第234話 蟻の巣

〜エルフ〜


「じゃあ私は戻るわね、頑張るのよ。」


カマーが装備を持ってきてくれたんだけど…


シュコ〜 コ〜


なんだこのクソダサいマスク。


『地下などの狭い場所では毒ガスなどのトラップが想定される。

多少視界が悪くなるのは問題だが、そもそも装備の効果で並大抵のトラップは無効化できる。』


コ〜 シュコ〜


呼吸音がなんか面白いな。

リーナとか付けるの嫌そうだったけど、私が積極的に付けたのを見て渋々装着してた。


『お前達の付けている装備でも防げなそうなトラップがあれば我々が事前に教えるから安心して進め。』


「「コ〜…」」


このマスクのヤバすぎる弱点、会話ができない!


「…!」カッ


「…?」


リーナが眼で何かを訴えてきてるけど、私にはわからない。

ていうかメッセージすればいいんじゃないかな?


(なんでメッセージ、しないの…?)


(ちょっ!

お姉ちゃん、メッセージはずるだよ!)


ズルって、円滑な情報共有のためには必要でしょ。


(姉妹なんだから目で伝わる愛があるはず、なのでメッセージは禁止です。)


愛って、あるけども今やる事じゃなくない?


「地下への入り口を見つけました。」


ゴーレムが神が籠ってる地下への入り口を発見してくれた。

今は亡きペンギンの魔力が大量に漂ってるせいで私とリーナの探知が使えない、魔力を大量に解放すれば使えなくもないけど戦いの前は危険。


琴音さんとの距離も離れてるし、回復力が上がってるとはいえ魔力は有限、節約していかないと。


「此処です。」


2メートルぐらいの円型に穴が空いてて、中心にポールみたいなのがある。

このポールを掴んで滑り落ちるのか。


『なかなか洒落ておるのぉ。

儂は好きじゃよ。』

『そうか?利便性皆無で終わってんだろ。』

『神なら飛ぶか転移すればいいからな、移動魔法が無効化されるエリアならともかく、この機構は要らないな。』


ロマンはあるけど、実際に使うとなると確かに嫌かな。


「誰から行きますか?」


ゴーレムがそんな事を言い出したから取り敢えず指を刺しとく。


『お主に決まっとるじゃろ。』


「…!」ウンウン


何故かゴーレムが渋ったため、全員で多数決を取る。

結果1対5でゴーレムが先頭に決まった。


「どうしたんですかリーナs…ああぁぁぁぁ!!」


それでも焦らす神にイラついたリーナが蹴落とした。

あまり深くなかったみたいで直ぐにドスンという音と共に、問題なかったです、と聞こえる。


言葉の節々に怒りが見えるのは気のせいじゃないだろう。


「……」パタパタ


ん?

どうしたリーナ、腕を横に伸ばしてパタパタして全く意味わからないからメッセージ使っていい?


「…?」


「……」パタパタ


「???」


わかんないって、ただリーナが可愛くて神様が興奮してるだけで一切伝わってないよ。


仕方ないからスルーして先に降りる。


「リースさん、怪我はありませんか?」


「コ〜…」


残念なことに瓦礫が沢山あって扉が開けられない。


「これから清掃です。

できれば魔法を使って河歴を上まで運びたいのですが手伝っtーー」


ドゴッ!


話していたゴーレムに上から落ちてきた何かが思いっきりぶつかった。


「フシュ〜…」


落ちてきたのはもちろんリーナ、ワイルドだねぇ…


『その地下空間は魔力を帯びていてかなり頑丈になっている、瓦礫をどかすなんて面倒な事はしなくてよさそうだ。

扉を壊せ。』


ドーン!


さっきからゴーレムが雑な扱いされて、結構勝手に進んでる感じなんだけどいいのか?

いや、軍服女神様の指示だから大丈夫だとは思うけど…


『ふむ、爺さん!探知はどんな感じだ?』

『トラップが結構あるのぉ、じゃが魔物の気配も多いし毒ガス系のトラップな無いじゃろ。』


それは希望的観測すぎないか?


「あー、苦しかったぁ…」


「…!

リーナ、もっと警戒しよ…」


「でも苦しかったんだもん!

それにお姉ちゃんの声が聴こなくてメンタルが危なかったの。」


マスクを外して軽く話す。

でも此処はいつ敵が来るかわからない、私もリーナもちゃんと周囲を警戒している。


『我々が地図を書く、最初は適当に探索しつつ後半になってから指示を出す。

トラップに関しては全て報告は難しい、魔物と危険度の高いトラップを優先的に報告する予定だ。』


軍服女神様からの指示通り、地下を私とリーナと2人で探索を始める。


「私ここ嫌い。」


「どうして…?」


「お姉ちゃんが閉じ込められてた場所を思い出すから…」


地下はブロック状にされた石で構成されてる。

簡単に言えば石造りのダンジョンみたいな感じ、結構な頻度で光る石が置いてあるおかげで地上と同じように歩ける。


『5メートル先、右側魔物です。』


わざわざ機械音声でやる必要あるのだろうか…


「やってくる…」


「お姉ちゃん頑張って!」


「うん…!」


このダンジョン(仮)に出てくる魔物は狼みたいな奴が多い。

戦い方は速度が早かったり幻を見せて近寄って噛み付いてくる、まぁエルフボディの速さより弱いし魔法を簡単に見破れるから余裕だね。


「眠い…」


だけど余裕すぎたせいか飽きてきた。


「この世界だと最上級の魔物なのですが…」


私とリーナにとってはクソ雑魚だね。

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