第113話 なぜ聞くのかって?

「上がりです。」


「ま、負けた…」


時間があり過ぎて20戦もしてしまった。


途中にスタッフ?さんが

『いまは訓練の時間なんで、トランプは…』

って言ってきたけど、美人さんを見たら震えてどっか行った。


勘違いはダメですよ。

美人さん、逃げられて少し落ち込んでますからね。


「信じられないぐらい弱いです。」


「リースちゃん、顔に出てバレバレでしたね。」


ちなみに同じテーブルの人達はジーッと見てるだけ、誰も話しかけてこなかった。


「やっと終わったのか。」


お?

ついにトランプ仲間に入りたい奴が来たのか。


「誰ですか?」


「…自分より下の奴は、覚えなくて良いってか?」


「すいません、順位がある事自体最近知った物で…」


うーん…

悪意?いや、少しわかりにくいけど嘲笑というか見下してるというか。今の会話に見下される所あったかな?


「あ〜あ、なんでこんなのが3位なんだか。」


まぁ、今それはどうでもいいとして。

朱音さん、苦しいので離してください。いつの間に抱かれてた?エルフボディでも反応できなかったよ…


「めんど…」


このめんどくさい男にも動じない、流石です朱音さん。


「貴方達、本当にめんどくさい。」


「は?」


美人さん怖!


真顔でキレてる…ように見える。

内心はビビってます、間違いない。


言い合いが始まった。


話を聞いて軽く整理すると、

3位の人に会えるのを期待してたのに、自己紹介とかしないでトランプを始めてイラついてるみたい。


なんだよ!拗ねてるだけかい!


「モチモチですね。同じボディソープ使ってるはずなのに、私や姉さんと全然違います。」


「むにゅ…」


当たり前のように向かい合わせになり、頬っぺたをムニムニされる。


「柔らか…!」


楽しそうでなにより。

前回もこんな空気だったのかな?そうだったとしたら、此処で訓練めっちゃ疲れるだろうなぁ。


訓練で肉体的に

空気で精神的に


護衛として着いてきたけど、エルフボディが癒しになるならストーカーが落ち着いた後も着いてこよう。


「はぁ、…そもそも魔法の訓練なんて人それぞれ、話すことなんて無いのでは?」チラッ


「新しい何かしらが掴めるかもしれないだろう?それとも順位を抜かされるのが怖いのか?」


「順位なんてどうでも、私は自分の身を守る為に努力したので」チラッ


私の事チラチラ見てきて、どうしたんだ美人さん。

言葉にキレがなくなってきたぞ。


「大体、誰なんだよそのガキは!」


お前勇気あるな…


エルフボディは神様が作った力作、現実ではあり得ないレベルの美少女。

その体に向かってガキ、しかも敵意マシマシ。


高確率で周りが敵になるぞ。


「謎だった第3位以外、此処にいる101人の魔法使いとは顔合わせ済だ、なのにそいつの事を俺は知らない!」


101…?

石板に記入されてるのって100人じゃなかったっけ?


「チッ…」


周りから凄い見られてるぞ〜。


「はぁ、この子は私の大切な人です。」


「へ…?」


「大切な家族をその様に言われるのは不快です。」


そういうことか、びっくりしたぁ…

絶対、私の顔真っ赤。


「リースちゃん、もう帰りますか?」


「ど、どっちでも、いぃ…」


キャーーーー!


「こ、此処はーー」


「もう静かにしたら?周り見てみなさいよ。」


「そんな事知るか!」


うるさいな、もう諦めればいいのに。


男は美人さんと、まだ言い合いを続けてる。

正直、ここまで本気になる理由が分からん。引くに引けなくなったのか、純粋にそんな人だったのか。


めんどくさいな。

魔法隠す必要がなかったら眠らせてる。


「ーーー」


久々にエルフボディから謎言語が発せられる。

めっちゃ久しぶりなkーー


バタン!


がする…


は?


さっきまで喚いてた男が、机に向かって仰向けで倒れた。


魔法は使ってないし、エルフボディの謎言語にそんな力あったの?


怖!



白仁朱音しらにあかね


ああぁぁ〜〜。

やっぱり此処にはヤバい人しか居ません…


トランプを持ってきて一緒にやろうと言われたまでは良かったです、その後にこの前の性格悪い美人を誘うのは予想外。


何故かはわかりませんが、リースちゃんは美人さんに懐きつつあるみたいで珍しく積極的に話しかけてました。

顔は真顔で少し怖かったですが、雰囲気は柔らかかったので怒ってはいないでしょう。

多分、きっと


20回連続でリースちゃんが負けた時、同じテーブルに座ってた1人の男が声をかけてきました。


トランプやりたいのかな、と思ったら普通に煽ってきて驚きました。


美人さんとは、トランプを通して意外と悪い人じゃないのかなと思い始めていたのですが、

このテーブルにはやっぱりヤバい奴しか居ないとわかって、かなりショックを受けましたね。


この訓練場、本当に空気悪いよ。


美人さんと煽ってきた男の口喧嘩。

リースちゃんに飛び火した時は殴ってやろうかと考えてましたが、リースちゃんが怪我する可能性を考えたら怖くて殴れなかった。


「おい!大丈夫か?!」


「グーzzz」


「寝てるだけかよお前!」


男が急に倒れ、全てがめんどくさくなった私は帰る為に準備を始めます。


「帰りましょうか、リースちゃん。」


「うん…」



途中スタッフさんに話しかけられながらも友美さんと合流、事情を話し今日は一時帰宅する事に。


『ーーー』


車の中で何度も繰り返し思い出す、リースちゃんが話した謎の言葉。


「朱音、大丈夫…?」


「少し、疲れました…」


私を除き誰も聞こえてないとは思いますが、私は聞いていました。


多分ですけど、男の人が倒れたのはこの謎の言葉の力。


思い返せば、私が魔法を初めて使えたのはリースちゃんに『おまじない』をして貰った時。

貰った御守りにも謎の力があって、離れると私の手元に戻ってきます。


リースちゃんが、魔法使いかそれに近い存在なのは、間違いないと思う。

それも石板が出る前から…


それを知って嫌いになるなんて有り得ません。

ですが、今晩聞いてみようと思います。


なぜ聞くのかって?

私にもわかりません、


ただ、リースちゃんーーー人の事を知りたいと思ったんです。

もっと、もっと…





ー作者の謝罪ー


昨日更新できず、すいませんでした!


作者がKACに参加していたのに加え、

急用が入ってしまい書けませんでした。


待たせてしまい申し訳ありません。


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