第143話 シャッターチャンス

〜エルフ〜


「ん〜、ヒリヒリする。

傷が治らないよ。」


リーナの使ってる槍って、私が少し前に英雄(笑)に使ったのと同じかな?

効果は魂捕まえる、とか言ってたやつ。


でも、見た目が少し違うんだよなぁ。


それに捕まえるというより、削り取られてる感じがする。

事実、左腕が動きにくいし。


「どうしよっかなぁ〜!」


「考え事してていいの?

お姉ちゃん、そんな余裕あるの?」


「ない!」


リーナは傷つけられない、というか朱音さん達と同じで傷つけたくない。


朱音さんの持ってる鎖を借りれば、捕まえられる気がするんだけど、近づくとリーナの攻撃が激しくなるし難しいか。


「左!」


「ん?あっ!」


すごくわかりやすい誘導に嵌ってしまった。

私が一瞬左側に意識を向けた瞬間、右脚へ槍を突き立てられて直撃は避けるも中々深い傷に。


うーん、これ脚使い物にならないな。

力が全く入らないし、立ってるのがやっと。


「you win!」


(煽るのぉ…)


どこが?!

これ煽りになるのか、びっくり。


「じゃあ、出てって?」


出る…

魂的な?それなら無理。

髪色とかを言ってるなら、確か神様が切り替えれるって言ってたから、神様が展開に納得いけば大丈夫だと思うけど。


「う〜ん…無理!」


「は?」


すごい目から光が一瞬で消えた!

リーナもスイッチで切り替わるのかな。


「なんで?」


「だって、私は私だもん。

もし変わってるんだとしたら、それはーー神様の意思だよ!」


あれ?


ーー神様の意思だよ!」


神様って言えない。

犯人は神様だろうけど、なんで言えないようにされたんだろ。


(神様の意思だよって行ってしまったら、良い感じにならないじゃないか。)


そう?


(それにリースたんは、全てまるっとハッピーエンドがいいじゃろ?)


ハッピーになっても、ならなくても、やる事は変わらないけどね。

好きな人達と一緒にずっと、ずっと過ごす。


(これはヤンデレ予備軍じゃな。)


そうかな、結構みんな考える事だと思うけど。


「グッ…」


「早く、出ていけよ。」


痛いなぁ。

もう片脚も槍で傷つけられた、ここまでやられるとは流石に予想外。


「え〜。

正しくは、出ていけじゃなく、戻ってだと思うけどなぁ。」


「どっちでもいい。」


はぁ…

もうよくない?戻してよ。


(そうかの…

もう少しドラマチックな終わり方がいいんじゃが…)


多分だけど状況は変わらないよ?


(…仕方ないか。)


そうそう、皆んなでずっと遊ぶのは難しそうだよ。

私は今足動かないし、魔法だけで怪我させないようにしながら捕まえるのは無理だからね。


(でも、良いのか?

このままだと監禁生活に逆戻りじゃぞ?)


元を辿れば、神様が急に闇堕ちスイッチ押したのが悪いよね!


リーナと朱音達は微妙な協力関係に、

私は怪我で動けず、

ハッピーエンドへの道筋を考えてない、


こんなにややこしい状況になったんだもん。

責任とって?


(あー、確かに言われてみれば儂のせいじゃな。

任せておれ、なんとかしよう。)


お?期待してるよ!


「次は、腕だよ?」


「やだな〜。

きゃー、こわいよー。」


「…!」


今のリーナは本当に過激だな。

今の攻撃は、私が手を上げて避けてなかったら抉れてたよ。


「待ってください!」


朱音だ!

止めてくれたのは嬉しいけど、槍には気をつけて。


(儂のパワーのおかげじゃ。)


神様のせいだったのか…


(と言っても、儂はただ背中を押しただけじゃ。

思考を誘導したり、操ってはおらんぞ?)


背中を、押す…


「私にリースちゃんとお話しさせてください。」


「…理由は?

私は貴方達にお姉ちゃんを戻せるとは思えない。」


「やってみなきゃ、わかりません。」


「…やってみれば?」


おぉ〜、朱音すごく真面目な顔してるよ。

凛としてカッコいいね!


「リースちゃん。」


「なに?!」


「帰ったら何したいですか?」


顔近い!

朱音さん、地面に膝ついて私と顔の高さ合わせて見つめてる。


恥ずかしいな…


「ん〜。

皆んなでご飯食べたいな、

琴音と朱音とママさんとパパさん、友美さんに愛美さん、そしてリーナ!」


「良いですね。」


あれ?

気持ちの昂りが少し落ち着いたのか、恥ずかしいく感じるのが強くなってきてる。

さっきまで何も気にならない状態だったのに…


「大人数になりますから、料理手伝ってもらっていいですか?」


「いいよ!

切る事しかできないけど!」


「大丈夫ですよ。

手伝ってくれるだけで嬉しいです。」


ん…

撫でられるの気持ちいい。


「「!」」


なんかリーナと友美さんの2人が驚いてる。

何かあったかな?


「帰りましょうか。」


「うん…」


え、ちょっと待って。


(撫でられてるシーンが最高のシャッターチャンスじゃった。

録画は動画にして、写真はコレクションっと。)


まさか…


「やっぱり、リースちゃんは銀髪の方が似合いますよ。」


「あかにぇ…」


動揺で噛んだ。


それよりやばい!

羞恥心が、あっダメだ恥ずかしい!


何あのテンション!

強制された訳じゃなくて全部自分の言葉、

調子に乗ってる感満載の行動、


うわぁぁぁぁぁぁあ!!


本当に何してるんだ私!


「う、わぁぁ…」


「リースちゃん?

疲れてしまいましたか?」


朱音さん、自身の感情整理で疲れたよ。

少し眠ろう…


「ゆっくり寝てください。

次に起きた時はみんな一緒です。」

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