第104話 始めましょう 私が動こう

〜ケイト〜


海中に存在する超巨大潜水艦、殆どのシステムをAIで動かしており生身の人間は10人しか居ない。

その中でも1番の権力者であるケイトは大量の書類と向き合っていた。


『契約者よ。』


「なんでしょう?私は計画の最終調整に忙しいのですが。」


普段はこっちから話しかけない限り話さないのに、何があったんだ?


『面白い人間がいる。』


「面白い人間?」


悪魔はこの世界を見ることが出来る、千里眼と言うべきか。

敵対関係にある神に察知されやすいからと使う事はなかったのだが、最近は監視が甘く少しなら使っても問題無いそうだ。


『あぁ、忌々しい神の人形の小娘がよく現れる、あの島国にな。』


忌々しい小娘、守護者のことだな。

日本に悪魔が興味を示す存在か、計画の邪魔になる前に消しておくべきか。


「それは誰ですか?」


『ハッハッハ、なぜ興味を持ったかは聞かんのか?直ぐにでも処分するのか?』


「計画の邪魔になる可能性が1%でもあるのなら消すべきでしょう?」


『白仁朱音、3位と呼ばれていたな。』


魔法使いか…そういえば日本のTOP達の中で3位はほとんど情報がなかったな。


「3位ですか…」


『確かにそう呼ばれていたが、気になることでも?』


「いえ、悪魔である貴方が興味を示す程ですから1位かと思いましてね。」


前に一度だけ悪魔を顕現させ、とある施設を破壊した時の魔法は圧倒的だった。

今まで見てきた魔法使い達の魔法がお遊びにしか思えない程の強力で、残酷な魔法であり、ケイト自身も人類の敵に回したら勝てないと恐怖した。


そんな存在が面白いと言った人間、我々一般人からしたら危険で強力な存在で間違いない。


『3位の娘は魔力量は他と然程変わらん、魔力を増やす訓練をしておらんようだったからな。魔法もほぼ使えん、肉体的にも精神的にも弱い。』


聞く限りでは3位にいることがおかしい。

石板が出現した国のランキング10は確認した、どの者も突出したナニカを持っている、筋力だったり技術だったり。


「では、なぜ?」


『ふははははははは!』


いつもより機嫌がいいな。


『アレはこの世界、星に愛されているのだよ!』


「星に?」


『奴は決闘していた、悪魔の俺から見ても、そこそこの強度のシールドを連続で使用していた、だが魔力が尽きない!』


バカな…

シールドの魔法は魔力をどれだけ込めるかで強さが変わる、悪魔がそこそこの強度というシールドを連続で使って尽きない訳が…


『何処からか魔力が供給されていたが、あの娘からは神の気配が無い。』


「魔力の出所がわからなかったのですか?」


『神に力に妨害されわからなかった。』


それは神のサポートを受けてる可能性が高いのでは?


『これだから人間は嫌いだ、理解力が無い。』


例え契約者であっても悪魔には隠し事などできない。

ただ今回は説明が足りないと思いますけどね。


『ふん。魔力には味がある、魔力が神の物なら俺は食べる事はできない。』


神の力ではなかった場合だと、シールドの分の魔力をなんらかの方法で人間が渡してるという事になるが…そうか!


『やっと気づいたか、そうだ神の力じゃなければアレだけの魔力をただの人間が用意できるはずがない。』


「それで星ということですか。」


『星、世界に感情があるとは思えないがな。3位の小娘の利用価値は高い、死体でもいい早く俺の前に持ってこい。』


早く、か…

予備の仕掛けはまだ不完全ですし、もう少し様子を見たかったですが仕方ありませんね。


計画を始めましょう。



〜ナイン ??〜


私の目的は、何故か情報の面で保護が強い白仁朱音を調査する事でした。

普段なら電話一本でわかる筈が、全くと言っていいほどわからなかったのです。


(だからぁ、煽ったのは悪かったって!)


「怒は暫く出さない…」


それについて調べる為にも護衛として近づいたのですが、お仕事は失敗に終わってしまいました。

これも全て『怒』のせいです。


(許してあげたら?)


「き、嫌われたかなぁ…」


(哀は考えすぎなんだよ〜、謝ったら許してくれるって〜。)


周りから見たら1人で歩いてる私が、誰かと話しているように喋る姿は注目を集めてしまいます。


私は所謂多重人格と呼ばれる症状があります、ですが更に特殊で

『喜』『怒』『哀』『楽』

の4つでお互いに意思表示も自由、それに自由に入れ替わることもできます。

誰がメインなのかは私達にもわかりません、5つ目があるのかも知れないし、既に消滅してる可能性もあります。


(結局わかりませんでしたね。)


(それは悪かった、だけど普通の魔法使いではないよな?あの力は。)


「で、でも、いい人だよ?」


(いい人なのはわかるけどさ〜、ナインの権力でわからないって事は1.2.3.のどれかが防いでるんじゃないかな〜。)


エースさんなら教えてくれるかな?でも迷惑かける訳には…

できれば私だけでなんとかしたい。


(せめて九州とか四国の方だったら、私達の影響力強いんですけどね。)


(『楽』はそっちの方が好きだからねぇ〜、門の件がなければ京都まで後1歩だったんだし〜。)


ブー ブー


「ヒャッ!」


電話!


(哀、私が出るわ変わって?)


「よ、よろしく楽…」


電話先の声は少し焦っている、背後は騒がしく警戒音が鳴り響いていた。


「なんだ。」


『ナイン様、簡潔に申し上げます。太平洋にてケイト様の管理下にある大型潜水艦を発見、日本へと近づいて来ております。』


(いやぁぁぁ!)


(哀うるさい!少し冷静になれ!)


(だって、ケイトだよ?!4番目!)


(まぁ最近のケイトの過激な行動見ればこうなるのは〜、わかってたよね〜。)


此処で戦争になるの?!

日本は私以外にも数字持ちの拠点が多いけど、落とし切れる自信があるのかも!


「攻撃か?しかしメリットがない。」


『例の件もあり、日本でなんらかの行動を起こすのは間違いないでしょう。現在日本にいるナンバーの方々に情報を共有しました、ナイン様が動くのならサポートすると返答が。』


(こりゃ試されてる。ナインである私達か、ケイトか、事が大きくなるならどちらかを潰すな。)


「私が動く、すぐに私の意思を伝えなさい。」


『はっ!かしこまりました!』


もう引き返せない…

お父さん、私頑張るよ…


??→哀



ーーー補足ーーー


数字持ち

人類の滅びを防ぐ為だけに存在する、10人の権力者。

仲が悪い訳ではないが争う事もしばしば。

自分の数字を直接教えた相手は派閥に入ったと判断される、1に近いほど力を持つ。

例の権力持ってる凄い人も数字持ちです


『人類が全て滅びなければ国の1つや2つ滅んでもいい。』



作者の技量不足で詳しい説明をすることが出来ませんでした、

これからのストーリーに関わるので、このような形ですが紹介させていただきます。

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