第117話 内戦3

-翌朝(内戦3日目)

@カナルティアの街近郊の草原


「うわ、酷い……」

「そうだな……」


 カティアが、遠くに見える街を見て、そう呟いた。街からは、いくつも煙が上がっており、戦闘が繰り広げられているのが想像できた。


 現在、俺達はカナルティアの街の近郊で一旦小休止をとり、武装を整えたり、ジュディ達をビートルに乗せ替えたりしていた。

 カナルティアの街では今、市街戦が繰り広げられている。市街戦では、咄嗟に敵と出会い戦闘が発生する。一応、全員が防弾の車両に乗ってはいるが、何が有るかは分からないので、万一に備えて全員の武装は必須だ。


「よし、準備できたら行くぞ!」


 とりあえず、目指すは南門だ。俺達は今、西門側にいるが、迂回して南門から街に入る。ロゼッタの話では、南門は警備隊の勢力下にあるらしいので、そこからガレージを目指す。

 そうすれば、安全かつ最短距離でガレージに行く事ができる。(※ガレージは南部地区にある)


 そして、ガレージで補給を済ませた後は、急いでフェイの救出に向かう。

 一応フェイからは、こまめに連絡を貰っているので無事だとは思うが、敵の目的が分からない以上、何をされるかは分からない。早いとこ助け出すに限る。



 * * *



-数十分後

@ガラルドガレージ


 南門では、警備隊の生き残り達が次々と集結しており、反攻の準備を行なっていた。いつものおっさんがいなかったが、話を聞けば警備隊本部で籠城しているらしく、連絡がつかない状態らしい。

 ちなみに、警備隊と自治防衛隊が戦闘状態になったのは、あのおっさんが宣戦布告したからだそうだ。まあ、悪いのは自治防衛隊なのだが、準備が整わない内に戦闘に突入した為、警備隊は現在劣勢だそうだ。


 南門の警備隊員達が、俺達の事を仲間になって欲しそうな目で見てきたが、今はフェイの救出しか考えていないので、今のところは丁重に辞退させて頂いた。



 そんなことがありつつ、ガレージへと帰ってきた俺達だったが、ガレージの前に大型トラックと、布をかけられた死体と思われる物が並べられているのを見つけた。

 多分、ロゼッタが話していた戦闘の跡だろう……。


「何よこれ! 何で家の前に死体の山が!?」

「ほら、ガレージに自治防衛隊が攻めて来て、ロゼッタが何とかしたって話しただろ?」

「いや、聞いたけど……。これ、全部ロゼッタさんがやったの!?」

「まあ、ロゼッタさんだからね」

「流石、マ……ロゼッタさんっす!」

「ロゼッタさんは最強」

「……私も、ちゃんと訓練してもらおうかな」

「ぼ、僕もお願いしたいです!」


 カティアとミシェルが驚いているが、ジュディ達は当然という顔をしている。彼女達は、ロゼッタの強さを身体で感じている為、そう不思議ではないのだろう。


 死体の山を尻目にガレージの中に入ると、ロゼッタとモニカが出迎えてくれた。


「ヴィクター様、皆さん、ご無事で何よりです」

「皆さん、お帰りなさい!」

「ああ、ただいま。それにしても……どこの悪役だよ、ロゼッタ」

「……?」


 出迎えてくれたロゼッタは、サングラスをかけ、全身真っ黒で厳つい格好をしていた。その姿はまるで、映画の悪役か、ダークヒーローといった感じだ。

 ロゼッタの瞳は、バイオロイド特有の赤色をしている。その為、怪しまれないようにサングラスをしているのは分かるが、そんな厳ついレザーコートなんて持ってたか?


「その上着、どうしたんだ?」

「モニカさんに頂きました。凄く動きやすいですよ。防御力もありますし」

「どうですかヴィクターさん、あのワニ革で作ったんです! ロゼッタさんに似合うと思うんですけど、どうですか?」

「あ、ああ……。似合うと思うぞ!」


 実際、似合ってる。金髪に黒は映える……。というか、金髪はなんでも合うな!(ヴィクターの私見)


「ロゼッタさん、カッコいい……」

「ヤバいっす……!」

「……好き」

「そうだ、皆さんのもあるんです。是非着てみて下さい!」

「本当に!? やった〜!」

「あっ……ごめんなさい、今回はジュディさん達だけです。カティアさんのは作ってなくて……」

「な、何で!?」

「いや、お前もう持ってるじゃん……」


 カティアは、既に防具(普通の牛革加工)を持っている為、必要性が低い。またミシェルの防具は、まだ身長が伸びると思われるので、もう一度詳しく採寸したい為に作らなかったらしい。


 聞けば、今までモニカはワニ革を使ってジャケットやレザーアーマーなど、皆の防具になる物を作るのに夢中だったらしく、街が内戦状態になっている事に気が付かなかったらしい。無事で本当に良かった。


 ジュディ達が、モニカのワニ革作品の試着に行く間、俺とカティア、ロゼッタは、補給品の整理を行う事にした。

 ……ミシェルは、鼻息を荒くしたモニカが連れて行ってしまった。


 俺達は、ガフランク防衛戦で手持ちの弾薬をかなり消費していた。これからフェイの救出に向かうにあたり、補給は必須だった。

 また今回は事情が事情なので、市街戦を想定した装備を、必要な者に支給する予定だ。カティアは、セミオート式のカービンを使用しているが、接近戦ではフルオート火器の方が圧倒的に有利だ。

 ノーラの狙撃銃も、市街戦では過剰な威力で、取り回しに難がある。以前に新しい装備を渡す約束もしてあったので、丁度良い機会になる。


「ほら、カティア。これを使え」

「えっ、何これ遺物!?」

「違う、俺が作ったんだ」

「作ったって……ヴィクターって、何なの? ちょっと見直したわ」


 銃器を作るというのは、簡単な事では無い。歴史を見ても、傑作と言われる銃器は、天才と呼ばれる者が設計している物が多い。

 俺の場合、彼らの考えをパクったり、資料を参考にしている為、別に俺が凄い訳では無いが、都合が良いからカティアには何も言わないでおこう。もっと俺をリスペクトするがいい。


「市街戦だと、フルオート射撃できた方がいい事もあるからな。持ってけ」

「確かに、アポターで観たビデオでも、似たような事言ってたわね。じゃあ、有り難く使わせてもらうわ!」

「……あ、それから絶対に酒は飲むなよ!」

「な、何よ……」

「フルオートで乱射されたら堪らないからな!」

「し、しないわよこんな時に!」

「どうだかな……。ガフランクでも暴れたしな?」

「ぐっ……気をつけます」


 その後、ジュディ達にも新たな装備を渡し、ミシェルにはガフランクで使用した武器を再び貸し、フェイ救出の準備を整えた。



 * * *



-1時間後

@レンジャーズギルド ロビー


「交代の時間だ。貴様らは、警備隊本部の攻略部隊に合流し、増援に向かえ!」

「はっ! 了解致しました、少佐殿!」


 ギルドのロビーでは、職員達が相変わらず監視されながら軟禁状態にあった。フェイは、見張りが交代するのを眺めながら、ヴィクターに連絡する機会を伺っていた。

 フェイは、隙を見てはヴィクターに連絡を試みていた。そして彼女は、ヴィクターになるべく詳しい情報を伝える為に、見張りの会話を盗み聞いたり、その行動を詳しく観察していた。


 その結果、監視役は朝昼夜の交代制をとっている事が分かった。そして、交代の際は全員が入れ替わるので、その度にフェイはトイレに行く事を要求していた。

 あまりに何回もトイレに行くと、流石に怪しまれるので、これは彼女にとって都合が良かった。


(……そろそろかしら)


 全員が交代したのを見計らって、フェイはそろそろ動き出そうと様子を伺う。今回は、自治防衛隊の礼服を着た、何やら偉そうな男が一人混ざっていた。


「クソ、こんな街に長々と時間をかけてしまうとは……!」

「少佐殿。お言葉ですが、監視役は余り喋るなとの命令です」

「おっと、そうだったな……。それから、階級呼びはやめろ。連中に勘繰られたら厄介だ」

「はっ!? し、失礼しました!」

(少佐? 階級? ……一体何の話かしら?)


 男達の会話を盗み聞いたフェイは、その内容に首を傾げながら、トイレを要求した。


「ちょっと、ねぇ!」

「む? そこの女、喋るんじゃない!」

「お花摘みに行きたいんだけど!」

「花ァ? おい、あの女何を言ってるのだ?」

「はっ、多分トイレの事であります!」

「トイレ? だったらそう言えばいいだろう、紛らわしい!」

「では、連れて行きます」

「いや、私が行く。お前は見張りを続けろ」

「はっ、了解しました!」

「では行くぞ女。で、トイレは何処だ?」

「……こちらです」


 フェイは立ち上がると、男を先導してトイレへと向かう。


(この男、さっきからジロジロと……。なんだか気味が悪いわ)

(あの女の左手に付いているのはもしや、“支配者の腕輪”では!? これは、詳しく話を聞く必要があるな)



 * * *



-数刻後

@レンジャーズギルド 女子トイレ


「きゃっ! 何するのよッ!?」

「おい、女! 貴様コレを何処で手に入れた!?」

「あ、貴方には関係ないでしょ! 触らないでよッ!」


 トイレに入るなり、フェイは少佐と呼ばれた男に、左手を掴まれ、左手に付いている“腕時計”について、問い詰められていた。


「関係ない訳あるかッ! コレは、支配者の腕輪……選ばれし者の装備であろうが!?」

「はぁ、何の話よッ!?」

「コレは、崩壊前の兵器を動かす為に必要な物なのだぞ! 我がモルデミール軍が誇る“鉄巨人”も、選ばれし者がこの腕輪を付けて、はじめて動かす事ができるのだ! それを、何も知らない小娘が持っていていい訳が無いだろうッ!!」

「モルデミール……鉄巨人……? 貴方、一体何を言ってるの?」

「はっ! クソ、喋り過ぎてしまったな……」


 “支配者の腕輪”とは、フェイ達がヴィクターから貰ったマイクロマシン非適合者用機器である、“腕時計”のモルデミール側の呼称である。

 崩壊前の兵器は、起動時に電脳による登録者の認証が必要になる。だが、腕時計でもその認証は可能となる場合もある。その為、モルデミール軍の上層部の間では、この腕時計が有力者やAMのパイロットなどの、選ばれた者のする物だと言う認識だったのだ。

 そして、少佐はこの腕時計の秘密を知っていたようで、フェイに詰め寄ったという訳だった。


 少佐は腰から拳銃を抜いて、フェイに突きつける。


「はじめはこちらの工作員と思ったが、違うようだな。何故、貴様が支配者の腕輪を持っているかは分からんが……どうも、貴様は知り過ぎたようだ。悪いが死んでもらうぞ!」

「はぁ、何言ってるのよッ! 貴方が勝手に喋ったんじゃないの!」

「え、ええい、うるさいッ!」


(マズいわ……よく分からないけど、話が通じそうに無い……。怖い……助けて、ヴィーくんッ!)


「さあ、覚悟し……」


──ドガァン!


 少佐が、引き金に指を掛けようとしたその時、ギルドの入り口の方から大きな音が響き、床が振動する。


「キャッ! な、何なのッ!?」

「うおっ、何の騒ぎだッ!?」


 突然の出来事に驚いたのも束の間、フェイと少佐しかいない筈の女子トイレに、別の男の声が響いた。


「ここにいたのか、フェイ。ロビーにいなかったから、探したぞ」

「その声は、ヴィーくん? どこにいるの!?」

「何だ、誰かいるのか!?」

「ああ、お前の目の前にな」


 男の声がそう言うと、何も無いはずの空間からヴィクターが光学迷彩を解除して出現し、少佐の額に拳銃を突きつけた。


「な、何だ今のは!? それに、貴様は一体……?」

「お前、俺の女に手を挙げたな? 覚悟はできてんだろうな!?」

「ま、待ってヴィーくんッ! 殺しちゃダメ、その人情報持ってるわ!」

「分かった」


──ドシュ!


 ヴィクターは、拳銃を持った手とは逆の手でダートピストルを抜くと、少佐にシリンジを撃ち込む。すると、少佐はシリンジの麻酔薬がまわり、ヘロヘロと床に倒れ込み、意識を失った。


「な、なんだ……こ、これは……?」

「おやすみ〜」

「……ヴィーくんッ! ふぇぇ、怖かったよ〜ッ!」

「うおっ! フェイ、急に抱きつくなよ」

「ゼッタイに、助けに来てくれるって信じてた!」

「良く耐えたな。こんな中、連絡するのも大変だったろ?」

「怖かったけど、頑張ったわ!」

「だろうな。後で慰めてやるから、とにかく今は脱出だ!」

「あっそうだ、他にも職員が捕まってるの。 一緒に助けてあげられないかしら?」

「ああ、それなら……」


──バババババッ……!

──ダダダッ、ダダダッ……!


「……始まったみたいだな。よし、コイツ運ぶの手伝ってくれ」

「どうするの?」

「表にトラックがある。それで逃げる!」



 * * *



-同時刻

@レンジャーズギルド ロビー


──ズガァァンッ!


「うわっ!」

「「「 きゃあッ! 」」」

「な、何だ!?」


 フェイがピンチに陥っていた頃、突如ギルド入り口の扉が爆発と共に吹き飛ばされた。ロビーにいた見張りが、突然の出来事に混乱し、人質達が悲鳴を上げる中、外から缶状の手榴弾が複数投げ込まれた。


──カランッ! コロコロ……


「手榴弾かッ!?」

「ば、爆発するぞッ!」


──ボシュッ!


 投げ込まれた手榴弾に、警戒する見張り達だったが、その思惑は外れ、投げ込まれた手榴弾からは白い煙がモクモクと、勢いよく吹き出し始めた。


「何だこれは!?」

「煙幕か!?」


 そして、煙で視界が悪くなる中、5人の人間が飛び込んで来た。カティアとミシェル、そしてジュディ達のチームだ。

 彼女達は、盾を構えたジュディを先頭にギルドのロビーに突入すると、自治防衛隊に対して激しい銃撃を加え始めた。


「カイナ、奥に2人ッ!」

「っす!」

「ジュディ。今、危なかった」

「ノーラ、助かる!」

「ん」


 ジュディ達は、ロゼッタに施された訓練のお陰か、流れる様な動きで見張りを掃討しつつ、ギルドの奥へと進んで行った。


「カティア、アタシらは中をカタしてくる。後は任せるよ!」

「任せて! 行くわよ、ミシェル!」

「はいっ!」


 カティアとミシェルは、ロビー内の敵を掃討しつつ、人質が捕らえられている箇所に近づいて行く。


「くそ、視界が悪い!」

「適当にばら撒けッ!」

「いや、人質を盾にしよう!」

「そ、そうだな! だったら、偉い奴に限る!」


 人質の近くで見張りをしていた敵の一人が、盾にしようと支部長に手を伸ばす。


「お前、こっちに……があッ!?」

「どうした!?」

「な……なんじゃこりゃああ! ……ぐはっ!」


 突然上がった仲間の悲鳴に目をやると、支部長に手を伸ばした者の背から、細身の剣先が突き出ていた。その事実に、剣が刺さった男が悲鳴を上げるが、剣が勢いよく引き抜かれると、断末魔を上げて床に倒れた。


「き、貴様……いつの間に拘束をッ!?」


 そこには、いつの間にか拘束を解いた支部長が、鋭い眼光でこちらを睨み付けていた。その手にはステッキの取手が握られ、その先からは血が滴る刀身が伸びていた。

 そして気がつくと、近くからは他の仲間の悲鳴や、断末魔が聞こえてくる。


 いつの間にか、拘束されていたはずの執行官の男達もこっそりと拘束を解いており、騒ぎに乗じて見張り達を絞め落としたり、殴り飛ばしていたのである。


「クソッ!」


──ダダダダダダッ!

──ブン……ドスッ!


「がはッ!?」


 そして最後に残った敵も、支部長に向けて発砲する。だが、支部長は素早く地を這うように敵に接近すると、その心臓に向けて剣先を突き刺さした。

 そして、絶命して膝をついた敵の身体から剣先を引き抜くと、支部長は敵のシャツで刀身の血を拭ってから、鞘(杖)に刃を納めた。


「あれ? 敵が……。あっ、支部長!」

「おや、君は確か……最近ヴィクター君のチームに入った……。助けに来てくれたのかい?」

「は、はい。外にトラックがあります。それで避難を!」

「ほう……準備が良いね。執行官、私の執務室から例の物を持って来てくれ」

「ミシェル、ロビーはクリア! 人質を避難させるわよ!」

「皆さん、こっちです! ついて来て下さい!」



 * * *



-数分後

@街中央地区 レンジャーズギルド前


 人質になっていた職員達(アレッタやブレア以外の職員も含む)を、トラックの荷台に乗せる。このトラックは、ガラルドガレージの前にあった自治防衛隊のトラックで、今回の作戦に利用させてもらった。

 ギルドのある、中央地区は敵の本拠地みたいなものだ。その為、このトラックを使って中央地区に潜入し、ギルドに乗り込んだのだ。

 

 このまま逃げられれば順調だが、そうもいかないようだ。


《ヴィクター様、そちらに複数の車両が接近中です》

《敵地のど真ん中で暴れてるんだ、当然だよな》

《お気をつけて!》


 敵の本拠地であれだけの騒ぎを起こせば、当然増援がやって来る。

 とりあえず俺達の目標は、警備隊支配下である南門まで、ギルドの職員達を送り届ける事だ。荷台にはフェイを始め、ジュディ達も乗っている。絶対に失敗できない。


《よしカイナ、荷台の幌を閉じろ。このまま連中の輸送トラックのフリをして、素通りするぞ!》

《了解っす!》


 カイナが荷台のカーテンを中から閉じて、荷台の中が見えないようにする。こうすれば、敵にとって輸送任務中の味方に見える筈だ。

 後方から、騒ぎを聞きつけた自治防衛隊の車両が迫る中、俺は怪しまれないように静かにトラックを発進させた。


──ビュンビュン! バババババッ!


 だが、敵も甘くは無かったようでバックミラーに姿が見えたと思ったら、早速撃ってきやがった。


《ダメだ、バレてる! 全員、反撃しろッ!》

  》》》


「皆さん、伏せて下さい!」


 ミシェルの声を合図に、荷台のカーテンが開かれ、全員が後方の車両に向けて発砲を開始する。


「ダメ、全然当たらないッ! ノーラ、運転手狙える!?」

「やってみる!」

「ポンポンしていいっすか?」

「それ、私もやってみたい!」

「カティアさん、口より手を動かして下さい!」


 ノーラがライフルで敵の運転手を狙い撃ち、カイナがグレネードランチャーを放ち、残りの者は敵車両のタイヤや乗員に向けて発砲していく。

 その結果、車両数台がクラッシュし、後続の動きを止める事ができた。


《撒いたか、ミシェル?》

《おそらく……》

《全員無事だな? カーテンを閉めて、隙間から様子を伺うようにしてくれ》


 その後、何度か敵の検問で小競り合いを起こしながら、俺達は無事に南門へと逃げる事ができた。





□◆ Tips ◆□

【レゴリスE Mk.2】

 ガラルドが使用していたレゴリスを基に、ヴィクターが再設計を施して完成度を高めたもの。フルオート射撃が可能になり、セミ・フルオートを切り替える事ができるアサルトカービンとなった。

 サブマシンガンや、アサルトライフルに近い運用を想定しているが、だったらそちらを使えば良いと悟り、設計段階のままお蔵入りになっていた。だが、カティアの武装強化を考えた際に復活した。


[使用弾薬]7.62×33mm弾

[装弾数] 30発

[発射速度]800-850発/分

[有効射程]300m

[モデル] Inland Manufacturing M30-P

[使用者] カティア




【フォレストハンター®︎ カスタム】

 崩壊前に、スポーツライフルや猟銃として使用されていた、民生品のセミオート式ライフルをカスタムした物。

 ノーラの使用するライフル(GW-422R)が、近〜中距離では過剰な貫通力を持つ事と、死都や街中での取り回しがしやすいライフルの必要性から、ヴィクターが急遽用意した物。


[使用弾薬]7.62×51mm弾

[装弾数] 10発/20発

[有効射程]700m

[モデル] M1A SCOUT SQUAD

[使用者] ノーラ




【ウッドペッカー】

 ヴィクターが開発したサブマシンガン。明らかにプレス加工を多用した様な見た目をしており、技術が衰退した崩壊後でも違和感が無いようにしている。

 マガジンに箱形の複々列弾倉を使用し、大容量の装弾数を実現した。

 ジュディ用に、レーザーポインターを取り付けてある。


[使用弾薬]10×22mm弾

[装弾数] 46発

[発射速度]850発/分

[有効射程]150m

[モデル] シテス スペクトラ

[使用者] ジュディ



【ストリームシールド®︎】

 崩壊前、警察や機動隊で使用された、小型軽量のバリスティックシールド。一応、遺物。

 チタン合金やスチール、セラミック、ケブラー繊維といった耐弾性物質の薄い板が多層を形成しており、特許を取得した特殊な構造により、軽量ながら高い防弾性能を実現しており、装備者の機動性を損なわず防御力の向上が可能。人間の上半身をカバーすることができ、近接戦時の急所への被弾や、長物での打撃攻撃を防ぐ。

 盾を装備した際の火力低下に対応する為に、盾にロングガン(ライフルや散弾銃などの長い銃)用のラックが存在し、突入時の制圧を補助する。

 使用しない時は、専用のスリングで背中に担いだり、肩に掛ける事もできる。


[モデル]Hardcore Defense Bravo Shield™

[使用者]ジュディ

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