第235話 中ボス的な?

〜エルフ〜


『あと探索してないのはその道だけじゃ。』


運が悪かったのか私達はハズレの道を全て探索したみたいだ。

ちなみに3日かかってます。


「私達が通ったところの魔物とトラップは全て倒したし、ゲームだったら称号ゲットしててもおかしく無いよね。」


「うん…」


敵地のダンジョンの中で完全に気を抜いて休憩出来るわけもなく、私とリーナには疲労が溜まっていった。

それを問題視した神様達がパーフェクトリングとかいう、名前の通り身体の状態をパーフェクトにする装備が送られてきた。


ほぼ直線の道を歩いてると大きな門が見えた。


「なにこれ…」


「うーん、多分この装備を付けないと開かないか通れない門だろうね。」


門の前には腕輪が3つあって、壁には門を開ける手順として下手くそな絵が描かれていた。


『しばらくその場で待機、我々で解析してみる。』


「わかった…」


この腕輪はどんな能力が付いてるのだろう?

さりげなく鑑定してみる。


弱体の腕輪


名前まんまやんけ!

ちなみに効果は…


魔力消費UP

魔力耐性down


「ふぇ…?」


…これだけ?

いやね、もっと派手なデバフがかかると思ってたから予想以上のショボさに驚きを隠せない。


「急に可愛い声出してどうしたのお姉ちゃん、誘ってる?」


…純粋だったリーナを汚した奴が居るみたいだ。

容疑者、神様、チャラ男神。


「誘ってない…

それより、そんなこと教えたの、誰?」


「ん?」


「誰…?」


「ん〜??」


誤魔化してるなぁ。

今回は引くけど、全部終わって次に何か似たようなことあったら絶対に聞き出すからな。


『ふむ、別に付けなくても入れそうだぞ。』


「ほんと…?」


『あぁ。』


門の解析には意外と時間は掛からなかった。


『素材も我々からしたら少し硬い程度の石だし、リースの持ってるメイスで思いっきり叩けば壊れる。』


そんな脆かったんだ。

早速メイスに魔力を込めて大きくしていく。


「えい…!」


想像の10倍は脆かった、抵抗なんて全く感じずにメイスは門を破壊した。

咄嗟に力を抑えなかったらダンジョン(仮)の床をぶち抜いてたかもしれない、それどころか半壊してたかも。


「あ、なんか居る。」


砂埃の中、大きな身体がかろうじで見えた。

門の機能や部屋の広さ的に多分中ボス的な存在のはずだ、いつ攻撃が来るかわからないし警戒しておかないと!


「デカッ!」


それは四足歩行で、毛皮に覆われて、白い。


「シロクマじゃん。」


シロクマだった。


いや可愛いすぎるな。

あのクリクリした眼、フワフワな白い毛皮、丸いフォルム、そして所々にある足跡。


そしてこの部屋は空間が歪んでいるようで、雪山っぽい雰囲気になっててかなり広い。


もうこの空間全てがシロクマの可愛いを引き立ててる。


「可愛い…?」


いや待て、あまり期待するな。

地上にいたペンギン軍団みたいに裏切られるかもしれない、見た目の可愛さに反してめちゃめちゃ凶暴だったり…


「よく来たね。」


「「え…?」」


え?


「異邦の方だね。

でも奴等より悪い予感がしない、歓迎しよう。」


「喋ったァァァァァ!!」


こら!リーナ、シロクマさんに失礼でしょ。

喋ることのできるシロクマさんぐらい普通に居るよ、多分…


「おやおや、だいぶ混乱させてしまったようだね。

此処は奴等に関与できないようにしている、落ち着いたら話そうじゃないか。」


めっちゃ理性的!


まて、エルフボディが相手の力量をすぐに看破できなかった。

しかも完全じゃないなんて、このシロクマはただ物じゃないな。


『話が出来るならそのまま待機だ。』


「おや?

君達は別の神のサポートを受けているのかい?」


神様達の声は私達にしか聞こえないはずなのになぜバレた?!


「…う、うん。」


「そんな怖がらなくていい、最初に言ったが君達からは嫌な予感がしないし、どんなサポートを受けたのかもわからない。」


ヤバイ、このシロクマ愛くるしい見た目に反して色々と鋭くて、私苦手かもしれん。


「ねぇ、触ってもいい…?」


エルフボディは苦手意識よりもフワフワを触りたい欲が勝ったようだ。


「構わないよ。」


「わーい…」


前言撤回、大好きかもしれない。

あ、ラブじゃないほうだよ。


モフッ


沈む!柔らかい!フワフワ!


「寄りかかって、いい…?」


「別にいいぞ。」


うっ!フワフワ!



〜ゴーレム〜


「ふ、ふわふわ…」


エルフの姉の方がおとされた。

ちなみに妹の方は喋ったことに驚いたっきり動かなくなってます。


『ゴーレム、我々の声を出せるか?』

「もちろんです、少々お待ちください。

……どうぞ。」


この方々は前の神より待遇はいいのですが、かなり無茶振りが多いんですよね…


「『聞こえるか?』」


「なるほど、この子達のサポートをしている神だね。」


「『その通りだ。

いろいろ聞きたいことはあるのだが、とりあえず1つ。』」


エルフ姉妹がシロクマと呼んでいた目の前の存在について、私は全く知らなかった。

元主人の秘密兵器で、情報漏洩を恐れて私にすら教えていなかったのだろう。


「『君は、その世界の君主だったのか?』」


「ふむ、君達の君主というのはわからないが、私の認識で世界が生まれた瞬間、同時に生まれた存在が君主ならその通りだ。」


君主?初めて聞いたワードだ。




『すごいぞ!

野生の君主なんて初めて見た!』

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