第133話 取り返したぞ!少しじゃが…

〜エルフ〜


「これ美味しい。

初めて食べる味だけど、お〜…」


喜んでくれてよかった!


良い匂いがしてきた頃に焦がして、魔法で戻してほしいってお願いした時は苦笑いしながらやってくれたけど、3回超えてからは目の光消えてたよ。


「サクサクだ。

この世界の方がご飯美味しいのかもな…」


異世界も美味しいと思うけどね。

あんまり食べたことのない料理だから、美味しく感じるだけだと思う。

美味しい物でも、同じのしか食べなかったら飽きるしさ。


「よかった…」


「お姉ちゃんの料理は最高です!

あの巻き戻しは嫌がらせかと思ったけどね。」


「ごめん…」


それはごめん。

料理中、背中に視線めちゃめちゃ感じてたけど怒ってる雰囲気じゃ無かったし、そんなに気にしてないと思ってたんだよ…


「いいよ〜。」


最初の時より雰囲気が柔らかくなったな。


「何かを付けて食べれば味変とかできる、本当に美味しいな…」


これは私の作った唐揚げ気に入ってくれてるな、独り言で改善案とかぶつぶつ言ってるし。


「食べ終わったら、少し休む?

それともお姉ちゃん何かやりたい事ある?」


「うーん…」


やりたい事か、前までは聞かれなかったし唐揚げの力か?

でも、特にやりたい事は無いんだよね。


「リーナの、演奏が聴きたい…」


エルフボディからの意思表示、勝手には喋らないで脳内で希望を伝えてきた感じ。

久しぶり、でもダンスの事は忘れてないからね?


「ふふふ、昔より圧倒的に上手くなった私の演奏に酔いしれるといい!」


自分の分を食べ終わったリーナは、席を立ちいつの間にか置かれてたピアノの元へ。


ちゃんと手は魔法で綺麗にしてた。


「お姉ちゃんはゆっくり食べてて良いからね!」


そう言ってピアノを弾き始めた。

リーナの弾いている曲は、この世界の曲にかなり似ている。


ご飯を食べているのに気を使っているのか、ゆったりとした曲。


「〜〜♪」


歌も入り始める。


やばい、瞼が落ちてきた。

ゆったりとした雰囲気になって安心して、眠気が…


……カクッ


「あれ?お姉ちゃん眠いの?」


おっと、ギリギリ起きてると思ってたけど寝落ちしてたみたい。

リーナがピアノから離れて目の前に。


「寝る?

けど食べたばっかりだから、限界なら私に寄りかかって座りながらにしよ?」


「うゆ…」


暖かい…


「……」zzz



「ん?アイテムが減ったな…

重要な奴は移動させておいてよかった。」



ーーーーー



『聞いてもいいですか?』


そう話しかけられたのは突然だった。

日を追うごとに話してくれる事が増えたお姉さん、でも大体は私の歌へのアドバイス。


『貴方は世界に呪いを掛けること、できるの?』


『…?』


結構言われるけど、多分できないと思う。

そもそも呪いってなに?


『貴方の容姿は伝承に伝わる邪神そのもの、伝承では世界に呪いを掛け全ての存在を苦しませながら滅ぼす、と言い伝えられています。』


『……』


よくわからないけど、苦しいのは嫌だな。


私は苦しませたくないよ。

いつか外で一緒に花畑に行こう、ってリーナが言ってくれた。全ての存在って事はリーナも苦しむことになるんでしょ?

なら、やらない。


『私には…

いえ、忘れてください。』


また悲しんでる…

気にしないでいいのにな。


ーーーーー


〜神様〜


はぁはぁ、遂に…


「ひゃっほーい!やったぞぉ!」


遂にリーナちゃんから魔道具を取り戻せたんじゃ!

ほんの一部じゃが…


「おーい!

ロリ女神〜!チャラ男〜!」


この素晴らしい成果を、アイツらにも自慢してやるんじゃ!


ドアを開けた儂の方向を向く2人の暖かい声援が、


「お前どこ行ってたんだよ!」


「おいサボり魔!よく俺たちの前に姿現せたな!」


ある訳もなく、浴びせられたのは勝手に休憩をとった儂への怒りじゃった。


「え!儂いいこと思いついたって言わんかったか?」


「言ってたけど、詳しく説明せずに部屋を走って出て行ったらサボりにしか思えないよ。」


ぐぅ、正論。


「だが待ってほしい!

これを見てくれ、リーナのアイテムBOXから回収できた魔道具じゃ!」


取り返せたのは3個。

そのうちの2個を、チャラ男とロリ女神に投げつけるように渡す。


「なにこれ、木刀とマフラー?」


「ゴミとゴミじゃねーか!」


言うなチャラ男!

確かに、壊れないだけの木刀と寒く無くなるだけのマフラーは、正直カスみたいな魔道具じゃが、ゴミは言い過ぎじゃ。


「儂らの思い出なんて事言うんじゃ!」


「いや、あの部屋にある魔道具で下から数えた方が早い奴を、取り返したドヤァ!されても困るんだわ。」


「誰が2個だけと言った?」


懐から取り返した最後の1つを、ゆっくりとした動作で取り出す。

目の前の2人は明らかにイラつき今にも殴りにきそうじゃな。


「これを見よ!

『無色の宝玉』じゃ〜!」


「なんだよ、ただの強化素材じゃん。」


「チャラ男、貴様はアホになったのぉ…

これで探知様魔道具を強化すれば、リースたん達が見つかるじゃろ!」


「あ、そっか。」


今回はロリ女神の方が察するの早かったな、もう魔道具を儂の前に持ってきておる。


「さてと、リーナちゃん待っておれよ?

少しだけお仕置きの時間じゃ。」



「アイツが言うと犯罪臭凄いな。」

「それな。」

「いざとなったら僕達で保護しようね。」

「了解、ロリ女神。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る