第116話 タイマー起動

〜エルフ〜


今日は朱音さんにエルフである事を話し、受け入れてもらえた素晴らしい日だった。


その後は特に何事もなくベットでおやすみ。

あ、でも琴音さんとじゃなくて朱音さんと一緒に寝た。

琴音さんもって言おうとしたけど、


『偶には私も2人で寝たいです…』


って言われちゃって誘えなかった。

少しだけ我慢だ、我慢してちょうだい。


その後は神様ワールドに。

来て直ぐに目に入ったのは、背中合わせで座って目を瞑ってた女神様とチャラ男神の2人。

周りには大量の紙と本が散らばり、2人の髪は所々跳ねてて、

仕事との壮絶な戦いが起こったのは明らかだった。


私は直ぐに動いた。

前にオムライスを作ったキッチンへ向かい、魔力で材料を出し、調理する。


完成寸前

美味しい匂いが漂って、2人が料理に気付いた瞬間に


焦がした。


オムライスの時も多用した便利な魔法で時を戻し、新しく作り直す頃には2人共テーブルに座って待機してた。


「うまぁ、美味ぃぃ…」


「確かに美味いな。1時間待たされただけある。」


待たせたのはごめん…


「2人とも、おつかれ…」


「ありがとうリースちゃん…」


あの惨状見たらわかるけど、凄まじく忙しかったんだろうなぁ。

トランプ持ってきて、って言ったのを謝りたくなってきた。


「仕事、たくさん…」


「本当だよ!アイツ自分の世界の管理最低限しかしてなくてさ、5000年前の記録とかもやらないとで、本当にビックリしたよね。」


「だよな。俺でも1000年分しか溜まってないし、爺さんは本当にヤバい。」


「お前もヤバいわ!なんだよ1000年分って!」


私の作ったカニカマ炒飯を食べながら、喧嘩する2人と眺める私。

かなりヒートアップしてるけど、米粒とか一切飛ばさないで綺麗に食べてくれてる。


「すごい…」


話のスケールが大きすぎて付いていけない。


「ケルベロスがいつ出てきてもいいよう、監視も同時にやってたからね。」


「まぁ仕事はあらかた終わったし、後は監視だけだな。」


「だね〜。」


2人とも殆ど食べ終わってて、今更だけどワカメスープも作ってあげた方がよかったかな。


「リース、俺達は今日見てないんだが問題はあったか?」


「エルフバレ…」


「「は?!」」


やば、言葉足りなかった。


「自分から、言った…」


ニヤけたチャラ男が何か言おうとしたのを、頬をつねって止め、

女神様が目を合わせて言う。


「ちゃんと考えた?」


「うん…」


「信頼できるんだね?」


「できる。」


答えてから無言の時間が過ぎる。

目を逸らさずに。


「ならよし!一応だけど私達がこれから何回か様子見るね。」


「わかった。」


ちょっと怖かった!


「ありがと…」


「いやいや、私たちはリースちゃんの仲間だからね。当然だよ〜。」


カチャカチャ


「俺皿を洗ってくるから、そこら辺片付けといてー。」


「あ、待てお前、楽な方を選んだろ!」


チャラ男、俊敏な動きだったな。

少ない時間でお皿をまとめて、キッチンまで運んでった。


「まぁいっか、リースちゃん手伝ってー。」


「うん…」


ピー!ピー!


「ん…?ルメッドちゃ、ん?!!」


え、真顔!

凄いよ、一気に感情が消えた!


点滅してる光を止めて、真顔のまま地上の映像を流し始めた。

門の上には久しく見てなかった、神様が作った襲撃タイマーが起動してた。


「ルメッドちゃん…」


「リースちゃん、マッサージお願いしてもいい?」


「いいよ…」


すっかり苦労人だね…



〜ケイト〜


日本で日付けがちょうど変わったぐらいの時間でしょうか、門の上にまたタイマーが現れたと報告が入りました。


「どうやら襲撃が来るようですよ。」


『そうか…』


「おや?興味は湧かないのですか?」


『結果がわかってる戦いなどつまらん、わざわざ見るために力を使うのは面倒だ。』


結果がわかっている…


『そうだ。

普通なら、アチラとコチラの世界では差があり過ぎる。被害はかなり出るがコチラが負ける事は無い。

まぁ、俺や守護者というイレギュラーがいる時点で普通とは程遠いが。』


悪魔と守護者がイレギュラーか…

それに被害は大きいがコチラ、つまり地球の人類は負けない。


ん?

なぜ守護者は現れた?


悪魔は事実かどうかは別として、アチラの世界へ復讐する為の力稼ぎと聞いた。


では守護者は?


現れるタイミングと石板に書かれた守護者という名前から、人類の味方なのは間違いない。


それと


「確かここらへんに…あった。」


国家間の極秘会議に入り込んだ守護者の発言。

じゃあ滅ぶ?などの発言から、人類を守る為ではなく地球を守る為に表れたものだと思っていた。

が、悪魔が言うには地球が勝つ。


守護者の目的がわからない。


「悪魔、守護者の目的として考えられる事はありますか?」


『そんなもの知るか。

ただ、神にとって絶対に勝てる争いに、わざわざ介入する必要は無いと言っておこう。』


ますます、わからない…


『消すか…』


「消す、とは…」


『守護者をだよ。

俺とお前の計画は、ほぼ全て守護者によって無効化、あるいは進行不可だ。

なら消してしまおう、ちょうどアチラの襲撃も起こる。俺も介入し仕留める。』


「よいのですか?」


『ケルベロスを使った時点でバレている、隠密は必要ない。

魂を集められなかった事が悔やまれるが…』


守護者は悪魔に任せて、私はナインを黙らせましょうか。

同じ人類を守る者なのにうるさいので、少し痛い目を見てもらいましょう。


ーメッセージー

タイマーが現れた。

我々で争っている場合では無い、一時休戦としよう。


私の手助けが必要なら連絡してくれ


ケイト

ーーーーーーー


送信。


「もし失敗したら、暫く派手には動けません。」


『わかっている。

守護者は消すさ。』

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