第132話 少しだけ変わったぞ!

〜エルフ〜


特に変わりばえのない時間が過ぎて行く。


「ん…」


今回は起きた時リーナが居なかった、居ないのは結構レアまだ3回ぐらいしかない。

それにしてもリーナは何処に行ってるんだろ、疲れた様子で帰ってくる事もあれば、お土産持ってくる事もある。


「眠い…」


睡眠不足なのかな…

この部屋に居ると時間の感覚が狂っちゃって、どれぐらい寝たとか、ご飯食べる時間とか、全然わからない。

少なくとも10日間ぐらいは過ごしている気がする。


浦島太郎みたいに、外出たら20年後とかだったら嫌だなぁ…


そんな中でも1つだけ変わった事が、


「手錠、卒業…!」


ダンスのレッスンの後、お風呂に入ってご飯食べてから直ぐに寝ちゃったんだよね。


手錠を外されたまま!

首輪はまだついてるけど、鎖は外れてる。


これは小さいながらも良い変化だよね。


「やろう…」


部屋漁り決行!


この部屋から出る事は出来なくても、神様達と連絡が取れる道具があるかもしれない。

と言っても、今はベット以外何も無いんだよね。


「ベットの下とか…」


物を隠す場所の定番だよね、ベットの下。

うん、やっぱり隙間ある。


「うわ…」


手が埃まみれ…

ダンスの時にベット消えてたし、汚れてないと思ってたのに…


手を入れただけでこんなに埃が付くなら、体ごとは入れないな。

服汚したらリーナにバレちゃうし、まだ手錠と鎖を付けられかねない。


「探索終了…」


あっけない終わりだったな。

ちょっとワクワクしてた事もあってか、虚しさにも似た感情が溢れ出てくる。


ガチャ


「お姉ちゃーん!

今日も来たよー!」


「おはよう…」


この挨拶も謎だ。

リーナと過ごして色んな事がわかり始めた、

地雷の存在に好きな食べ物、リーナの独り言から少しだけだけどエルフボディの過去。


エルフボディは虐げられてたらしくて、

よく独り言でアイツ等を潰す、とか私が守ってあげるからって言ってる。


よく分からないのは地雷の存在、触れたのは2回だけだったから、そこまで詳しくない。

1回目は着替えの時、2回目はご飯を食べてる途中にエルフボディが誰かの言った時。

多分その誰かの名前がリーナ地雷なんだろうけど…


『私の前でその名前を呼ばないで…』


あの時はやばかった。

リーナが手に持ってたナイフがカタカタなってて、脚か腕の1本は覚悟した。


まぁ、結局そんな事はなく震えた手で、逆にご飯を食べさせてあげたら機嫌治った。


「今日は、何する…?」


「んー、お姉ちゃんの料理食べたい!」


そうだ、そんな話してたね。

料理オムライスでいいかな?でも洋風なスープ作れないんだよなぁ。


味噌と出汁入れて調節するだけの味噌汁なら作れるんだけど、和風だと何があるかな?


「キッチン、出して欲しいな…」


「はい!

今回はお姉ちゃんだけでお願い、次の時に一緒に作ろう!」


よし、目標は巻き戻し2回、頑張ろ。


唐揚げって和食だっけ?


ーーーーー


硬い…


今日のパンはいつもより固かった。

朝にご飯運ばれてこなかったし、夜は食べないとお腹空いちゃう。


『スープにつけて、ふやかしながら食べたほうがいいです。』


私が頑張って噛んでるのを見てアドバイスをくれる、歌を歌った日から偶にだけど声を掛けてくれるようになった。


『1日の食事、これで足りるのですか?』


これ以上食べた事がないから分からない。

でもお姉さんは少しずつ痩せていってるし、足りないのかも。


『此処の外では1日3回、量はもう少し多いですね。』


そうなんだ。


『ちなみに私は足りません。』


今日は沢山お喋りしてくれる。

初めてあった時と比べて、雰囲気が柔らかい。


『…喋り過ぎました。』


もっと喋ってくれても…

いや、望んじゃダメだよね。


ーーーーー


〜ケイト〜


「なに?数字持ちが騒がしい?」


『はい。

現在確認されているだけでも、

ファースト・サード・ナインの3名が動いています。』


私にも悟られないようにか…

日本からかなり離されたとはいえ、数字持ちの動きはお互いに把握していたはず。


私が日本に近づく以外で、大きく動く事などなかった。


「理由は?」


『不明ですが、テレビ局を筆頭に情報関係で大きな動きがあります。』


「何かしらの情報操作か…」


やはり守護者関係か?

守護者の存在が世界に受け入れられるまで、かなりの時間が掛かった。他の国から日本への圧力もファーストが止めた。


守護者の仲間と思われる存在を隠すのか、

それとも敵対していた人形存在か、


他の可能性だと悪魔ぐらいだが、数字持ちにはバレていないはず。


「引き続き情報を集めてくれ。」


『かしこまりました。』


通話を切る。


はぁ…

守護者の抹殺、

日本の魔法使い3位誘拐、

ナインの失脚、

今回は全てが失敗だった。


不確定要素とイレギュラーが多すぎたのが理由だな、判断ミスもあった。


悪魔が守護者の抹殺に動いている時に3位を誘拐する予定だったのだが、私が手を回した作戦が何者かに阻止され失敗。

こんな状況になるなら、家に居たとしても無理矢理攫うべきだった。


「悪魔、少し出てきてください。」


『無理だ。

神の力が強まっている、万全ならともかく今バレると動けない。』


「傷はどれぐらいで治るのですか?」


『2ヶ月…』


暫くは俺の勢力に根回しだな。

今回作戦で使用予定だった兵器は回収され、動かそうとした部下の奴等も力を失った。


このままでは数字落ちする可能性がある、新しい人材を引き入れるか…


「忙しいな…」

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