アーマードマニュピレーター

AM:連合

 アーマードマニュピレーター。通称、AM。元は、レガル共和国による南極大陸開拓事業に利用する為に開発された、大型のパワードスーツ。開拓事業が国際世論の反発を受け中止された後、宇宙開発での利用の為に目をつけた連合に、技術を有償供与した事により軍事転用され、発展していった兵器。大きさは約10m前後。

 装甲を施し、武装すると兵器になる事から、連合と共和国の軍需企業間で共同開発が行われ、次第に両陣営の陸戦兵器としての地位を獲得していった。ただし、認識には双方に違いがあり、連合側は兵器であると公言していたが、共和国側はあくまでも作業用機械の一種であるとの見解を示していた。

 操縦者の電脳とAMをリンクする意識操縦により、自分の手足を動かす感覚で操縦する事が可能となっている。その為、操縦者自身が戦闘訓練で身につけた技能が、そのままAMの戦闘にも反映でき、訓練期間を短くする事ができるという点で画期的だった。

 初期の作業用パワードスーツに改造を施し、武装させた第1世代型、初めから戦闘目的に設計されて短距離飛翔能力を獲得した第2世代型、遠隔操縦も可能になった第3世代型がある。

 第2世代型までは、作業用パワードスーツ時代の名残りである、二本の操縦桿がコックピットに備え付けられており、操縦桿によるマニュアル操縦が可能だった。

 動力は当初、バッテリー駆動方式だったが、第1世代型では内燃発電機関を搭載する事で、出力向上に伴う電力消費を補っている。また、連合軍では第2世代型以降の機体に“受信機”を搭載しており、外部電源方式を採用していた。

 連合では、兵器の一種類として運用されていたに過ぎないが、逆に共和国では“兵器ではない”事から、民間企業(PMC)により積極的に運用されていた。

 ペットネームは、神話の巨人や神、怪物、英雄などからとられているのが特徴。



【AM-3 サイクロプス】

 数々の試作の果てに完成した、初の量産型AM。第一世代型AMで、元となった作業用パワードスーツの出力を向上させ、装甲を施し、専用の武装を装備させて完成した。その結果、ガッシリとした無骨なデザインとなっている。その名の通り、頭部にメインセンサーやカメラが一点に集中しており、単眼の巨人のように見える。

 動力は、発電用の高性能ガスタービンエンジンとバッテリーの併用。駆動系に一部、油圧機構を採用しているのも大きな特徴。

 崩壊前、連合軍では既に退役しており、予備兵器として保管されていたが、闇ルートで流れた本機が、同盟陣営の内紛やテロで使用されていたりと、AMの中でも一番仮想敵である同盟と戦っていた機体といえる。


[種別]第1世代型AM/MAM




【AM-5 アルビオン】

 第2世代型AM。第1世代型と比べて、最初から戦闘目的で開発されている。“受信機”の搭載により、衛星からの電力供給を受けられる為、ほぼ無限の稼働時間を持つ。同時に内燃機関の廃止により、被弾時の安全性の向上と、軽量化による機動性の向上が実現した。

 また、スラスターを用いた限定的な飛翔能力を獲得しており、立体的な戦闘が可能になっている。

 第3世代型が主流になりつつあった崩壊前の世界でも、第3世代型への更新がなかなか進まずに、まだまだ現役であった所も多い。

 ノア6にも数機が保管されている。


[種別]第2世代型AM




【AM-9 プロメテウス】

 連合軍で採用されている第3世代型AM。

 陸、海、空、宇宙全ての軍で運用する事を前提に開発が進められ、汎用性の高い機体構成となっている。

 この機体からコックピットの操縦桿を廃し、操縦系を完全に電脳直結型にした為、動かすには操縦者の電脳化が必須となる。この結果、従来機では難しかった遠隔操縦が可能になり、戦略の幅が広がっている。

 前世代機と比べ圧倒的な機動性を誇っている他、宇宙空間での運用を考慮して設計された為にスラスターが強化されており、結果として地上での三次元戦闘能力が強化されている。また電力供給・蓄電機能の向上により、パルスレーザーやビーム砲といった光学兵器や、レールガンなどの兵器を運用できるようになり、攻撃力の向上が図られた。しかし、これらの兵器は総じて高価だった為、通常は従来型の兵装が用いられていた。

 ノア6にも1機だけ保管されており、主にロゼッタの乗機となっている。


[種別]第3世代型AM




【AM-9S アトラス】

 AM-9 プロメテウスの宇宙戦・特殊部隊仕様機。主に軌道上のガブリエルなどのセラフィムに配備されており、新型かつ高価なAM-U1 ネフィリムの配備数を補う為に開発された。

 AM-U1 ネフィリム同様に、コンテナを用いた大気圏突入能力を備えており、衛星軌道からの空挺降下により敵目標に対する奇襲攻撃を可能にしている。他にも、同盟側の衛星破壊工作に対する、遠隔操縦機能を用いた直接防衛任務の他、衛星の修理・メンテナンス作業にも用いられる事がある。

 プロメテウスとの違いはそこまでないが、スラスターが増設され推力が強化されている。


[種別]第3世代型AM




【AM-U1 ネフィリム】

 AM-9を基に、連合が独自発展させ開発した機体。連合側は、『第4世代型AM』と謳っており、卓越した運動性とパワーを持ち、崩壊前に開発された機体の中では、最強の戦闘力を有すると言われていた。

 限定的ながら、重力下での飛行能力を有している他、専用コンテナによる、大気圏突入能力を備える。来るべき将来戦に備え、宇宙空間での使用が想定されている他、連合の宇宙空間での優位性を活かし、衛星軌道からの空挺降下により敵目標に対する奇襲攻撃を可能にしている。

 ただし、上記の戦術をとる関係で、必然的に特殊部隊専用機となっている他、一度宇宙に運搬する必要がある上、機体の武装搭載量も限定されてしまうという問題がある。また、機体価格が非常に高価だった為、製造されたのは少数であったと言われる。さらに、上記の戦術と機体の機密保持の為に、地上配備はされていなかった(軌道上のガブリエルなどのセラフィムに少数が配備)。


[種別]第4世代型AM

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