第238話 順調…………?

〜エルフ〜


相手の神との戦いは、基本的に私達有利で進んだ。

だけど神の作戦の量が多くて、私とリーナは少し怪我をしている。


「うわっ!上に落ちる〜!」


今度は逆さまか…


神様達のサポートのおかげで相手の作戦を一つずつ無効化しており、そろそろ相手にも傷を負わせられるんじゃないかと思ってる。


「なんか頭が、バグる…」


天井に立ってるから、いつもと見てる光景が変わって少し動きにくい。

逆さまというよりかは、天井が地面になるぐらいの重力が発生してる感じ。


「邪魔…!」


こういう小細工よりもレーザーの方をなんとかしたい。このレーザーは鎧にも傷をつけるし、同じ場所に連続でレーザーが当たれば貫通もする。


制御してる魔道具があるはずなんだけど、部屋の中を見た感じ怪しいのは無い。


「やっぱり削れないな。

俺の作戦もどんどん無効化されてしまっている…」


相手は余裕が無くなってきたのか独り言いってる。


『飛行魔法だ。

そうすれば認識は戻る。』


アドバイスありがと。


飛行魔法を使うと、クルッと上下の認識が元に戻った。回転して戻ったせいで少し気持ち悪い…


「さて、と!

喰らえ!朱音直伝のぷよぷよボール!」


相手とは逆に余裕が出てきたリーナが魔法を使っての攻撃を始めた。


「危ないな。

掠ったら腕が飛ぶぐらいの魔力が込められている。化け物かよ。」


アイツ、意外と動けるんだな。


「ん…?」


レーザーがリーナの魔法へと標的を変えた。

リーナの使っている魔法はレーザーをしばらく当てると消滅してる、神の身を心配したんだろう。


だけど、その行動は大きな隙になって私の攻撃チャンスだ。


「えい!」


「…!

シールド!」


守りの魔法、言葉に出す事で強度をあげているみたいだ。


私のメイスによる後ろからの攻撃を防ぐとは思わなかった。

まぁ、この程度ならすぐに破れる。


「無理、か…ガハッ!」


シールドを破った私のメイスは神の脇腹に直撃し、血は出なかったものの、攻撃が当たった装備には大きな亀裂が出来上がった。


余裕で勝てそうだ。


いや、待って?

そういえば魅了野郎を倒した時って黒い槍使って魂捕まえてたよな、今回はそういう装備貰ってないけど問題ないのか?


今更か…


「ゴボッ…」


装備は形を保っていたけど、中身にダメージがかなり入ったみたいだ。

定期的に光っているのは回復魔法が自動で発動している、メイスの傷は治りにくくなってるせいで少し眩しい。


「終わった?」


「あ、リーナ…」


どうするべきか迷ってたら後ろからリーナが話しかけてきた。目の前の神が吐血したのと同時ぐらいにレーザーが消えたのだ。


「回復される前にトドメ刺そ?」


「うん…」


なんだが呆気なかった。

相手の世界に攻め込んでから、森で2週間近く、雪山で1週間、ダンジョンで6日?


めっちゃ時間かかってたわ。


思い返すとあっという間だったけど、探索してた間はめっちゃ長くてイラついたなぁ。


「やっぱり勝てなかったか…」


「「!」」


背後にもう1柱!

ねぇ神様達、しっかりと周辺の状況把握しておいてくれないかな?!


「おい相棒、いままで楽しかったぜ。」

「そうだな…」

「先に逝ってるぞ。」


目の前でなんか覚悟決めた神2柱による友情物語的なのが始まったんだけど。


「ん…?」


あれはナイフ?


ザクッ!


「あっ…」


止める暇もなく、新しく現れた神はナイフを自らの心臓へと突き刺した。

ナイフをしっかり握ったまま倒れ込む、流れ出した血が魔法陣を描いていく。


『何をするつもり…

解析はどうなってる?!』

『ダメだ、妨害されてる!』


神様達が焦ってる。

それに加えて私も嫌予感がして体が少し震えている、横にいるリーナの腕を掴んで全力で防御系の魔法を使用する。


「私とお姉ちゃんの耐性強化するから、衝撃に対する守りに徹して!」


「わかった…!」


『ーーーー!』


神様達の声が聞こえない。

神が自らの命を犠牲に発動する魔法、魔力が多過ぎて通信が阻害されてるのかもしれない。


「来るよ!」


魔法陣が眩い光を放ち魔法が放たれる。

何かが削れる音と私の作った結界が割れる音が聞こえて、


左肩に鋭い痛みが走った…



〜チャラ男神〜


リース達が攻める世界で複数の神の気配はしていた。

そもそも相手は神の集団で俺と爺さんが数を減らしたとはいえ、まだまだ残っているのにも気づいていたのだが、自分の身を犠牲にしてまで戦う神がいるとは思わなかった。


「チャラ男!完全に通信が切れたぞ!」


神1柱を犠牲に魔法が発動した。

通信もできず、リース達の様子もわからない、まじやっべ★


「落ち着け、あの子達の戦闘能力は高い。

あの程度の神ならば傷付くことはあっても死ぬことは無い。」


「軍服女神!

儂はあの子等が死んだら離反するからのぉ?」


「クッソ迷惑だなお前。」


こっちこっちで喧嘩っぽい事が始まった。


だが爺さんの言い分もわかる。

可愛がってた眷属がピンチで、攻める原因を作ったのは神達の方針、爺さんが1番初めに考えていのは少し戦って追いかえすプランだったのだ。


「そろそろ繋がるぞ!」


「「!!!」」


爺さんが暴れないのはまだ眷属の繋がりを感じられるから、だからアイツ等生きてるはずだ。


『お姉ちゃん!』


ほら、ちゃんと声も聞こえーー


「あのクソ神がぁ…」


映像に映ったのは深めの怪我をしたリースの姿だった。

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