第232話 いざ行かん

〜エルフ〜


「うん、それじゃあ許します!」


「あ、うん…よかった……」


何か大切な物を失った気がするのと同時に、神様達が近くに居てくれたから大切な物を守れた気もする。


「よし、では準備しとくれ。

軍服女神にも連絡したからすぐ来ると思うぞ。」


「「はーい/わかった…」」


今回行くところも前回みたいな感じなのかなぁ。

正直、もうあんなに長く景色変わらない場所を徘徊したくないよ…


「どんな場所なんだろうね〜。」


「ぐるぐる、嫌だ…」


「それは言えてる。

めっちゃ快適な場所でもずっと居ると不快になるって事を学んだよ、でも最後の蹂躙はストレス発散になったよね。」


「うん…」


流石のエルフボディでもあのクソ森にイラついていたようで、燃えていくのは見てて本当に楽しかった。


「あっ、髪の毛挟んでるよ〜。」


「ん、ありがと…」


…今更なんだけどさ、異世界の侵略終わったらどうするんだろ?


ほら、元はこっちの世界に攻めてきてたわけで、それが無くなったら私が現世にいる必要も無くなる訳で…

流石に琴音さんと離れるのは嫌だから神様に直談判、でも琴音さん達には琴音さん達の生活があるわけで、今みたいにずっと一緒に暮らすわけにもいかない。


やばい、センチな気分になってきた。


「なんか一瞬だけ暗いオーラ出たけど大丈夫?」


「ポウ…」


「ポウ?」


危ない危ない。

これから戦いに行くのにメンタル落ちるのはダメ、ちゃんと切り替えないとね。


「準備は終わっているか?」


「ん、終わってる…」


軍服女神様がゲートから現れるのと同時にそう聞いてきた。


「お前等はゲート開く準備できているんだよな?」


「「もちろんです!」」


せっせと動き始める神様達、さっきまでカメラ持ってふざけてた奴と同一人物だとは思えないよね。


「よし、では軽く説明する。

今回の襲撃で君等のどちらかが神を殺すことになる、1柱でも倒せれば世界の神が空腹になり私が直接乗り込み蹂躙することができる。」


1つの世界に神様は1柱ってこと?


神様達のルールはいまいちわかってない。

相手の神は複数いるけど1柱倒したから勝者はこっちになるんだろう…多分!


「少し目を瞑れ。」


「ん…」


顔を両手で挟まれ、少し上を向かされる。

これってキスする体勢なのでは?


「【闘いの加護】を。」


軍服女神様が呟いて私の頬っぺたに軽くキスしてきた。


「「キタコレ。」」


神様達が興奮してる。


「これでいい、妹の方もだ。」


「…はい。」


リーナめっちゃ不機嫌、きっとキスした場所が私の頬っぺたじゃなくて唇だったらブチギレてたな。


「ゲートを開いたぞ!

案内役として契約でガッチガチに縛ったゴーレムを連れて行くといい、トラップにも突っ込ませれば安全に進めるはずじゃ。」


おぉ!

この前に裏切って味方になったゴーレムだ!


「リーナ、いくよ…」


「頑張ろうね!」


今回は私とリーナ、そしてゴーレムの3人?体制での侵略だ。

前と同じように神様達の連絡が途絶える可能性があるとかで、使用すればここに強制転移してくる魔道具をもらった。


「ガンバー。」


気の抜ける声だなぁ…

ま、リラックスはできるけど。


ーーーーー


「寒い!

なんだここ、終わってる!」


…言葉使いが悪くなってるな、ちゃんと矯正しないといけない。


でも確かに寒い。

実際はどうか知らないけど北極みたいな場所だ、氷柱とかめっちゃあるけど…


「嫌がらせの世界チャンピオンに慣れるよ、あの神。」


「もう、チャンピオンじゃない…?」


「ん?

…確かに、世界の管理者である神、この世界に居る全ての頂点…つまり、奴は嫌がらせの世界チャンピオン!」


証明完了。


でもその理論でいくと、すごく不名誉な世界一を押し付けることも出来るよね。


「という事はお姉ちゃんと私を保護してる、私達の神様は世界一のロリコnーー」


『早く探索を始めるんじゃ。

寒さは魔法で相殺しておるから、安心して進めー。』


不名誉な世界一を避けたな。

てっきり神様は全てを曝け出してると思ってたんだけど、避けるなんて意外だな。


『氷柱の中になん等かの魔法を維持してる物が混ざっている、近くにあれば報告するから破壊しろ。』


「いぇっさー…」


『返事はうん、か、はい、だ。』


「あい。」


『よし、では頑張れ』


めっちゃフニャフニャな言葉だったけど、それでいいんだ…


「ほらゴーレム、お姉ちゃんに媚び売って味方になったんだから早く案内してよ。」


「その場から散歩歩いて右に曲がってください。

それを繰り返していればつきます。」


「壊されたいの?」


このゴーレム自然に会話してる、もしかして私みたいに魂持ってる?


「ゴーレムさん、案内お願い…」


「かしこまりましたリース様。」


「あんた私と態度が違いすぎない?」


「そうですかね?」


なんだかんだで相性が良さそうだ、リーナとゴーレムさんはきっと仲良く慣れるだろう。


「ねぇカーナビ、どれぐらいで着く予定なの?」


カーナビて…

どこでその知識を拾ってきたのかはわからないけど、ナビの部分しかあってないぞ。


「大体、1週間ほど歩けば到着するかと。」


「「は?」」

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