第141話 壁壊すの気持ちいい!

〜エルフ〜


「どーん!」


壁崩壊!気持ちいい。

壊しながら真っ直ぐ進んでるのに、リーナ達の気配がする場所が動き回ってなかなか追いつけない。


後ろを見れば壊した壁がズラッと並んでるから、近づいてはいると思うんだけど。


「むっ!

お菓子だ!」


たまに置いてある、お菓子とか料理を食べながら進んでいく。


(それトラップなんじゃが…)


トラップ?

普通に美味しいけどな、変な味とかしないし、ちょっと経った後でもお腹痛くならない。


(食べ物の罠、種類は呪い系じゃからな。

闇堕ちリースたんには効かないのか…)


それほんと?!

私結構強いじゃん。


(そうじゃぞ、リースたんはつよつよじゃ!)


イェーイ!

つよつよ!


(もう敵なしじゃな!)


そうだね!

もう何も怖くn…


危ない、このセリフを言いきったら全てが終わる気がする。

そうフラグを感じた。


(調子乗ってるリースたんは可愛いのぉ。

儂は基本的に笑顔が好きじゃが、泣き顔も嫌いでは無い。)


うん、誰もそんなこと聞いてないよね?

それに凄く、


「気持ち悪いね!」


(リースたんは可愛いね!)


ヤバい、この神様無敵だ。

神様の好きな属性が多すぎるよ。


「ま、いいや。

そろそろ飽きてきたし、本格的に壊そう!」


でも、巻き込まない程度に破壊するのって難しいかも…


「神様の作った部屋の性能と、リーナ達を信じて

【爆ぜろ 邪魔をする物よ】」


魔法を自分で使ったの久しぶりだな。


「んー?

あそこか!」


私の周囲にあった壁は魔法によって吹き飛んだ、けど一部だけ残ってた。

壊してるのを察知して、頑丈にしてたんだろうね。


「んふふ…

みんな待っててね!」


みんなと合流したら何をしよう、

遊ぶ?旅?

まずはご飯かな。


「あれぇ?扉がない…」


壊すのは、中にいるみんなが危ないし。


「おーい、開けてー!」


ドンドン叩きながら叫んでみたけど、特に反応無し。


うーん、どうしよ。


「待とう。」


開くまで待ち続けよう。

1人で待つのは得意だ。1年でも10年でも待てる、時間は無限にあるんだから。


あ、でも遊ぶ時間が減っちゃうし。早く開けてほしいな。


メキ…


「おっと!」


壁から鎖が飛び出て、私に向かって飛んでくる。


捕縛用っぽいかな?

私じゃなきゃ当たってた、完璧な奇襲だったよ。


「お姉ちゃん。」


「リーナァ!

ねぇ、今から何する?ご飯食べる?」


いつの間にか現れてたリーナ。

ドレスみたいな、綺麗な服を着てとても可愛い!


(それな!

リースたんが着ることを想定してたが、リーナも最高に可愛いのぉ!)


だよねだよね!


「お姉ちゃんは、そこに居ますか?」


んえっ…

どうゆう意味だろ、私は居るけど…


「やっぱり、私のせい…です?」


困るなぁ。

リーナが悲しそうにしてる理由が、私には全くわからない。


「なんのこと〜?

よくわかんないけど、私はリーナの事大好きだよ!」


ずっと抱きしめたいくらい。


(ふむ、なるほど。)


どうしたの神様。


(リーナはリースたんを闇堕ちから取り戻したいんじゃよ。

髪が真っ黒になったのは、周りから見たら負の感情のせいじゃからな。それを取り除きたいんじゃよ。)


周りから見たらって事は実際には?


(儂がスイッチで切り替えただけの、色違いリースたんじゃよ?

まぁ、多少性格とか変わるがの。)


へー。

ノーマルと黒、それ以外にもあるのかな。


「!」


地面から閉じ込めるように槍が出てきた、お話の時間は終わりみたい。


「なるべく手加減する。

少し痛いかもだけど、許してほしい。」


「痛いのはヤだ。」


もう戦闘は避けられなさそう。

でも、リーナだけじゃない、朱音と友美さんも私に向かって構えてる。


「辛いかもだけど耐えてね。」


「リースちゃんが戻るなら、私はやりますよ。」


「最悪、骨を折る。動揺しないでね。」


「わかりました。」


朱音さん、覚悟が決まってる?

普段は見ないほど力が漲ってるみたい。



ーーーーー


『はぁはぁ…』


お姉さん、ずっと苦しそう。

逃げた先は初めて見る物ばかり、何もわからない状態だったけど、お姉さんの魔法でなんとか生活してる。


『これは、呪いです…』


お姉さんに刺さった矢のせい。

自力で解呪しようとしているが時間が掛かるみたいで、呪いの力が強まる夜は苦しそうにしてる。


『…グス』


『安心して、ください。

貴方を1人にはしません、いつか姫様とも一緒に暮らしましょう。』


私なんかより苦しいはずなのに、毎日私を励ましてくれる。

その苦しそうな姿を見たくなくて、少しでも楽になればと掃除を頑張った。


『暫くの間、この屋敷から出てはいけません。』


『うん…』


『私は部屋で解呪に集中します。

ですが、なにか用があれば直ぐに言ってくださいね。』


『わかった…』


1人で広い屋敷を目的も無く歩き回る。

何も音がしない屋敷は、少し寂しい。


『リーナ…』


置いてきてしまったリーナは、どうしてるんだろう。

痛い目、苦しい目に合わせれてないといいな。


『え、ウッ…

アァァ…!』


痛い!痛い!痛い!


キッカケも何も無い、ただ歩いてたら急に痛みが襲ってきた。

それも立てないぐらい。


胸を抑えて蹲る。


『髪が…』


一瞬だけど、私の髪の色が黒くなっているように見えたんだ。

収まってから見たら銀色だったし、見間違いだと思うけど。


ーーーーー

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