第144話 ヤバい奴だと再認識

〜エルフ〜


「……」


どうも。

金髪美少女リーナに担がれてる銀髪美少女です。

はい、エルフボディ私です。


「ちょっと待った〜!

階段は危ないから、一緒に行こ!」


「私なら大丈夫だよ、琴音さん。」


「大丈夫じゃないよ〜。」


うん、琴音さんの言う通り。


1回めんどくさい、って階段の途中から落とされかけたからね。

注意したら、別に怪我しないよね?と悪びれもせず言ってて、エルフの教育が結構ヤバいんじゃ無いかと疑った。


「もしもリースちゃんが怪我しちゃったら悲しいでしょ?

だから安全にね。」


「はぁ、仕方ありませんね。」


「……」


なんで少し不満げなの?

人、私はエルフだけど階段から落としちゃいけないのは、ごく当たり前のことだからね?


「リースちゃん、リーナちゃんと仲直りできてよかったね。」


「あ、うん…」


そう、今は琴音さん達とリーナと私、そして隣人の友美さん達と生活しています。


どうしてこうなったか、

私が神様がヤバい奴だと再認識したあのとき、正直神様との関係を少し考え直した話。



ー闇落ちから回復後ー



あああぁぁぁぁぁ!

テンション上がって、変な事してたじゃん!


「ぁぁぁ…」


「大丈夫?!頭痛い?」


はっ!

違うんだよ朱音さん、恥ずかしい気持ちがすごくて、頭を抑えてただけなんだよ。


「ほっほっほ、仲良さげでよかったのぉ。」


「え?」


ん?

今の神様の声に朱音さんが反応した。待て、今のはいつもの脳内会話じゃ無い。


神様がこの空間にいる!


「いやはや、素晴らしい光景じゃ。」


「あっ、ジジイ。」


いやその通りだけど、もう少し言い方なかったのかな、リーナ。


「そんな悪い事言う口はこうじゃ!」


「イハイ!」


リーナの頬っぺた、かなり伸びてるけど大丈夫かな。まぁ、神様がやる側ならある程度力を抑えてやるだろうし大丈夫か。


ていうか、どうやってきたんだ?


「む?

これはリースたん、儂がどうやってきたか気になっておるな?」


また私の考えてること読んだな?


「説明してあげよう。」


無理かい。


「この部屋が、儂の空間と現世の狭間にあるからじゃ。

出入り口は現世にあるから普段なら入れない。リースたんが破壊しまくって部屋が弱体化した事と、ロリ女神が部屋を固定してくれたおかげで来れたんじゃよ。」


そっか。

ほとんど分からなかったけど、女神様が頑張ってくれた事はわかった。


「あの、貴方は?」


普通に喋ってたけど、朱音さんと友美さんが居ること忘れてた。


「ん?

儂は神じゃよ、わかりやすく言うと石板作ったの儂じゃ。」


「…本当ですか?」


「もちろん。」


友美さん、神様っぽく無いからってそんな疑わなくても…


まぁでも、

力が無かったら話の内容とかノリ、ただのオタクだもんね。仕方ないね。


「幾つか聞きたいことがーー」


「すまんが、それは無理じゃ。

【眠っとれ】」


「ある……」


友美さーん!

エルフボディならある程度耐性あるから心配しないんだけど、友美さんに神様が魔法使っても大丈夫なの?


「儂はそんなミスしないからの、お?

おっとと、その槍は返してもらうぞ?」


「チッ。」


「全く、儂を傷つけられる武器が槍だけでよかったわい。

弓だったら必中だから面倒くさかったんじゃよ。」


後ろから槍で刺されそうだった神様。

後ろに目が付いてると思う程のベストタイミングで避けて、槍だけ取り返した。


強くない?

ちゃんと神様って強かったんだなって、魔法だけの存在じゃなかったのか。


「【眠るんじゃ】」


「はっ!

またお姉ちゃんと離すつもり?」


「そんな気はないんじゃが…

【姉の為にも眠りに付け】」


「ウッ…」


ワァオ…


「リースちゃん!」


悲壮感漂う朱音さんの声。

神様勘違いされてる、悪い奴だと思われてるよ!


「大丈夫、起きた時には元通りじゃ。

【眠っとれ】」


私を抱き締めながらギュッと目をつぶった。


「ん、あれ?」


神様の魔法が効いてないよ。

朱音さん最強じゃーー


「あっ…」


私があげた、お守りか。

魔力も減ってるし間違いない。


「ふむ…

まぁ、いいじゃろ。」


「大丈夫です…

私がなんとかします、一緒に帰ってご飯食べましょう。」


「なんか、儂悪役みたいじゃね?」


その通りです。

状況だけ見れば間違いなく悪役。言ってる言葉を合わせると、敵でも味方でもない何か。


「ほいっと。

【眠りなさい】」


神様!

なに朱音さんの頭触ってるんだ。


「離して…」


「おぉ、儂に殺意を…

成長したなリースたん。」


神様が離れてから、朱音さんを楽な体勢にして膝枕する。


「なんと羨ま…」


「これから、どうするの…?」


「もちろん決まっておる。

そこの人間2人は記憶を操作して、今日の出来事は忘れてもらう。」


うっ、記憶操作…

今回は仕方ないのかな。


「最後にリーナちゃんだが、少しマイルドに変更する。」


「え?」


「設定を、ちょちょいっとな。」


私自身もエルフボディの設定に振り回され、かなり苦労した。


リーナも同じ感じだとしたら、変更した時に現在のリーナは消えちゃうんじゃない?

消えないとしても負担は大きいはず…


「じゃが、変更しないとリースたんは現世で暮らせなくなるぞ?」


「うっ…」


「別に死ぬわけじゃないんじゃ。何も問題ない。」


なんか一周回って冷静になれた。

軽いノリだったから忘れてたけど、神様は神なんだよ。元が付くけど人間だった私と、価値観が合わないのはおかしい事じゃない。

まぁ、少し怖いけど…


「それじゃ軽く現世の方も弄っておくからの。

新しくリーナも共に過ごす、きっとこうなるから、楽しみにしておれ。」


「わかった…

ありがとう…」


ちゃんとお礼言ったり、丁寧な態度を心がけよう。





「リースたんとの距離を感じるー!

儂なんかやってしもうたか?許しておくれー!」

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