み拝見といこうじゃない」

「何、不満なのカティア? 働かなくていいなんて、楽でいいじゃないの」

「それは、そうなんだけどさ……」

「まあ、確かにあんなのが有れば俺達要らないだろうな」

「実際、鉄道襲撃の成功なんて殆ど無いわよ」


 俺は、チラリと他の車両を見る。貨車を除き、殆どの車両に装甲が施されており、多数の機関銃や大口径の機関砲で武装している。果ては崩壊前の旧式戦車の砲塔を丸々載せている車両もある。まさに陸を走る要塞だ。護衛なんていなくても、自分達で十分過ぎるほど身を守る事ができる。

 そして、その要塞に立ち向かうのは、多数の車両……それも非装甲という、無謀な挑戦者達だった。最初から、勝敗は分かっているようなものだ。


「野郎ども! 俺様のカンペキな作戦で、列車は停まったぜぃッ! 狙うは、ソーコーカシャだッ!」

「おやびん、どれがそのソーコーカシャなんですかい?」

「んなもん、一番豪華な奴に決まってるだろうがッ、何寝ぼけてやがる! おら行くぞお前らッ、俺様に続けぇッッ!!」

「「「「 ヒーハーッ!! 」」」」


 ボロボロだったり、廃材が溶接されたバギーの集団が、線路の側に広がる平野の丘を越えて、列車に迫って来た。


『チッ、バカどもめ……奴ら、自分たちが飛んで火に入る夏の虫ってのに気がついてない』

『まるで自殺志願者だ……』

『砲術長、射撃許可はまだですか?』

『まだ撃つな、もう少し引きつけるんだ。一度の斉射で、確実に始末しろ!』

『はっ! せいぜい、最期に良い夢でも見せてやりましょう!』

『ふむ、そろそろか……よし、全車撃ち方用意!』

『はっ、全車撃ち方よーい!』

『撃てーッ!!』


 号令と共に砲塔が動き、襲撃者達への狙いを微調整する。


──ドゴゴゴゴッ!!

──ズガァンッ!!


 大口径の機関砲弾が飛び交い、戦車砲が吼える。


「何だありゃあ!? どわぁぁッ!!」

「おやびーんッ!? ぎにゃあああッ!!」

「おいヤベェぞあれ!? うぼぁぁッ!!」

「ひょえェェェェッ!?」


──ドゴンッ!! ガラガラッ!!

──ブンッ……チュドンッッ!!


 砲弾はどちらも榴弾だったようで、着弾すると炸裂し、野盗の車両を次々と屠っていく。戦車砲の砲弾が大地を抉り、野盗の車を吹き飛ばし、機関砲の砲弾が車両をズタズタにし、銃弾の雨が降り注いだ。

 あっという間に野盗達は叩きのめされ、全滅した……。そう、皆殺しである。むしろ、あの惨状で生きている方が奇跡だ。そして、奇跡は殆ど起こる事は無い。


『よし、撃ち方やめッ! 後片付けの後、復旧作業に移れ』

『『『 了解! 』』』


 ほんの数秒で決着はつき、鉄道職員達はテキパキと動き始める。


「……私達いらかったね」

「そうだなコレット。とりあえず、俺達ももどるか」

「す……すごかった! ねぇヴィクター、あのでっかい大砲今度AMで撃ちたい! ドカーンって!」

「え、えーえむ? 何のこと、カティア?」

「やめとけカティア、あんなの時代遅れの産廃だぞ」

「別にいいじゃない!」

「だから、何の話よ!?」



 * * *



-数刻後

@指揮車


 俺達が指揮車へと戻ると、リーダーの車掌が自信満々の表情をしながら近づいてきた。


「どうだったよ、レンジャーさん達よ?」

「確かに、俺達の出る幕は無かったな。ほら、武器返すぜ。ちゃんと預かっといてくれよ」

「おうよ! ……悪いな、アンタらには要人の警護を頼みたいところだったんだが、生憎今回は乗ってなくてよ」

「タダで乗れるからこっちはありがたいが……」

「それにしても、野盗もなんでこんなの相手にするのかしら? 無謀もいいとこよね」


 カティアの言う通り、ここまでの戦力差がありながら、野盗達はなぜ鉄道襲撃に挑むのか? それは、積荷が魅力的だということもあるが、一番の原因はこの皆殺しにあると思われる。鉄道を襲撃して、酷い目に遭ったという話をする者がいないのだ。

 乗客も、殆どは客車の中で窓を閉めて、状況が過ぎるのを怯えて過ごす。その為、列車の活躍を目にする機会は少ない。つまり、列車がどのように野盗を追い払った(殲滅した)のか、説明できる者は少ない。

 その結果、列車が野盗を返り討ちにしたという曖昧な話だけが残る。すると、自分だけは特別だと思う野盗が現れてしまうのだろう。今回のように……。


「けっ、バカなんだろうよ! お陰でこっちは、物流が滞って散々だよ」

「でしょうね」

「それに、嫌な話だが最近は鉄道襲撃が増えてきてるんだ」

「そういえば、ローアンの街に来るのも遅れてたんだよな?」

「ああ、丁度襲撃を受けてな。しかも、野盗達の装備の質も何故か上がってるんだ」

「装備の質?」

「ああ、爆薬を遠距離から飛ばす武器やら、機関銃に機関砲、その他武装車両なんかを使うようになってきてる。今日来た連中は雑魚の部類だが、油断はできないな」


 爆薬を遠距離から飛ばす武器……グレネードランチャーやロケットランチャー、無反動砲など色々あるが、どれも原理自体は単純だ。頭の良い野盗が、作る事は可能かもしれない。


「そういや噂じゃ、【ルインズランド】で何やら不穏な動きがあるみたいだぜ? その影響があるのかもな」

「ルインズランド? カティア、なんだそりゃ?」

「ええと、鉄道の輪の中……だったっけ?」

「……」

「どうしたコレット、何か知ってるのか?」

「な、何でもないよ! ほら、鉄道って輪になって繋がってるでしょ? ルインズランドは、その内側に広がる地域の事よ」

「そんな地名聞いた事ないぞ……この2世紀で地名が変わったのか?」

「何でも、崩壊前の遺跡がそこらに埋もれてるらしいぞ。この列車の装備も、元はそうしたところから発掘してきたそうだ」


 なる程、遺跡の眠る土地……だから、ルインズランドか。確かに崩壊前、鉄道の内側には工業地帯が多く存在していた。そうした所は今では“遺跡”と呼ばれ、崩壊前の技術を得る事ができる貴重な場所になっている。

 もしかすると、何か使える物が残されているかもしれない。少なくとも、遺物が変な奴の手に渡るのは阻止する必要がある。気が向いたら、調べてみるのも良いかもしれないな。


「へ〜、遺物があるのね! ヴィクター、行ってみま────」

「ダメよッ!」

「……コレット?」

「何よ、どうしたのコレット?」

「い、いやそれは……ほら、あそこ砂漠しかないし、行っても何にも無いよ、時間の無駄よ! ね、おじさん!?」

「おおう!? まあ、確かにこのお姉ちゃんの言う通り、あそこは荒れた土地が多いから、行くなら結構な準備が必要だろうなぁ。それに、ルインズランドはギルドの管轄区域外だ、無法地帯になってるところが多い。行くメリットはあんまり無いと思うぞ……」


 このコレットの態度から察するに、ルインズランドで彼女の身に何かあったのは明らかだ。だが、今は触れずにおいてやろう……。



 * * *



-その夜

@一等客車 ヴィクター達の客室


「んっ……あ、ちょっ……んッ♡」

「げふんげふんッ!」

「何だよコレット、これ着けてから随分大人しくなったじゃん」

「まだ慣れてないから痛いのよッ! って、ちょっと……あっ♡」

「ちゃんと薬塗って痛くしなかったろ? それに、そう言う割には随分と────」

「んんッ! げふんげふんッ!!」

「おいカティア、うるさいぞ。気が散るだろうが!」

「アンタ達がひとの前で、盛ってるからでしょうがッ! デリカシーないの!?」

「ちが……私は無理矢理、あんっ♡」


 指揮車での会話から、この車両には俺達以外の客はいない事が判明している。そして、列車の中は基本的に暇だ。女がいればやる事は一つだろう。

 カティアには悪いが、今後ヤれる機会があるとも限らない。出来る事は出来る時にやっとくべきだろう。それに、カティアも口では文句を言っているが、目はこちらを凝視しており、顔を紅潮させ、身体はモジモジと小刻みに揺れている。彼女はむっつりちゃんなのだ。


 本来なら、別の部屋をとったりするところだが、今回はそうはいかない。例え、隣のコンパートメントが空いているとしても、俺達に使う権利は無い。

 カティアには我慢してもらうとしよう。あ、我慢出来なかったのか、バスルームに入って行った……。スカウトバグで録画しとこう。



 * * *



-同時刻

@鉄道沿線 荒野のど真ん中


「お〜い、ビルのアニキィィッ!!」

「おう、どうした?」

「来ました、列車が来ましたぜッ! ローアン方面からでさぁ! この分だと、明日には街に着きそうですぜ!」

「そうか、予定より遅かったなぁ! それで、積荷はどんな感じだ?」

「へい、いつもの交易品を積んだ貨車が多数と、それから珍しく上等なクルマが一台積んでありやしたッ!」

「何、上等なクルマだと!? ローアン方面から来たんだよな? あっちの方はクルマを作ってないだろ、何かの間違いじゃないのか?」

「いえ、ローアン方面からの貨車にクルマが積んでありやした、間違い無いです!」

「売れ残りがそのまま流れて来たのか? しかし、そんな事はあまり無いはずだが……」


 荒野のど真ん中にて、ドラム缶の焚き火を囲んだ男達が、何やら怪しげな会話をしていた。奇妙な事に、その男達は皆体格が良く、上裸に近い格好で、鎖を身体に巻き付けたり、廃タイヤから作った肩当てや肘当てなどの防具を身に付けていた。

 更には、髪型はスキンヘッドやモヒカンといった、個性的な姿の者が多く、退廃的な雰囲気を醸し出していた……。


「しかし、良いカモには違いねぇ……おう、お前らッ!! マルロン・レイダースの仕事の時間だぁッ!!」

「「「「「 ヒャッハー!! 」」」」」





□◆ Tips ◆□

【セデラル大陸循環鉄道の編成】

 セデラル大陸循環鉄道は、複数の列車で大陸を時計回り、反時計回りにそれぞれ回っており、その編成は列車により微妙に異なるが、車両は基本的に同じ規格の車両が使用されている。


[機関車]ディーゼル機関車であり、崩壊前の機関車に装甲を施して改造したもの。貨車の数により、数両重連して用いられる事が多い。


[指揮車]列車の運行を司る司令塔。車体に周囲を見渡す為の監視塔が突き出している。


[燃料車]予備の燃料はもちろん、鉄道の破損に備えて、予備のレールや工具などが積まれている。


[電源車]列車内で使用される電気を発電する為の、発電機を装備した車両。


[食堂車]乗車の食事を提供する為の、厨房や食料保管庫が設置された車両。この車両を境に、一等、二等客車が分断されている事が多い。


[一等客車]金持ちの商人や、ギルドの役員が利用する寝台車両。かなり豪華な作り(崩壊後基準)になっており、ベッドやソファ、バスルームなどが完備されている。


[二等客車]一般の乗客が乗り込む車両。一等客車のような余裕や快適さはないが、崩壊後の基準ではかなり上等な物になるらしく、乗客の満足度は高い。ベッドになる座席に、その上にもベッドがあり、二段ベッドになる。『シベリア鉄道3等車』で調べると、近いイメージの画像がでるかも。


[警戒車]車体の屋根に多数の機関銃銃座が装備されている他、列車の先頭車両や最後尾などに配される車両は、車体の先に25mm単装機関砲の砲塔が装備され、車体の進行方向や後方の警戒にあたる。平時は弾薬庫や倉庫、乗員の宿舎や詰所などに使用される。また、夜間監視用のサーチライト等も装備されている。


[軽砲車]崩壊前の旧式35mm2連装対空機関砲をそのまま搭載した車両。一両につき、機関砲の砲塔は二門搭載されている。本来は対空砲であるが、崩壊後の現在は対地掃討用の水平射撃に使用されている。


[重砲車]崩壊前の旧式戦車の砲塔を1門、そのまま丸々搭載した車両。130mm戦車砲を搭載しており、遠距離から近づく賊を粉砕する。主に榴弾やキャニスター弾を使用する。


[装甲貨車]装甲が施された有蓋車であり、主にギルドの物資や現金、郵便物、貴重品などが載せられる。野盗や賊にとって宝の山であり、鉄道襲撃は主にこの車両を目標にしていると言われる。車両間のアクセスは不可能であり、中に入るには列車を停める必要がある。


[通常貨車]通常の貨物列車。非装甲の車両であり、有蓋車、無蓋車様々なものがある。主に鉄道沿線での交易品の輸送に用いられており、車両の中で一番数が多い。許可のない人間の乗車は禁止されているが、中には貨物に隠れて無断乗車する者もいるらしい。奴隷や家畜の運搬には、専用の車両が使用される。



*今回ヴィクター達が乗った列車の編成


←進行方向

警戒車-軽砲車-重砲車-燃料車-機関車×2-電源車-指揮車-一等客車-食堂車-二等客車-二等客車-軽砲車-装甲貨車-警戒車-通常貨車多数......-警戒車




【ルインズランド】

 セデラル大陸中央部、セデラル大陸循環鉄道の内側に広がる地域。ギルドによる統治が完全に行き届いておらず、無法地帯と化している場所が多い。

 かつては普通の土地であったが、崩壊前の戦略兵器の応酬に伴う気候変動により、現在は荒地や荒野、砂漠が広がっている。

 セデラル大陸循環鉄道の内側という立地上、多数の工業地帯を内包しており、崩壊後はそれらが“遺跡”として遺されている。それら遺物を掘り起こす事を生業とする、“スカベンジャー”という者達の楽園である一方、遺物のもたらす強大な力を背景に暴れ回る者達もいる。

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