第101話 ピト ひゃー!
〜
お母さん、お姉ちゃん、リースちゃん、ついでにお父さん。
私この試合がんばります、痛いのも我慢します、だから帰ったら褒めて欲しいです。
あぁ、拳がドンドン近づいてくる。
ガン!
…痛くない?
拳が私の顔から20センチぐらい前で止まってる!
『おーっと!これはシールドの魔法だー!白仁選手これは凄い!』
なんか選手になってる…
『
シールド、確か詠唱が必要ない魔法でしたね。
家の中で練習できるのに丁度いいと思って練習したんですけど、成功したのは、5回あるかないかぐらいだったはず。
「やるな、3位なのは伊達じゃないって事か、よ!」
ガン!
今の蹴りは見えなかった…
何故か発動してくれてるシールドのお陰で当たらなかったですけど、音だけでも当たったら痛いってわかります。
『これは、素晴らしいシールドですね!ですが金本選手の連撃に対して、白仁選手は反応しきれていない様にも見えるのですが。』
うん、1番最初の殴り以外は見えないからね。
ガンガンって音で攻撃されてるなってから、やっと気づけるぐらいです。
「お前、どんな魔力量してやがる!俺の拳は見えてねぇ。やり方はわからねぇが、自動でシールドを発動するようにしているな!」
『なんと…これは凄い事ですよね?!』
『そうですね。かなり魔法の技量が高いのかと、知識も並大抵ではないでしょう。』
違いますよ?
魔法の訓練なんて透明ボールで遊んでるぐらいですし、知識も殆どないです。
詠唱だって覚えてるのはーー
「くっ…!」
あの家族の前でやった、ライトの魔法ぐらいだよ!
あの時のリースちゃん、一瞬だけど悪魔に見えたんだよね。でもリースちゃんの一言のおかげで初めての魔法使えた。
でも思い出したら恥ずかしくて…
「はぁ…」
「な!煽り、やがって…!」
え?
どこに煽り要素があったんです?
『白仁選手、余裕なようですね。』
『そのようですね。魔法の力を持つ魔道具も所持していないとの事ですし、3位と9位という差は大きいという事でしょう。』
新用語、魔道具。
なんだよそれぇ、そういうの教えてよぉ〜。
私が魔法の詠唱嫌ってたから?此処に来なかったから?
でも教えてくれたっていいじゃん。友美さんには凄く感謝してるけど、少しぐらい、さ?
『しかしシールドの魔法で防ぐ事しかしていませんが…もしや防ぐ事で精一杯、という事も?』
『疲れも見えませんし、それはないでしょう。』
此処に立ってることが精一杯です。
「ふぅ…次で決めさせてもらうぜ!【我 求めるはーー】」
長い詠唱だ、こんな大勢の前で恥ずかしくないのかな…
『おっとー!金本選手!肉体強化系最強の魔法を使う気だー!』
『今のところ金本選手しか使えない魔法です。白仁選手がどのように対応するのか気になります。』
そんなやばい魔法かー。
やっぱり私も透明ボール…いや、変な事してこの障壁が出なくなったら間違いなく私が終わりますね。
「喰らえ、オラァ!」
シールド〜!
お願いします頑張ってー!
怖いから目を閉じてますけど、シールド信用してないわけじゃないですから!
ガッ!
「は?…グェ!」
…大丈夫、そう?
『しょ、勝者!白仁朱音選手!』
「え…?」
恐る恐る目を開けると、私の前には大の字で倒れてるチンピラがいました。
「「「うおぉぉぉぉ!!」」」
「え…?」
〜エルフ〜
今日も友美さん達のお家に遊びに来た。
トランプを持って来たし愛美さんと琴音さん、私の3人で何かやろうと思ってたんだけど、いつもリビングに居たはずの愛美さんが見当たらない。
「体調が悪い?」
「そうです。熱はないんですけど、体が重怠いそうで。」
体調不良だったみたい。
愛美さん、大丈夫かな。
「取り敢えず様子見で、悪化しそうだったら病院に行く予定です。」
待てよ…
愛美さんも昨日の魔法入りの料理、食べてたよね?
「昨日の夜から脚が痒いと言ってたので、回復の兆しが出たのかと思って嬉しかったのですが…」
脚が痒い?
ヘイ!女神様ちょっと聞きたいことがあるんだけど、起きてる?
(起きてるよ〜…)
眠そうだね。
(早く言ってー、もう少し寝たいの…)
わかった。
愛美さんの呪いってどうなってます?今寝込んじゃってるんですけど。
(う〜ん?…体力不足〜、休んでれば治るよ〜。)
治療が進んで体に疲労が溜まっちゃったのか、納得!
(もういーい…?)
うん!ありがとう女神様!
(おやすーー)
ガン!
「…!」
おぉう?なんだ今の音。
女神様がおやすみって言おうとした時、なにかを思いっ切り殴った様な音が聞こえた。
「どうしたの大丈夫?」
「…大丈夫、だyーー」
ガン!
まただ。
それに1回目は気づかなかったけど微妙に魔力減ってる、プールいっぱいの水が私の全部の魔力だとしたら水滴1回分ぐらいだけど。
ガン、ガンガン、ガンガンガン
うるさーい!
なんなんだよこの音は〜。
「リースちゃんが溶け始めた…」
「猫みたいですね。」
魔力も少しずつ減ってる、いや持ってかれてる…
「ごめんよー、今は猫耳カチューシャ持ってないんだよ〜。」
別にいらないです…
ガンガンガンガン
「にゃーん…」
ダメだ、うるさすぎる。
魔力を持ってかれてる場所に向かって一気に流してみよ。
息を整えて、
感覚で拳ぐらいの魔力をーー
「えい!」 ピト
「ひゃー!」
あっ!
琴音さんが首に少し冷たい手を当てて来て、びっくりしちゃった…
魔力も想像以上に沢山送っちゃったけど、大丈夫かな…
「……」 コツ コツ
エルフボディも不満を頭突きで表現しています。
琴音さんと友美さんは鼻押さえてる、多分伝わってないな。
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