第233話 ペンギ…うん、ペンギン

〜エルフ〜


クソ寒い領域を歩いて7日。

相手の神が居るであろう建物を見つけたのまでは良かったんだけど…


「あそこに居る大量の魔物は危険です。

できるなら戦闘を避ける事をオススメします。」


その魔物は建物を中心に盆踊りのように回りながら歩いていた。


「ねぇお姉ちゃん、私思ったことがあるの。」


「そうだね…」


リーナが言いたい事はわかってる。


「あれ…

めちゃめちゃ大きいけど、どっからどう見てもペンギンじゃない?」


「うん、ペンギン…」


その魔物は体調4メートルほどのペンギンだった。

数にして…多分200匹ぐらい。


「あの魔物は移動能力は低いですが、遠距離と耐久性に秀でています。

一定の距離まで近づけば迎撃されるでしょう。」


口から遠距離攻撃してくるのかな?


カッと開いてパワー貯めてドーン…

ちょっと見てみたいな。


『すんごく頭が悪くなってる気配を感じるのぉ。』


勝手に思考を読まないでよ。


「でもさ、この距離で反応してないじゃん?

私とお姉ちゃんならこれぐらいの距離なら魔法で攻撃できるんじゃない?」


…出来なくも無いけどさ、見たくない?


「…お姉ちゃん、もしかしてあのペンギンが気になってる?」


「……」


「ペンギンって意外と臭うらしいよ。」


確かによく生臭い感じとは聞くけど…


「でも、ビームみたい…」


私はその生臭い感じで少し抵抗が生まれたけど、エルフボディは見たいらしいです。


「かしこまりました。

私のサブボディで接近し、ペン・ギンによる遠距離攻撃を確認しておきましょう。」


「うん、よろしく…」


ていうか、あの魔物の名前もペンギンなんだね。

ゴーレムが背中に背負っていたリュックからバスケットボールぐらいの小さいゴーレムを取り出した。


「命令、敵戦力の確認。」

「了解いたしました。」


ボールのようにコロコロ転がりながらペンギンの元へと向かっていった、さらばバスケットボール…


「お姉ちゃん見て見て!」


おっ、ペンギンが反応してる!

口を開けて?


「あれ…?」


バケットボールを見つめつつも口を開けない。

そのうちペンギンの頭上に魔法陣が現れてバスケットボールが破壊された。


「思ってたのと、違う…」


なんだろう、勝手に期待して裏切られただけなのに、めっちゃイラつく。


「いかがでしたか?

満足頂けたでしょうか?」


「不満…」


「よし、お姉ちゃんを不機嫌にしたクソペンギン潰してくるわ。」


「いってらっしゃいませ。」


リーナが魔法使って攻撃始めた。

頑丈っていうのは嘘じゃないみたいで1回で全滅とはならなかった。


「私、口を開いてビーム出ると、思ってた…」


「口開いてビーム?

こんな感じで?アーーー」


うん、確かに私の想像してた口からビームなんだけど、リーナがやったら違和感が凄いわ。


「薙ぎ払え!」


「ゴーレム如きが私に指示するな、指示していいのはお姉ちゃんだけなんだよ。」


何処ぞのアニメで聞いたセリフだ。


なんて考えているうちにペンギンの数はどんどん減っていく、途中ヤケクソ気味に魔法がこっちに飛んできたけど私が完全に防御、流石に可哀想になってきた。


「これで最後、と。

あの城に入ろっか〜。」


「うん。」


近寄ってみると意外と小さい、サッカーゴール3つ分くらいの城。


『地上に神の気配はない、おそらく地下だ。

トラップの警戒を怠るな、お前等が怪我したらここにいるジジイがうるさくなるから気をつけるんだぞ。

私も心配している…』


ツンデレか!


「ちょっと待って〜。

私思ったんだけどさ、これ地下に篭ってるなら地上爆破して生き埋めにすればいいんじゃない?」


…そういう作戦使う映画あったな。

結構良くないか?


『待て、それはやるってkーー』


「はい、ドーン!」

「ドーン…」


通じ合った私とリーナは城を魔法で吹き飛ばした、それと同時に軍服女神様の声が聞こえて何かやらかしたと察した。


「城入ろっか完璧に吹き飛びました。

地下への入り口は不明、このまま放置したとしても神が死ぬ確率は0です。」


「「……」」


『言いたいことはあるか?』


冷静に考えていればわかるはずだったな…


「ごめんなさーー」


「待って、まだあるよ。」


何故ここで粘るんだリーナ、とりあえず謝罪した方がいいんじゃないかなぁ…


『ほう、言ってみろ。』


「水没させればいいんだよ!」


汗めっちゃ掻きながら案を言うリーナ。

少し冷静になろう?神だし溺死はしないと思うよ、それどころか私達の探索が面倒になるだけだよ。


『相手は雑魚でも神、溺死はあり得んぞ。』


「なら溶岩で!」


『壁を建てられて終わりだな。』


「なんでも溶かす酸で!」


『そんな物はいったい何処にあるんだろうな。』


圧倒的な敗北だ。

もう、ぐうの音も出ない程の敗北。


「…ごめんなさい。」


『よろしい、探索用の装備を送るからそれまでそこで待機していろ。』


体育座りをして落ち込んでしまった。

頭撫でてメンタル回復させておこう。


「ザマァw」


おらクソゴーレム、煽るなら私が破壊するぞ?


「チューしてくれたら、テンション爆上がり…かも?」


チョップ!


「あ、イタ!」


「調子、乗りすぎ…」

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