第134話 おぉ、久しぶり神様!

〜エルフ〜


(……ーぃ……)


zzz


(お…ーぃ……)


んぅ、眠い…

変な声が聞こえた気がする。


(起きろ〜。)


リーナ?

違う、この媚びるような老人の声は…


あ!


「かみsーー」


(ストーーップ!)


あ、やべ。

寝ぼけて忘れてたけど、此処リーナの領域じゃん。神様と話してるってバレたら、折角手錠外れたのにまた付けられる。


いや、それ以上に拘束されるかも。


(危なかったのぉ。)


今この部屋にリーナいなくて助かった。


(ほんとじゃな。

っと久しぶり、待たせてすまんのぉ。)


うん、久しぶり。

この部屋での生活まぁまぁ楽しかったら大丈夫だよ、ちゃんと見つけてくれたし。


(いやぁ、その部屋はなかなかの強敵じゃった。

製作者はなかなかの存在に違いない。)


製作者って神様でしょ?

自分で何言ってるんだ。


(リースたんに褒めて欲しかったんじゃよ。)


そっか…


そんな事より外ってどんな感じになってる?

ケルベロス倒された?


(…リーナちゃんが倒してたぞ。

それ以外だと、ゴーレムの勢力と思われる存在が現れたな。)


凄く落ち込んでる声、ごめんね神様。

久しぶり過ぎてテンションがわからなくて…


(あぁ、別に良いぞ…)


でも、ケルベロス倒してくれてて安心したよ。


(リーナちゃんは強いからのぉ。

ちなみに言っとくが、リーナちゃんに対してはリースたんは絶対に勝てん。戦いになりそうだったら逃げに徹するんじゃ。)


勝てないのか、珍しいなエルフボディより強いなんて。


神様の冗談かとも思ったけど、声が結構真面目だったから事実。

でもまぁ、神様のことだし基本スペックでは負けてないけど、対リーナになると負ける的な設定でも付けたんでしょ。


(リースたんも儂の事がわかってきたみたいじゃな。

だがまだ甘い、正確にはリーナちゃんが怪我をするような事は出来ない、じゃ。)


リーナと戦うって戦いにすらならないじゃん、結界に籠城ぐらいしかできない。


(そうじゃな。

ちなみにリースたんとは会話できているが、その部屋の正確な位置まではわからん。もう少し待っとくれ、あと少しで完全に特定できるからの。)


了解〜。


(それじゃあの。)


ん、繋がりが切れた。


それにしても脱出かぁ。リーナとの生活はそこそこ大変だったけど、楽しかったな。


「あっ…」


リーナはどうなっちゃうんだろ。

神様は優しいから、酷い事にはならないと思うけど。私は琴音さん達の所に戻るだろうから、一緒には暮らせないだろうし…


「うぅ…」


なんだかんだで絆されたんだな私。


「来たよー!

グェ…」


扉が開いて入ってきた瞬間に飛びつく、少し苦しそうな声出してたけど多分大丈夫。


「ど、どうしたの〜?」


抱き付くと安心する。

今ならリーナが深呼吸した理由もわかる。なんだろ、信頼してる人の香りってこんなに安心するというか、心地が良いっていうか。



「今日のお姉ちゃんは甘えんぼだ。

鼻血出そう…」



ーーーーー


お姉さんは最近かなり喋るようになった。

まだ私が近づくと怖がってるけど…


『そういえば、貴方は喋る事ができないのですか?』


『…?』


喋る、言われてみれば試した事がない。

声を出したら、ご飯の量が減るってわかってから喋ってないし、最後に出した時も思い出せない。


『ぁ〜〜。』


『声自体は出るんですね。』


『ぁ、ぁあぁ…』


『なるほど…』


声は出るけど言葉にはならない。

少し喉がイガイガする。


『私の声を真似してください。』


椅子を動かして私とお姉さんが向かい合う。


『あ〜、い〜…』


『ぁ〜、い〜…』


一通り声を出したあと、喉がイガイガを通り越して痛みを感じ始めた。

それを察したのか、今日は此処までと言い。


『その調子で、これから少し練習してみましょうか。』


『ぅ…』


声を自由に出して、会話ができるまでの道のりは長そうだ。


ーーーーー


〜白仁朱音〜


うーん…


「ついにテレビにーー」


「出ませんよ?」


私が友美さんに、魔法についての本を借りると、毎回のようにテレビに出てくれるんですねって言われる。


ちなみに、今は人を探す魔法がないか調べて諦めたところ。


「使用が禁止されてる魔法って、何か理由があるんですか?」


赤と青で模様のようになっているページには、禁止魔法と呼ばれる物が書かれているらしい、普通に読める所は【サーチ】ぐらいしかないため、ナニカヒントになればと聞いてみた。


「私が見た1つの禁止魔法は効果が理由でしたね。

自然を枯らす魔法でした。」


「色んな意味で危ないですね。」


新しく魔法を作ろうと思いましたが、私には知識が足りませんし、

変に改変しようとすれば友美さんが言った、危険な魔法ができてしまうかもしれません。


「魔法の情報は現在、最高機密になっています。

外国からも魔法使いが大人数でくるので、情報漏洩する可能性を減らすため魔法の書物は回収されます。

今のうちに読んでしまってください。」


もっと早く言って欲しい情報だった。


「はぁ…」


魔法で探すのは諦めようかな…


1回リースちゃんの家である、人形屋敷に行ってみましょうか…

居ないとは思いますが、なにかしらのヒントはあるかもしれません。


結局、今日も進展なし。


友美さんに頼めばすぐに見つかるかもですが、あまり派手に動くと偽リースちゃんを操ってる奴等にバレるし…


「迷ってても仕方ない!

リースちゃんのお家に行ってきます。」


「急ですね?!

何があったんですか!!」


ドロボウに入るみたいで胸が痛みますが、仕方ありません。


「では行ってきます!」


「もう少しお待ちを、今護衛の手配をしてるので!」

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