003:勇者だけど。師匠が死にかけなんだが。


 魔物の生態系が戻るのを待っている間。

 

 勇者は、王都の城の通り中庭で、カカシ相手に自主練と称して素振りをしていた。

 すると、そこに、一枚の手紙がハラハラと落ちてきた。


 はじめは、落とし物かな?とくに気にせず、素振りを続けている、と。今度は数十の矢文が勇者の目の前に突き刺さる。


 これ以上無視していたら、もっと、山のように飛んでくるに違いない。下手したら当たるかもしれない。



 勇者は、危険性を感じ、最初に落ちてきた手紙を拾い上げる。


 そこには、近くの山小屋に、剣の達人がいる。という文面と住所が記載されていた。



 師匠か…。勇者は、これまで一度も、師というものを持ったことがない。


 ここで腕を磨き。魔王との決戦に備えようと気合を弟子入りをすることを決断した。



 早速勇者一行は、その山小屋に向かう途中剣の達人は、居合い切りされた巨木や皇国騎士団が放置した巨体ボスモンスターの遺骸など。いくつもの修行の成果が見て取れた。噂通りのかなりの手練のようだ。


 これは、絶対に教えを請いたい。


 山小屋には、筋骨隆々の師匠と呼ばれた屈強な剣士が、薪を手刀で割っていた。


 勇者は、ある程度、素性を明かして。自分を弟子にして下さい。と深々と頭を下げる。


「私は、弟子などとらぬっ」


 しかし、それを師匠は一言で吐き捨てる。


「「師匠にしてくださいだろうが…ッ!」」


 イラついた勇者を除く一行面々は。


 師匠を、騎士がグリグリと頭を踏みつけ。パラディンが腹を蹴飛ばし。聖女が死なない程度にじわじわ回復魔法をかけ。魔法使いが重力魔法で圧迫した。


 こういうときだけ、見事な連携プレイだった。その間、勇者はオロオロしていた。



ぼろぼろになった師匠は、命を危険を感じ、快諾した。


 剣の師匠は、剣術のみにならず。弓術。魔法。サバイバル術。

そして何より、心を強く持ち。持ち弱きを助け強きを挫く。その精神を勇者に数ヶ月かけて教え込もうとした。


 師匠は、訓練の最後に勇者に吐き捨てた。


「勇者!お前は絶望的に弱い!頼む、諦めてくれ!」


「「勇者様お強いだろうが…っ!」」


 イラついた勇者を除く一行面々は。


 師匠を、騎士がグリグリと頭を踏みつけて。パラディンが腹を蹴飛ばし。聖女が死なない程度にじわじわ回復魔法をかけ。魔法使いが重力魔法で圧迫した。


 こういうときだけ、見事な連携プレイだった。その間、勇者は泣いていた。




 もう、師匠には弱いと言われたし…。仲間は全員が凶暴だし。怖いよー・・・。


 勇者はメンタルをやられて、さらに数週間、自室に閉じこもることとなった。


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