なつ休みのかんさつ日っき

秋来一年

なつ休みのかんさつ日っき

 7月26日 はれ


 きょう目がさめると、まくらもとにオヌポレンデュプラパがいた。わたしはとってもびっくりして、とってもうれしかった。

 すぐにおかあさんに

「ねえおかあさん、オヌポレンデュプラパかっていいー?」

 ってきいたら、おかあさんは、すこしこまったみたいなかおをして、

「ちゃんとおせわできるの?」

 っていった。わたしは

「もちろん!」

 ってこたえた。

 それで、ね、いいでしょおねがいおねがいっていったら、おかあさんは「はあー」ってためいきをついてから、

「しょうがないわね。きちんとおせわするのよ」

 っていってくれた。

 今日からよろしくね、オヌポレンデュプラパ。




 7月31日 はれ


 きょうはオヌポレンデュプラパとこうえんにいった。

 ボールでいっしょにあそぼうとおもって、たんじょう日にかってもらったピンクのボールをもっていった。

「オヌポレンデュプラパ、いっくよー!」

 しかし、わたしがなげたボールは、オヌポレンデュプラパの荷電粒子砲によってまっ二つになってしまった。

「せっかくいっしょにあそぼうとおもったのに、ひどいよ……」

 わたしがないていると、オヌポレンデュプラパははんせいしたのか、わたしのそばにすりよってきてくれた。

 それがとってもかわいかったので、わたしはオヌポレンデュプラパをゆるした。

 そのあとこうえんにきたワゴンでアイスをかって、オヌポレンデュプラパとはんぶんこしてたべた。おいしかった。




 8月5日 くもり


 きょうはとってもびっくりすることがおきた!

 なんと、オヌポレンデュプラパがわらったのだ!

 わたしはそのとき、じぶんのへやでオヌポレンデュプラパのおなか(もしかしたらせ中かもしれない)をなでていた。

 すると、くすぐったかったのか、オヌポレンデュプラパは、からだのはんぶんくらいある大きな口をあけて、

「あえっあえっあえっ」

 とからだをゆすった。わらったんだ!

 わたしはすぐにおかあさんにいいにいった。

 でもおかあさんは

「ばかいってるんじゃないの。オヌポレンデュプラパがわらうわけないでしょ」

 って、あいてにしてくれなかった。

 こんどはおかあさんのまえで、オヌポレンデュプラパをわらわせたいとおもう。




 8月13日 はれ


 きょうのオヌポレンデュプラパは大きかった。どれくらいかっていうと、ベッドにのりきらないくらい! 

 れいぞうこよりも、つくえよりも大きくて、さいしょはうれしかったけど、ひるくらいからちょっとじゃまだった。

 なんでこんなに大っきいんだろう、っておもってたら、おかあさんが、

「きのうは雨だったものね」

 っていった。わたしは、そっか! っておもった。

 きのうはたいふうがきていて、一日中雨だった。だからオヌポレンデュプラパはふくらんじゃったんだ。

 大きいとへやがせまいので、きょうはベランダですごしてもらった。

 はれてたから、よるごはんまでにはわたしくらいのサイズになってたので、よるはいっしょにねた。




 8月22日 雨


 ビックニュース! 

 なんと、オヌポレンデュプラパが、オンドレンパカドロスになっていた! 

 目がさめたらもうかわっていたので、わたしはすごくすごくびっくりした!

 おかあさんが、

「へんたいね」

 っていった。わたしは

「オンドレンパカドロスはへんたいじゃないよ!」

 っていったら、おかあさんはわらって、

「生きものがせいちょうして、すがたをかえることを、へんたいっていいうのよ」

 っておしえてくれた。

 わたしははずかしかったけど、オンドレンパカドロスが、へんたいであたらしく生えてきた57本のしょっかくをゆらしながら「あえっあえっ」ってわらってくれたから、さいごには三人でわらってた。

 ずっといっしょにいようね、オンドレンパカドロス。




 8月31日 はれ


 おわかれはとつぜんだった。オンドレンパカドロスのいないへやは、しずかでさみしい。

 おひるのそうめんをたべおわると、オンドレンパカドロスがなにかをいいたそうにしていた。

 このなつ休み、ずっといっしょにいたからわたしにはわかった。わかりたくないけど、わかってしまった。

「……いるべきせかいに、かえりたいの?」

 わたしがきくと、オンドレンパカドロスは「……ぬぽ!」と、すこしきまずげにないた。

「なんで? わたしとずっと、いっしょにいようよ!」

 わたしがなきながらいうと、オンドレンパカドロスが、いつかみたいにすりよってきた。

 あのときより、うんと大きくなったオンドレンパカドロスで、わたしはまえが見えなくなる。

 つぎに目のまえが見えたときには、オンドレンパカドロスのとなりには、人げんの女の子がいた。

 おかあさんがいった。

「オンドレンパカドロスにとっては、わたしたちユンゲールユリンガといるより、人げんといっしょにいるほうが、しあわせなのよ」

 かなしいけど、バイバイしようね。

 そういって、おかあさんはわたしのあたまをなでてくれた。

 わたしはかなしかったけど、さいごだからっておもって、がんばってわらった。わらって、手をふった。

 オンドレンパカドロスも「あえっあえっ」っていいながら、57本のしょっかくをふっていた。

 オンドレンパカドロス、どうかおしあわせに!

 こうして、わたしとオンドレンパカドロスはおわかれした。


 だからこの日っきもこれでおしまい!

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なつ休みのかんさつ日っき 秋来一年 @akiraikazutoshi

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