第3話 ナンパ

ナンパだ。

路地裏で、男性三人が女性を囲んでいた。


「そこのねーちゃん。かわいいね学校なんかサボって俺達と遊ぼうよ」


「結構ですっ」


出された手を思い切り振り払う。


「ちっ調子に乗りやがって」


先程までニヤニヤしていたナンパ野朗がさっき一つの行動により、睨みながら女性へと距離を詰めていく。

その行動に対して睨みを返すが、僅かに唇が震えているのがわかる。


その様子を見て俺は助けたいという気持で一杯だが、一瞬頭に電撃が走り動けずにいた。

だ。

助けを呼ぼうかと周りを見ていると、通りがけにちらっと一瞥はするが、巻き込まれたくないのか何もなかったように早足で通り過ぎていく。

他人の助けにどうやら希望はないみたいだ。



それもそのはず、よく見てみたらこのナンパ野朗は地元で有名な悪だった。

親の権力をふるにつかいやりたい放題やってると噂に聞いてた事がある。

たが、どれも表沙汰になった事はない。

きっとこの行為ももみ消されるだろう。



("くそっ!こんなの一体どうすればいいんだ")

文武両道な俺だが、肝心な時にいつも行動が出来なくなってしまう。

本当に自分で情けないと思う。

刻々と時間が経っていくなか、俺は金縛りに会ったようにただただ、無理矢理少女がナンパ野朗に引っ張られている姿を遠目で見る事しか出来なかった。


("このままでは、、、")


 視界から消えてしまうタイミングで

 上から液体がナンパ野朗にかかる。

 ナンパ野朗は驚いて空を見上げるが綺麗な快晴だ。

なのに、何故か自分達のとこだけ降ってくる。

 しかも、真っ直ぐではなく少し曲線を描いている感じで降ってくるのだ。

ナンパ野朗はその謎の現象に怖くなり少女を置いたままその場から走って立ち去った。

 それもそのはず、多くの人間は皆目見当つかない出来事が起こってしまった場合は、その場から去るか立ち止まるの二択だろう。

 今回は前者だったが、後者の場合でも少女はその場から逃げて助かっていただろうな。


ふっと俺は安心して笑みを溢しつつ一部始終の根源に目を向ける。


俺を見て屈託のない笑顔でズボンからイチモツを出してる空(そら)の姿があった。

俺の今の体を共同で使っている間柄だ。

俺と空は、体を譲りあって使っている。

その為、魂の状態である空の姿は透明状態で俺以外誰にも視認出来ない。



俺は空に向かって

(空よくやった!)

とサムズアップをしながら、海と意思疎通を図る。

他人が目視出来れば捕まってしまうが、、、、、。


空は嬉しそうに

(海が見えたし、、、それにちょうど溜まってたからな、、、、、)

と満面の笑みで帰してきた。


海とは俺の事だ。

空と会話する時のみお互いの呼び名を決めていた。


すると、空が急に目線を逸らすのでそれに合わせて視線をやる。

すると、先程までナンパ野朗に絡まれていた女性が俺へと小走りで向かってきた。

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