第118話 計画を実行す…させません!

〜エルフ〜


朱音さんが混乱してから復活しない、もう15分くらい経ってる。


コンコン


「朱音様、そろそろ時間が…」


外から友美さんが声掛けを続けてる。

どうしよ…


(とりあえず鍵を閉めて籠城だな。)


それだと問題の先延ばしにしかならない。

うーん、魔法で眠らせて有耶無耶にすれば…


(問題の先延ばしだな。)


じゃあどうするの?


朱音様〜、と声掛けている友美さんが事情っぽいのを話し始めた。


「今回は、遠距離からの魔法の有効性を試すだけなので危険性は低いですよ…

怖いとは思いますが、朱音様の魔力弾が1番検証にあってるんです。

お願いできませんか?」


魔法の検証?

え、する意味ってあるのかな。


(必要か必要無いかで言ったら、無いな。

それに検証もなにも、守護者の魔法みればわかる筈なんだが。)


これさ命令出してる奴の所に行って、お話をすれば無しにできたりする?


(リース…

お前天才だな!)


だよねチャラ男!


すごいぞ、と褒められてエルフボディの機嫌がとても良い。


後ろに花畑があるような、

にっこり笑顔。


早速行くぞー!


(おっと待った。

その子を眠らせてからの方がいいと思うぜ。)


うん、わかった!


ーーーーー


「白仁朱音様の現在地は?」


「連絡が入っていないので、なんとも…」


前にも会った事がある偉い人と多分秘書さん、その2人の真後ろに転移した。


(俺がセリフやるか?)


お願いチャラ男。


「その必要は、無い。」


そのセリフ、なんか聞いた事あるな。


ガタ!


私の声を聞いた瞬間、

秘書さんは素早く椅子から立ち上がり距離を取った。


「この声は聞いた事があるな。

久しぶり、守護者。」


焦った様子の秘者さんと違い、偉い人は私の方に振り向いたりもせず堂々と話しかけてきた。


この人、つよい…

流石は国を背負う人だな。


「それで何のご用かな?

その必要は無い、との事だが私には検討がつかない。」


「魔法の検証など必要無い。

相手に通用するかなど、魔法の威力、魔力の量で変わる。

それにーー」


話を続けようとしたチャラ男だったが、偉い人が左手を挙げたのを見て話を止めた。


「それを、どこで知ったかわかりませんが、

検証を中止にすれば良いのですか?」


(あ、ヤベ…

別に俺達には問題ないとは思うが、目の前の男は少しも油断できないな。)


え、そんなにやらかした所あった?


「…そうだ、必要無い。」


「わかりました。

今すぐ中止しましょう、ただ貴方に協力して欲しい事があります。」


あれ?エルフボディが震えてる…


椅子を回転させ、こちら向く。

表情は一切動いておらず、なにを考えているのか読みとる事は難しそう。


「協力、とは…?」


「日本にいる魔法使い達の訓練をお願いしたい。」


「ふむ…」


チャラ男〜、これどうするの?


(リースはどうしたい?

教えるのは問題ないが、正直めんどくさいと思うぞ。)


魔法を教える…

私、エルフボディの感覚と神様達のサポートで使ってるから、誰かに教えるのは難しいかなぁ。


でも、魔法使い達を強化できれば被害は減るだろうし…


あっ…日本限定だけど、守護者が出なくても良いようになる?!


(あの天使ゴーレムを1体ずつ囲んでならな。

でも良いのか?リースが世話になってる子も戦うことになるぞ。)


それはダメ…

でも私が居なくても訓練はさせられちゃうだろうし、あの空気最悪な訓練場に通う事になるよね。

それなら近くで教えてあげたいな。


「わかった。

魔法を教えよう。」


「ありがたい。」


「だが私は今とても忙しい。

また今度来るから、その時に予定を決めよう。」


「了解した。」


これで良いかな?

私もエルフボディも偉い人のこと苦手っぽい、早くここから離れたい。


「私は行く。」


「そうですか。」


「そう、今日は被害が大きくなるかもしれない。

周りの自衛隊はすぐに撤退できるように指示を出しておくといい。」


「情報、感謝します。」



〜ロリ女神〜


はぁ、疲れたなぁ…


今日は襲撃が来る。

前に作った植物型の錬金生物を出せるように準備しないと、ケルベロスが別の場所に出たら、リースちゃんはそっち行かないと行けないからね。

足止め代わりに使う。


「……」


今更だけどさ、

なんで僕ずっとここにいるんだろ。


いやさ、初め呼び出されたのは仕事の手伝いでしょ?

それはもう終わったし、すぐに帰る筈だったんだけど…


だってここに居たら、

チャラ男と爺さんに煽られるわ

猫耳つけさせられるわ

僕のこと盗撮するわ


良いことなんてリースちゃんに会えることだけだよ。


リースちゃんに会いたいなぁ。


疲れた僕に、ご飯作ってマッサージ。

優しすぎて昔に絶滅した天使かと。


リースちゃんが作ったオムライス食べたい、失敗しても成功するまで頑張ってくれる、優しいリースちゃんの手料理が食べたい!


…僕、リースちゃんから離れられなくなってる!


それは別に良いんだけど、

問題は、煽ってくるあのカス2人組なんだよなぁ。


「奪うか?」


いや待て僕、冷静になって…

爺さんとの仲が悪くなっちゃう。


僕からは誘えないけど

リースちゃんから、僕の方に来たいって言ったら仕方ないよね?


さりげなーく誘導して…


「おーいロリ女神、そろそろタイマーの時間だから戻ってこーい。」


「ロリ女神って辞めてくれないかな?!」


バレたら終わり、失敗できない。

ゆっくりと計画を進めよう。




         ーーおまけーー

〜偉い人の内心〜


ガタ!


(え、急に立ち上がってどうした秘書!)


(というか、さっきの声って守護者の…)


(え、計画バレとる!)

(取り敢えず中止!今すぐ中止!)


(待って、めっちゃ怒って震えてるじゃん!

俺、守護者がこの状態の今お願いするの?!)


(覚悟を決めろ〜。

魔法の訓練って名目で、会話する機会を増やす作戦を実行する!)



秘書(初めて貴方を見直しました)

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