第115話 大きすぎた秘密

〜エルフ〜


「「……」」


視線を集める2人組。

手を繋ぎ、それぞれ買い物袋を持って歩いている。


2人は一言も喋っておらず、側から見たらボーッとしてる様にも見えた。


だが


『私、エルフ。』


ノォォォォォ!

私いきなり心開きすぎじゃね?!


心は騒がしい。


いやね、結構軽く受け入れてくれてかなり嬉しかったよ?

でもさエルフだって事も言っちゃう?


実は人間じゃなくてエルフでした〜、って魔法使える以上の秘密じゃん!

朱音さんは魔法使いなのは予想してたみたいで特に動揺してなかったけど、流石にエルフは予想外だったのか考え込んだあと、ちょっとフワフワしてる。


考え事をしてるから、ちょっとフワフワしてるんだと思う。

話しかければ反応してくれるし、問題ない。


ガチャ


「ただいま…」


「おかえり2人とも。」


家のリビングで作業してるママさん。

ただいまが私の分しか聞こえなかったからか、朱音さんの様子を見た。


「どうしたんだい?」


「え、あぁ少し考え事してた。」


「ならいいけど、体調不良なら早めに言うんだよ。」


「わかった。」


長引くと少し心配になってくるよね。

でも私にできる事はないし、時間が解決してくれるのを待つか。


キャベツ、ネギとか買ったものを冷蔵庫にしまってと。


「よし…」


今日は、というかしばらくの間は朱音さんの近くに居よう。

離れると不安を感じる、気がするんだよね。


「……」ピト


ソファーに座ってる朱音さんにくっつく。


「なんだか、2人の中身が入れ替わったみたいだね。」


いつも私がフワフワしてると?

そうかも…



「ただいま〜!」


琴音さんが帰ってきた!


「おかえり琴音。」


「おかえり…」


おう、オシャレだ。

琴音さんのメイクと外出用の服、久しぶりに見たなぁ。


「リースちゃんと朱音ちゃんは何してるの〜?」


見てわかる通り、


「くっ付いてる…」


「そっかぁ、私も〜!」


琴音さんが朱音さんを挟む様に座った。


「あ〜…」


うん、暑がってそう。

体温が高めのエルフボディ、外出から帰ってきて体があったまってる琴音さん、この2人にピッタリくっ付かれてたら暑いわ。


「暑い!」


「イタッ」


「あ、ごめんなさい姉さん。」


暑いのに我慢できなかった朱音さんが立ち上がった。

寄りかかってた朱音さんが居なくなり、琴音さんが倒れる、私はピッタリくっ付いたままだったから落ちなかった。


「うわ!リースちゃん凄い、くっ付いたままなんだ…」


セミみたいにピタッとね。

くっ付いてる肩に負担が掛からないように、軽量化の魔法を無意識に使って。


「え?軽い!信じられないぐらい軽い!」


「ふふん…」


さてと、背後からママさんが近づいてきてる気配がするからバレる前に降りよ。

魔法使ってる間はティッシュ1枚と同等の軽さだからね、そんなのあり得ないって流石に気づく。


「決めた!」


自分のほっぺを叩きながら言った。

何を決めたんです?


「リースちゃん!困ったことがあったら言ってください。

私、全てを受け入れます。もうなんでも、ヤバいことじゃなければなんでもいいよ!いつでも言ってね!」


おおう?

うん、ありがとう。


秘密が大きすぎて、

どうしたらいいか考えて、考え続けて…


「朱音、ありがと…」


「任せてください!

もう、私頑張っちゃいますよ。」


「う、うん…」


多分、何も思い浮かばなかったから味方だよって伝えてくれた…のかな?



「ねぇねぇ、あの2人何があったの?」

「さぁ?買い物から帰ってきてからあんな調子だ。」

「へー。」



〜神様〜


イェーイ!


ガタ!


「うお、急に立ち上がってどうした。」


「儂にもわからん、急に楽しくなってな。」


「そうか、早く座れ…」


疲れた顔してるのぉ。

まぁ、そりゃそうか儂の取り調べをするのは疲れるじゃろ。


ーコメントー

・そろそろ飽きた

・せめて取り調べる神を変えてほしい

・もう次の企画行きません?


配信のコメント欄も飽き始めている、儂も飽きた。


「いつまで儂は此処に居ればいいんじゃ?」


「後1日ですよ…」


「そうか。」


うわぁ、あと4回は此処でご飯食べるのか…

今日もカツ丼かのぉ、少し飽きたな。リースたんが作るか、一緒に食べてくれるかすれば飽きずに食べれるんじゃが…


「ハンバーグが食べたいんじゃが。」


「急になんなんだ。

まぁわかった、材料を送ってもらう様に手配する。」


「作る人は?」


「俺だ。」


「チェンジで。」


「は?」


もう男の手料理は飽きた…

女性の手料理が食べたい。そういえば此処に連れてこられてから治安神は目の前のこいつしか見てない、女性の治安神は居ないのか?


「恋バナしよ!職場に可愛い子いないの?」


「話が急に変わりすぎだろ!」


「どうでもいいじゃろ、そんな事より好きな子居ないの?」


「おい待て、可愛い子って先に言ってたよな。なんで好きな子に変わってんだよ。」


勘のいい奴め、儂の欲望が隠し切れなくて思わず可愛い子って言ってしまった事を見逃さないとは。


「どっちも変わらんじゃろ。

好きは可愛いと同じじゃろ?」


「ん〜。あぁ、まぁそうだな…」


「それで、居るのか?」


「……」


ふむ…

好きな神を頭に思い浮かべてるな?


「居る…」


「おおおおぉぉ〜!」


ーコメントー

・おっと面白くなってキタァ!

・キタコレ!

・よっしゃあ!


コメント欄も盛り上がってまいりました!


ーーパキン


「ん?」


「どうかしたか?」


「いや、なんでもないぞ?

それより好きな神の事、教えてちょ。」


リーナちゃんを封じてた結界壊されたけど、ロリ女神もおったし新しく結界張ってくれてるじゃろ。

問題無し!

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