第128話 今度こそずっと一緒

〜エルフ〜


あれからどれだけ経っただろう。

部屋の中は寒くて、音は聞こえなくて、

リーナちゃんに早く来て欲しくて何度も名前を呼んでも、ドアは開かないし物音1つしない。


「リー、ナ…」


声かっすかす。


カタ…


「!」


ドアの方から物音がした。

リーナちゃんが帰ってきたのか、というかどこに行ってたんだろう。


起き上がり座りながらドアを見つめる。

なんとなく寝癖とか付いてないかが気になり手を使って確認、ワンピースに少しシワができてた…


ガチャ


「来たよー!」


リーナがドアを勢い開け入ってきた。

その瞬間部屋の温度が上がったきがする、寒くなくなったし安心する。


服装がお揃いだったワンピースから、高校生の制服みたいなのに変わってる。間違いなく神様の趣味。


「おかえり…」


「ただいま!

1人にしちゃってごめんね。此処を探そうとする力を察知してさ、誤魔化すの大変だったよぉ…

でも安心して、今度こそずっと一緒だよ!」


歩きで近づきながら泣き真似してる。

それにしても探そうとする力か、神様達は間違いなく探してると思うけど悪魔とか侵略者側も探してきてるのかな?


「あっ…」


「どうしたの?」


今更だが、私が仕留め切れてないケルベロスの事を思い出した。

悪魔が消えた後リーナに眠らされて記憶無い…


「もしも〜し。」


多分だけどリーナは私を助け、いや誘拐かな、に来てケルベロスのことはどうでもいいとか考えてたり…

倒してくれたのかなぁ、被害広がってないといいけど。


「ネェ…」


「ピィ…」


やばい!

考え事に夢中になってリーナの事を怒らせちゃったかも…


「ナニヲ、カンガエテタノ?」


「ケ、ケルベロスが…」


「マタ、私以外のエルフのコト?」


いやケルベロスって言ったじゃん。

マタってなんだ、過去に何かあったのは間違いないんだけど…神様にエルフボディの事、もっと聞いておくべきだったな。


「ケルベロス、倒したのかな、って…」


ケルベロスというワードを聞き首を傾げて心当たりを考えている、納得できる答えが出たのか怖いオーラが消えて申し訳なさそうに謝り始めた。


「あの犬の事か、倒したよ!

ごめんね勘違いしちゃって、またあの女の事を考えてるのかと思っちゃったんだよ〜。」


そしてエルフボディの謎が増えた。

『あの女』多分これがキーワードのはず、リーナちゃんとエルフボディの過去を知れるチャンス。


「怪我、しなかった…?」


え?リーナには聞かないのかって?

当たり前、さっきの反応からしてリーナにとって高確率で地雷じゃん。

直接聞くのは怖すぎるよ。


「もちろん!

貰った装備も強かったし結構余裕で倒せたよ、ただ変な奴らがきたけどね。」


「変な奴…?」


悪魔の仲間か?

真面目な雰囲気を出す私とは違って、槍で突き刺すジェスチャーをしながらリーナは楽しそうに話し出した。


「そう!

半裸の騎士風の男2人と

エルフちゃーん!って飛びかかってきた変態。」


前の2人はともかく、飛びかかってくるのは変態だな。

それに多分悪魔の仲間じゃ無い感じがする、悪魔の仲間は意思がほとんど無いモンスターだと思うから。


「変態…

なにも、されなかった…?」


「されなかった!

鞭みたいのを振り回された時は危なかったけどね、アレかなり強力な魔道具だよ。」


飛びかかって来る、武器は鞭…

対して2人は半裸…


S的な変態とM的な2人って事?!


「震えてるけど大丈夫?!」


「変態、怖い…」


リースは衝撃的な事実に戦慄した…



ーーーーー



私とリーナの関係が始まってから…

どれぐらいだろ…


ご飯68回分くらいだったはず。

今日は会えるかn、


ガン!


『この!』


『お待ちください!

呪いを受けるかもしれません!』


怖い人達がたくさん入ってきた…

私に大声で怒鳴ってくる人とそれを止めようとする人、みんな私に嫌悪みたいな感情を向けてる。


『だが、私の大切なリーナはコレに!』


『しかし王に何かあれば!』


開けっぱなしのドアからリーナが入ってくる、焦ってて泣いてた。


『なにしてるの!』


『何故ここに来た!』


怖いおじさんとリーナが言い合って喧嘩してる。

理由は私に近づいた事、私のせいだった。


『父ではなく王として、1ヶ月の謹慎を命じる!』


『!』


『わかってくれ…』


言葉の意味はわからなかったけど、喧嘩はなんとか終わったみたい。

おじさんの言葉は悲しみに満ちてた。


『教師に教わっただろ、コレには関わるな。』


最後にそう言って全員が出ていく、リーナも連れていかれそうになっている。

潤んだ目で私を見て、何も言わずに歩いて行った。



リーナが来なくなって少し経った頃、

また怖いおじさんが来た。


『コレの世話をしろ。

それが貴様への罰だ。』


『はい…』


少し虚な目をした、綺麗なお姉さんが私のお世話係になった。


ーーーーー


〜カマー〜


私達の世界へ連絡。

今回は悪魔の出現に加えて、新たな守護者陣営の存在が発覚、これからの方針を変えなくてはいけなくちゃいけない。


「以上の事から戦力を分散させたままじゃ勝てないわ。

強さはこの際どうでもいいとして、数をある程度集める必要がある。」


『そうか…

カマー、今は我らの中でも意見が割れているんだ。』


割れることなんてあるかしら?

同じ作戦でいくか、変えるか、ぐらいだと思うのだけど、それだけなら直ぐに終わるはず。


『被害を出す事を前提に本隊を送り、無理矢理拠点を建設する強行派

現場、つまりはカマーの意見を聞いてからじっくり作戦を立てようとする慎重派』


あのクソ老人どもが!

この世界は他とは違う、明らかに私達の中でも上位に位置する者と同等の力を持つ存在がいるのに無理矢理建設?

バカじゃ無いの?!


『そろそろ会議の時間が迫っているから切るぞ。

それとカマーの案は既に実行されている、現在のカマーの座標から1番近い門以外は無効化した。』


「…感謝します。」


ブツ


さてと、本国への連絡は終了。

次はアイツらね、カス騎士2人と百合エルフを砂利の上に正座して放置して反省を促してる。

あの日から一睡もさせずに説教を続けている、私は疲労を感じない指輪をしてるから無敵よ。


休憩時間は終了、説教の時間の始まりよ!

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