第55話 英雄支援派 集まってもらったのは… 

〜エルフ〜


「うぇぇ…ひぐ……」


「…………」


なにこれぇ…

いつも通り神様ワールドに来たのは良いけど女神様は泣いてるし、神様は天井から吊るされてるし、チャラ男はいない。


本当に何があったの?!


「うぅ…リース、にゃん。」


「!」


にゃん!


お、落ち着け。

女神様があの格好なのは前回のオセロの罰ゲームのはず、だけど罰ゲームににゃんの語尾が付くのはなかった、つまり女神様はコスプレ楽しんでだけどチャラ男神と神様がからかいすぎて泣いちゃったってことか!


「…………」


「なに、してるにゃん…」


アイテムボックスの中に神様からくすねた猫耳カチューシャが入ってるはず…


「リースそれはつけちゃダメにゃん!」


「にゃん…」


「あ、あぁぁ…」


ん?

なんだこの反応、もっと喜んでくれる筈だったんだけど。


「にゃん…」


「うん、にゃん。」


女神様可愛いなぁ…

神様の状況とかどうでも良くなる可愛さだ。


「ギュッて、したいにゃ…」


「良いにゃよ。」


この空間を第三者の視点で見たい、きっとフワフワで幸せに溢れてる空間になってるはず。


ガチャ


チャラ男神が帰ってきたのか?


「…ロリにゃんこが、増えてる。」


「!」


軍服着た日本風の美女さんが入ってきた、無表情怖すぎます…


「軍にゃん。」


「軍、にゃん?」


「グッ」


急に顔押さえてフラついてる。


「あぁ…危なかった、初めて負けるかと思った……」


これ大丈夫だ。

軍服女神様は多分優しい人だ、女神様と私の可愛さにやられかけてる。


「紹介するにゃ。軍にゃんにゃ、優しくて強くて僕を助けてくれる親友にゃ。」


「少し恥ずかしいな…」


「事実だからにゃ。」


あっ、神様起きたな。


「…………」ぶんぶん


めっちゃ首振ってる起きたのを女神様達に気づかれたくないのかな?


「それで君は誰だい?」


「リース…にゃん。」


神様から少しでも気を逸らす為に両手を猫の手っぽくして頭に当てる。


「「…………」」


「グハァ!」


いやなんで神様が反応してんねん、女神様達も顔赤くはなってたけど声までは出してないやん耐えてよ。

軍服女神様の眼の色が変わったよ、健闘を祈る。


「やっと起きたかジジイ。」


「流石に悪かったとは思っとるぞ、だが儂は多くの神の期待に答える必要があったんじゃ。だから儂も誰も悪くない。」


めっちゃ早口じゃん。


「最後の言葉はそれで良いのか?」


「ごめんなさい!申し訳ありませんでした!」


よわぁ。

神様、初対面の時から今まで過ごしてきて分かってたけど威厳無さすぎるよ。


「はぁ、そもそも私は労働を罰として与えたじゃないですか逃げなければ1日で解放されたのに。」


「それは外での時間じゃろ?仕事室では1ヶ月じゃ、しかも儂の苦手な書類関係。」


「有罪判決が出たからしょうがない。」


「じゃから誘拐じゃなくて眷属なんじゃ。」


「そうなのかい?このジジイに脅されて酷いことされてないかな?安心して私が守るから正直に答えてね。」


神様が私を誘拐してると思われてるのか!

半分くらいは事実な気がする…


「ん…」


「だそうだ、有罪だな。」


「なんでじゃ!リースたんは肯定も否定もしてなかったじゃろ!」


「2人とも僕が説明するから聞いて!リース飽きて寝る準備してるから!」


私は神様がどんな罰受けるか興味あるけどエルフボディはどうでも良いみたいで魔力固めてベット作り始めてるからね、女神様の片手掴んでるし一緒に寝ようとしてるし…



〜英雄支援派〜


少し広めの会議室、此処には英雄を支援し守護者と名乗る存在を排除、利用しようと考える者達が集まっていた。


「災難でしたな大臣。」


「全くだ。周りの魔法使い共も儂を助けようともしなかった、誰がこの国を守ると思ってるんだか。」


「せめて英雄様がいれば変わったのだろうな。前回も相手の方が強いとわかっていたのに勇敢に挑んだのだから。」


「あぁ、そうだな。」


英雄がいれば良いと言った者に大臣が同意すると周りからその通りだ、と声が上がる。

各々が英雄を褒め称え守護者と名乗る者を犯罪者と罵る、此処に居る大多数は英雄の信者、一部の者は英雄を支援する事で自らの地位を高めようと考えていた。


(しかし、前回の戦闘の資料を見る限り守護者と名乗る者に英雄が勝てるとは思えない。この派閥が潰れても良いよう保険を掛けておきたいが…)


英雄支援派と守護者派。

今の所は英雄支援派の方が人数も多く殆どが政治家であり団結力も高いが襲撃のことを軽く考えている節がある。

対立派閥である守護者派、人数は少ないがかなりの権力を持つ者が多く現場を知る軍人や警察の関係者が多い。


(今動くのは得策ではないか…)


この男は身内が魔法使いになり戦わせたくない一心で英雄を支援しどうにか戦闘から逃がそうとしていた。


「皆さんお待たせしました。」


今回の会議の主役、英雄と呼ばれる青年山口優斗が会議室に入ってきた。


「おぉ、英雄殿!お待ちしておりました、今回はどのようなお言葉を?」


「…………」


夢の中で会った女神に言われた事を話す、英雄が参加する会議や話し合いでは最初に行われていた挨拶のような物である。

いつもと同じ流れだが英雄の様子が少しおかしい事に気づいた数人は少し警戒している。


「今日集まってもらったのはーー」


警戒していた数人は会議室を出ようとした。


「皆さんに僕の奴隷になってもらう為です。」


英雄がそう言った瞬間、会議室が魔力で満たされその魔力を浴びた者は例外無く膝をつき英雄へ頭を下げた。


「守護者は卑劣な犯罪者です、僕が殺します。」


「承知いたしました。我々は守護者派の者を抑えましょう。」


「えぇ頼みます。」


会議室から運良く逃げられた者が1人、守護者派の幹部がいる所へ走っていた。


「はやく、伝えなくては…このままでは、日本が!」



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