第237話 頑張ってね

〜エルフ〜


「このシロクマ、離せぇ〜…」


「ハッハッハ。」


「くっ、フワフワすぎて攻撃できない!」


起きたリーナがシロクマに捕まってる。

何も知らない人が見たら、エルフの美少女がシロクマに捕食されそうになってるようにしか見えない、すんごい絵面だ。


「リーナ、フワフワだよ…

フワフワ…」


「お、お姉ちゃん!」


そんな信じてたのに!みたいな反応されても困るんだけどなぁ…

だって私の意思というよりかはエルフボディの方がフワフワに落とされてる感じがする。


『そろそろ休憩は終了だ。

君主の協力により、次は神が居る場所に直接乗り込める、体調不良は無いな?』


「ない…」


「ムゴムゴ…」


リーナが毛に埋められてしまった…

何言ってるか全く聞こえない。


『大丈夫そうだな。』


「んーー?!?!」


大丈夫なのか?

なにか言っているリーナをスルーし、神様達に頼まれてシロクマがゲートを開く。


「気をつけて行ってくるんだよ。

君たちがどんなに強くても相手は神、無理そうなら帰ってきていいからね。」


「うん、シロクマさん、またね…」


「あぁ、気をつけて。」


うん、普通に喋ってるけどリーナをそろそろ離してあげてね。


「おっと、そうだった。」


「あー、フワフワで程よくあったかくて最高だった…」


アレェ?

もっと怒ってるかと思ってたんだけど、意外と普通だな。


というかなんでリーナがシロクマさんに捕まってたのか私知らないんだよな。

ずっと起きてただろうゴーレムは知ってるかな?


「ねぇねぇ、リーナ何したの…?」


「敵だと思ってシロクマに突撃したはいいものの、リースさんが寝てるのに気づいて呆気に取られていた間に捕まっただけです。」


予想の数倍しょうもなかった。


ーーーーー


ゲートを潜った先は前に相手の神様とあった空間に似ていた。

中心の玉座みたいな所に相手の神がいるのは変わらない、でも前回とは違う装備だ。


「来たか…」


「うわ、ダサ…」


「…なんとでも言うがいい。

今回で我々のどちらかが死ぬ、そして私は負ける確率が高い、ダサさで安全がもらえるのなら安いものだ。」


ちょっとピクって反応したぞ、多分というか絶対にダサいって言われたの気にしてる。

ノータイムでダサいだからね、あの神がどう思ってるかは分からないけどリーナは美少女だから刺さるよ。


「話も無駄だろう、始めようか。」


神が立ち上がって杖を振る、それと同時に後ろから嫌な予感がした。


「よいしょっ…」


「わわ!」


なぜか反応できてなかったリーナの足を引っ掛けて転ばせる。


「避けるか…」


私達の頭があった位置をゾンビ物の映画で見るようなレーザーが通り過ぎた。

めっちゃ危なかった。


「ヤバイ、判断を鈍らされた。」


あの神が何かしてリーナが避けられなかったのだ。


カン!


杖で地面を叩く音と同時に頭がくらっとして動けない、今度は左側から来てるのに…!


「お姉ちゃんごめん!」


「ぐえ〜…」


急に蹴り上げられて3メートル吹っ飛ぶ、極力痛くないようにはしてくれたみたい。

何をしたのかは全くわからなかったけど、判断能力を奪うというよりは、体を動かすのを阻害してる感じに近いな。


そして、


「どちらか、片方にしか使えない…」


「その通りだ。

お前等の元々の大勢が高いのに加えて、その装備で底上げされている。」


会話をしてる間にもゾンビレーザーは流れてくる。

中心で立っている神に当たりそうになると消えるから、当たらないように設定されてるか操ってるかのどっちか。


隙を見て近づこうとしても阻止して来る、他にも協力者がいるのかもしれない。


カン!


くらっと来ない、狙いはリーナ!

上から網目状のレーザーが向かっている、範囲はなかなかに広くてかなり危険な状況だ。


「【ヘイスト】

…!」


リーナの元へ走って行く最中、地面が波のように揺れた。


「ふっ…!」


右脚だけ前に出し思いっきり踏み込み真横に向かって飛ぶ。

飛んで行る間にもレーザーが向かって来る。


ジュッ!


掠ったけどそこまで重症じゃない。

リーナにぶつかるように抱えて網目上のレーザー範囲からなんとか逃げ切る。


『精神保護強化の魔法を使うんじゃ!』


私達はそういうのは無効化する能力、持ってなかったっけ?


『あの杖の効果じゃ。

無効化のみを貫通する。無効化だけなくなったとしてもリースたん達の耐性はかなり高いが相手は神、耐性を突破したんじゃ。』


なんだその初見殺し。

無効化するし〜、って調子乗ってたから『はい魅了!裏切って!』みたいになる可能性もあった。


怖すぎ!


「【我らの心 魂を守りたまえ】」


「カラクリに気づいたか。

さぁ次だ!」


カン!カン!


今度は重力か、体が重くなって動きずらい。

だんだん上からの圧が強くなるのに、神は平然と立ってる。


「先にぃ!行って!」


「…!リーナ!」


リーナが風の魔法を使って、私を神の元へと吹き飛ばす。制御が少し甘くて勢いが強かった。


「ここ、軽い…」


レーザーはまだ動いてる。

この重力魔法の核は杖先、地面から離させれば魔法は解除されて普通に動けるようになる。


メイスをバットのように振って、近くの瓦礫を神に向けて放つ。


「それだけでは無駄だ。」


私の飛ばした瓦礫は素手で破壊される。

だが、粉々に砕いた事で一瞬だけ私が見えなくなる。


この攻撃は避けられない。


「クソッ!」


杖で防いだ事で魔法が解除される。

勝負は始まったばかり、今の所は大きな怪我はしていないけど、無理して攻めるよりは相手の作戦切れ、息切れを狙うのが安全か。

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