第52話 我々は罪人を捕まえるだけだ

〜エルフ〜


「…………」


おいこの空気どうすんだよ、カッコよく登場しようぜ!とか言ってたくせに滑ってるじゃん!


(おかしいな、どこに滑る要素があったんだ。俺の想定では『味方だったのか…尊敬!』みたいになるはずだったんだけど…)


それ本当?今私が視線向けると、


「……!」カタカタ


涙目に軽い震え、役満です。

どうみても怯えています、ごめんね女の人。


「しゅ、守護者殿、此処へ何をしにいらっしゃったのですか?」


(ヤベェ、誰も居ないから相談出来ないな。リース、アドリブでセリフ頼んで良い?)


ふざけんな、私も何しにきたのか知らないわ!

ちょっとだけ時間稼ぐからその間に考えて。


「魔法使い、見に来た…」


「そうなのですか、ですが貴方の方が強力な魔法を使えるのでは?」


「もちろん…」


「では何故?」


え、急に顔怖くなった!なんでそんなに怒ってるの…


(自慢だと思われたんじゃね?)


自慢じゃないよ〜、てか考えろや。


「答えないのでしたらせめてその仮面を外していただけませんか?貴方が敵か味方か我々の中でも意見が割れており貴方が何者かわからない限り、敵だと思う者は消えないでしょう。」


チャラ男神どうしよう、このおっちゃん強いよ!


(お前社会人だったんだろ!もっと頑張れよ。)


無理だよ!いつの話してるんだよ、もう自覚殆どないわ。


「…………」


「答えてもらえないのならーーー」


「待って貰おうか。」


「!」


救世主だぁ!

ありがとう名も知らぬおじさん、余計なお世話かもしれないけど痩せた方がいいよ。


「大臣、こちらへは何をしに?」


「いやいや、我が国の英雄と戦った者が来たと聞いて一眼見たくなってしまってね。するとどうだい何か揉めてるようじゃないか、私に出来ることはあるかな?」


「現在どのような対応をするか決めている途中です。大臣の手を借りるほどの事ではありません、後ほど資料をまとめて報告させていただきます。」


あれ?もしかしてこの2人仲悪い?

なんかお互いに牽制してるけど。


(面白い事になってきたな、これからやる事も思いついた。)


「その必要はないだろう。この者は我が国の英雄に怪我をさせた重罪人、即刻逮捕し事情聴取をするのだから。」


悲報、救世主まさかの裏切り。


(元から味方じゃなかったけどな。だが良い流れ俺が思いついた流れに自然に持っていける、勝手に喋るが気にするなよ。)


「はぁ…めんどくさい……」


あの言い合いに参加するのか、私さっきの数回の会話で心折れちゃいそうなんだよ?

エルフボディも泣きそうだったから気をつけてね…


「今何か言ったかね?」


「私を捕まえる、できるとでも?」


「もちろん。」


「ふふ、バカだ、愚かだ…救いようがない。」


チャラ男神これ大丈夫?!相手顔真っ赤だよ、めっちゃ怒ってるよ。


「な、なにを…」


「私が守るのを辞めたら1年持たないだろう。」


「はっ!何を言ってる、この国はそんなに脆くない。」


「勘違いしないでもらおう。人類が、だよ。」


それホント?

てかエルフボディ操られてるとはいえ今までにないぐらい喋ってるなぁ、成長したんだね。


「そんなふざけたことがあるわけ無いだろ。おい!こいつを捕まえろ!」


黒いスーツにサングラスの人が50人ぐらい入ってきた、ドラマみたいな光景。


(さーて準備終了、リースあとは蹂躙タイムだ。)


あの会話わざとかよ…


「敵対すると?」


「我々は罪人を捕まえるだけだ。」


(久々の無双ゲー腕がなるなぁ!)


はぁ、早くお家に帰りたい…



白仁朱音しらにあかね


あぁ、私は此処で死ぬのかもしれません。

あの女の子から凄い力を感じます、上手く言い表せないんですけど感覚でどんな力かはわかりませんが…


「ウチら帰っちゃいけないのっぽい空気になっちゃったな。」


「そうですね。」


強大な力を持つ相手に喧嘩売ってる国の偉い人、大臣がいます…

いや全員死にたいのかな?

私は死にたくないです、家に帰ってリースちゃんに抱きついてもらうんです!


「敵対すると?」


私以外に気づいてる人いないのかー、気づいてる人いるなら一緒に協力して逃げましょう。


「我々は罪人を捕まえるだけだ。」


そのセリフかっこよく無いです、国とか守護者とかどうでもいいんで早く謝ってください。


「朱音少し離れておこー。」


「その方が良さそうですよね。」


ーーーーー


「はぁ…こんなんでよく敵対を選んだね。」


無双ゲームで見たことある光景でした。

身体鍛えてたであろう大人達が30秒ぐらいで皆んな倒れてます、気絶してるだけだよね?大丈夫だよね?


「次の襲撃、貴方達だけで頑張って。」


「待ってくれ、いや待ってください!」


勇気あるな、あの人は大臣を止めようとしてたけど止められなかった色々と権力関係であるんだろうな。


「なに…」


「申し訳ありませんでした。」


土下座だ、ちゃんとしたのは初めて見た。


「どうか、我々に協力して頂けないでしょうか!」


「…………」


「行ってきた数々の非礼、私如きの謝罪で許してもらえるとは思っていません。ですが貴方の言うように我々だけでは対処できないのです!」


「…………」


どれだけ無言の時間が続いたでしょうか、私を含めて誰も声を出せないし動けませんでした。


「わかった、協力しよう。」


「ありがとうございます!」


「ただし条件がーーー」


倒れてた人が1人立ち上がった、手に持ってるの拳銃?


「この化け物!!」


「!」


拳銃があの女の子に当たるとは思わないけどなぁ


バン!


あれ…待って、銃こっち向いてるよね、此処までは届かないよね?


「伏せろ!!」


あ……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る