第99話 魔法訓練、ですか…?

〜エルフ〜


「んー!今日は疲れが取れた感じがする!」


「よかったね…」


魔法料理すごい…

朝シュッと起きれて一切疲労感無い。


あの後神様ワールドでは女神様とずっと寝てたっぽい、起きたら抱きしめられる側になってたし。


今日の朝ごはんはなんだろう、良い匂いする…


「おはよう…」


「起きたか、おはようリース。できてるから食っちゃいな。」


…なんか、朝ごはん豪華じゃない?


「うわ、すご!ホテルのビュッフェかと思った!」


だよね琴音さん、気のせいじゃないよね?

え、え…?


「なんか今日は朝から動きたくて仕方なくてね…」


「ローストビーフとかもあるけど…買い物行って来たの?」


「朝イチで駅前まで行って来たよ。」


朝から行動力凄いな!

というか、そんな早い時間にお店やってるんだね。


いや待て…

まさかとは思うけど、魔法の効果じゃないか?

よく見たら目の下の隈とか、髪の滑らかさが全然違う。


「リースちゃんも食べよー、美味しいよ。」


まぁ、悪いことじゃないし別にいっか!


「パン、ふわふわ…」


「柔らかいねぇ。」


ーーーーー


「ごちそうさま…」


美味しかった…

コンポタが温まる。


昨日残ってた、ふろふき大根は大人組が晩酌で食べきったらしい。

朝ごはんが豪華だったのは大根の変わりだって言ってた。


「あ…」


「どうしたの?」


そういえば朱音さんまだ寝てるのかな?


「朱音…」


「あっ!ご飯一緒に食べようって思ってたのに、朝ごはんが豪華すぎて忘れちゃってたよ…」


それはしょうがない。

誰だって朝ごはんだよって出されたのが、ホテルのモーニング並みだったらビックリする。


「朱音なら、友美さんと訓練場に行くって言ってたよ。」


「訓練場?」


「魔法の訓練なんだと。詳しくは教えてくれなかったけど魔法使いが誘拐されそうになったらしくて、ある程度の自衛できるようにする為らしいよ。」


魔法使いの誘拐、遂に起こったか…

友美さん達みたいな、警備じゃ足りなかったのか?いやそもそも犯人はどんな動機なんだろ。


「へー、何時くらいに戻るとか聞いてる?」


「夕飯には戻ってくるらしいけど、詳しくは私にもわからないね。」


「そっかー…」


仕事で疲れ果ててる女神様に調査を頼むは、無理だよなぁ…

自称守護者の代理もどうにかしないといけないし。


「はぁ…」


神様、帰って来てくれないかな?

チャラ男神でも可!


「琴音…」


「んー?」


「隣、愛美に、会いに行こ…」


今できるのは、愛美さんの呪いを少しずつ解除するぐらいだ。


「行こっかー。」


「2人に、これ朝ごはんって持っていきな。」


「了解!」



白仁朱音しらにあかね


おはようございます。

私は今、魔法使い専用の訓練場に来ています。


この施設、凄く大きいな。

前に訓練場ですって紹介された場所と別ですけど、こっちの方が新しいんでしょうか?


「こんな、朝早くですいません…」


「いえ、大丈夫ですよ。」


友美さんが言うには、最低限自衛できるようにと今回は強制参加らしいんですよね。


「私より、共に過ごしてる護國さんの方が安心できると思いますが、あの頑張りますので…」


この人、大丈夫かな?


「学校も、その…今直してるそうなので…」


少し不謹慎かもしれませんが、学校が休みになってリースちゃんとゆっくり過ごせると思って、嬉しかったんですよ。

だけど昨日は学校の課題、今日は魔法の訓練でそんな時間無いんです。


泣きたい…


「それに、この施設は魔法の技術を使ってて、安全性は確kーー」


ドガーン! ガラガラ…


安全性とは…?

爆発音聞こえて一部分崩れ落ちてますけど!魔法の技術はどこに行ったんですか?!


「…ごめんなさい。」


「いえ、えっと…護衛さんのせいじゃないですし。」


「私が、確認してくるので、あのベンチで座って待っててください。」


そういえば、この人の名前知らなかった…

朝早くに送ってくれたり、朝ごはん買って来てくれたりしてたのに。


「戻って来たら聞きましょう。」


訓練って何をするんでしょう?

体術とかは興味あるのでやってみたいんですが、魔法は…できればやりたくないですね。

詠唱が恥ずかしすぎます。


「はぁ…」


私、この透明ボールなら誰にも負ける気しないんですけど、これだけじゃダメですか?


時間ある時に作って遊んで練習してたので、最近は壁に投げても爆発しないし穴も開かないようになりました。

少しだけなら浮かせられますし、これを極めればかなり強いと思うようになったんですよね。


あ、戻ってきた。


「壁が一部壊れた、だけらしいので、行きましょうか。」


「わかりました。そうだ、名前教えてもらえますか?」


「私の名前、ですか?」


「え?はい…」


名前教えたくない理由でもあるのかな?


「な、ナインと呼んでください。」


ナイン?

数字の9でしょうか。え、名前は?


「ナインさん、で良いんですか?」


「は、はい!」


「え…」


「あの、困惑されますよね。その私の、ニックネームみたいな、その…はい。」


いや、わかりませんけど?

結構不思議な人なんですね。


「スー…ナインさん、これからよろしくお願いします。」


「はい!頑張ります!」


悪い人では無さそうです。


ーーーーー


「『我の言葉に力をーー』」


「『水の加護をーー』」


「『私に風の加護をーー』」


魔法の訓練かぁ…


「ナインさん…」


「ど、どうしました?」


「帰って良いですか?」


「えぇ?!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る