第103話 ダメになっちゃう…

〜エルフ〜


「へ〜、大変だね!」


「私は、全然…それより、朱音。」


今の女神様に相談は少し頼りないな。

女神様が言うには、思考は前と同じだけど口調だけがどうしても幼くなっちゃうみたい。


「うーん、でも疲れちゃったのはどうしようもないよ。」


朱音さんについての相談をしてた。

あの後は、夜ご飯を食べてから直ぐにシャワーを浴びて一緒にベッドへ。ほとんど喋る事もなく、横になって直ぐに寝ちゃった。


これはかなり疲れちゃってるなって、対策とか出来たら良いなぁと思ったんだけど。


「ゆっくり休むしかないよ〜。」


「そっか…」


そうだよね、魔法は便利だけど使いすぎも良くないだろうし。

後は慣れてもらうぐらいかなぁ。


「リースちゃんが心配なのはわかるけど、僕1人だと仕事がなぁ…うえぇぇ」


「…!」


女神様が泣いてる!

仕事がそんなに辛いのか。


「僕は、僕の世界の仕事もあるのに…」


「いい子…」


「うぇぇん!」


今気づいたんだけどさ。

最近、私は精神的にも、肉体的にも、疲れてる人の相手しかしてない気がする。


「あったかいよ〜。」


相手って言っても、抱かれてるだけなんだけどね。

……私本当に何もやってないな!料理を偶に作るぐらいだよ!


「自然の匂いがする…」


普段通ってるはずの学校は修理中で行けないし、神様の仕事を手伝えたりしないかなぁ…

琴音さん達にも何もしてあげられてない。あ、そういえば私のご飯代とかどうなってるんだ?!


「あわわわ…」


も、もしかしたらって思ったら不安になって来た…


「…?」


バイト許可は…降りないな。


「リースちゃんが居てくれるだけで、癒しだよぉ〜。」


「…!」


そうか!

私がこの体になった理由がわかった気がする。


「ルメッドちゃん、横になって…!」


「んぇ?うん、いいよ〜。」


「うつ伏せで…」


私の使命、それはーー


「何するの〜?」


「マッサージ。」


このハイスペックボディを使ってーー


「痛かったら、言ってね。」


癒しを届ける!


ーーーーー


「あ、あぅ…」


「そのまま、何もしないで…」


「う、うん。」


女神様、立とうとしたけど完全に力が抜けて無理だったね。


「水飲む…?」


「大丈夫だよ〜。」


やった事は簡単、肩から始まり脚までマッサージ、最後に頭皮も軽くマッサージ。


「マッサージ、上手なんだね〜。」


私は軽く揉んだり叩いたりしようかと思ってたんだけど、なんかエルフボディの知識の中にやり方が入ってたんだよね。


「ぶい…」


「身体がフワフワしてるよ〜。」


この女神様でもフワフワになるマッサージ力があれば、きっと朱音さんもフワフワにできる!


「…暑い。」


「空気冷やす?」


「大丈夫〜、それより少し眠くなってきた…」


「おやすみ…」


ふふ、現世に戻った時が楽しみだなぁ…



白仁朱音しらにあかね


「朱音…」


「はい。」


今日のリースちゃんは何かが違います。

私が朝起きた時には既に起きてて、朝ごはん食べに行く前の着替えを手伝ってくれて、醤油取りに行こうとしたら止められ取ってくれたり、と色々とお世話してくれてる感じがします。


「………」ジー


姉さんからの視線も、いつもと違って少し圧があります。

昨日リースちゃんを私の部屋に連れて行った事が原因でしょう。


「今日、忙しい…?」


「課題がまだ残ってるぐらいですね。」


どれぐらい休みが長くなるかわからないのと、門と怪物関係で休校が増えたので課題の量が半端じゃなく多いんです。


「今日は、休み…」


「え?」


「休み…」


「いや、課題を終わらsーー」


「休み。」


「…はい。」


やっぱりいつもと違うよ!


「部屋行こう…」


「わかりました。」


背中に刺さる姉さんの視線に気付かないふりしながら私の部屋に向かいます。


ガチャ


あぁ、机の上汚れたままだ。


「横になって、うつ伏せで…」


今のリースちゃんには絶対に逆らえません、何をしたいのかはわかりませんが悪い事じゃないでしょう。


「よいしょ…」


リースちゃんが乗ってきた、やっぱり軽いなぁ。


「痛かったら、言ってね…」


パキパキ、パキ…


マッサージだぁぁ。肩甲骨の辺りがパキパキなってます、一昨日と昨日は座ってることが多かったのでそのせいでもありそうです。


「わっ、大丈夫…?」


「大丈夫ですよ。」


「うん…」


ペキ、パキパキ…


あぁ〜、リースちゃんマッサージ上手すぎる〜…


ーーーーー


体を新品と取り替えたのかと思うほど快適です。 

疲れが無い!体が軽い!


「終わり、水飲む…?」


「そうですね、取りに行きmーー」


「此処で待ってて、動かなくていい。」


ガチャ パタン


取りに行きますって言おうとしたら止められちゃいました。


ガチャ


「とって来た…」


「早いね、ありがとうございます。」


畳んで床に置いてたタオルケットを持って脚に掛けようとしてくれてますが、


「冷えたら、大変…」


「あ、少し暑くて…」


「そっか。」


本当にマッサージ上手でした、今は横になっているのでわかりませんが背筋もいつも以上に伸びてると思います。


「手、繋ご…」


「良いですよ。」


でも、どうしてマッサージしてくれたんでしょうか?


「してほしい事、ある…?」


「えっ!えーと、特にはないですね。」


「なにかあったら、なんでも言って、全部やる…」


この状態これからずっと続きませんよね?

とても可愛いリースちゃんにお世話され続けたら。

私、ダメにされちゃいますよ…

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