第46話 荒てるわねぇ 誰だ!

〜エルフ〜


カラオケから帰宅し夜ご飯食べてます。

帰って来た時は動揺して琴音さんの背中に向かってダッシュして抱きつきました、急だったから2人して倒れて注意された。

でも仕方ないと思う、何故かエルフボディの歌声が流れてたんだもん…


「リースちゃんお歌上手だね、今度私にも生で聞かせて〜!」


「いいよ……」


エルフボディの生歌が録画されて拡散されている。

ネットには上がってないとは思うけどそこそこ広がってるみたいで友美さんの妹さんからも実際に会った時歌を聞かせて欲しいです!って感想伝えられた。


……ネットには上がらないよね?


怖いなぁ、ネットに上がったらエルフボディ誰だ?!って特定始まりそうだし白仁家の皆んなに迷惑かけちゃう事になるからなぁ。


「友美さん……」


「どうしました?」


「ネット、怖いよね…?」


「ん?そうですね。」


伝わってないよ〜。


「リース、多分だがもう遅いぞ。」


ママさん、それはもしかしてだけど…

動画が不特定多数に拡散されてーーー


「流石に映像付きではなくて声だけだけどね、1曲分だが話題になってるよ。」


「誰が上げたんでしょうか…」


「学生ですし大事にならないと思ってあげたんじゃないでしょうか、声だけなのが救いですね。」


いや本人の許可無く勝手に上げちゃダメだろ。


「ほんとだ、すごい話題になってるよ!」


「コメントで『初めて聞くけど声綺麗!』とか『どこかのアイドル?』とか沢山ついてますね、特に歌に関するコメントが多いです。」


「どれどれ、『不思議と懐かしさを感じました。』『何語ですか?』『曲名教えて欲しいです』まだまだ増え続けてるよ。」


顔が出てないならいいのかなぁ…?

問題起きたら……

ま、なんとかなるよね。


「クラスメイトには注意しておきます。」


「それが良いでしょうね、リース様の顔付きで動画出回ったらアイドル事務所からの勧誘が凄い事になって面倒臭そうですし。」


エルフボディがアイドルか、緊張しすぎで大勢の前で踊るとか喋るとか出来ないよな。


「これ以上に噂が大きくなるようなら削除依頼出しますが完全には消えないでしょうね。」


「一回出しちゃったら消えないからね〜。」


今日は歌って疲れたのかな、眠気が強い…


「ふぁ〜。」


「あれ、眠い?」


「……」コクコク


「学校で疲れてしまったんでしょう、明日は朝からですし早めに寝ましょう。」



〜カマー〜


「クソ!何だあいつは、俺の魔法の効果消しやがって!」


荒てるわねぇ、昼間の爽やかな好青年のイメージぶっ壊れたわぁ。


「折角、俺の世界だったのに訳わからねぇ奴等出てきて邪魔しやがって…」


俺の世界?

報告書にあった女神は世界を新しく作る程の力持った神なのかしら?だとしてもわからない事が多いわね。

あの青年の話では事件の黒幕は女神の半身らしいのだけど、黒幕って私達なのよねぇ…

この世界が元々私達が襲う予定だった世界ではなくて誘導されたのだったら黒幕がいる可能性はある、門が上手く機能しない理由付けにもなるかしらね。


「があぁぁ!」


ガシャーン


あぁ忘れてたわ、それにしても私の想像以上に仲間には引き入れたくないタイプよねぇ…

大人しく洗脳用の道具送って貰えば良かったわ、協力関係になって利用した後は洗脳すればいいわね。


「そこのお兄さん、少しいいかしら?」


「誰だ!!」


「そんなに殺気を向けないで、お話しましょう?」


「まずは姿を現せ、出なきゃ信用できない!」


知性のかけらもないと思っていたのだけど意外と頭は良いのかしら?

いや、ただのビビりね。


「ごめんなさい、取り敢えず私の話聞いてくれないかしら?私少し難しい事情があって姿見せれないのだけど少しでも英雄様に協力したいのよ……」


「話してみろ。」


私は前世の記憶を持つ付与術師であり、この世界で魔法が使えるようになってから怪物達が攻めて来ているから少しでも協力したい。

戦闘に自信が無いから政府に無理矢理戦わされると思い逃亡生活を送っていたが英雄様を偶然見かけたので支援したいと話した。


「なるほど、姿を隠したくなるのもわかるな…」


私の考えたカバーストーリー、多少粗いけど矛盾は無いはずだわ。


「なら早速だが魔力量と魔力制御を上げるアクセサリーを作って欲しい。」


言葉に余裕が出て来たように感じるわね、内心では見下してそうだけど利用できると考えたのかしらね?


「わかったわ、でも今はアクセサリーを持っていないから今すぐにとは行かないわ、ごめんなさい」


「そうか、じゃあ明日ここで待ち合わせでどうだ?」


「明日ね、時間の指定はあるかしら?」


「今くらいの時間で待ち合わせだ。」


こいつ能力を付与するのがどれだけ大変か知らないのかしらね。

個人の魔力量によるけど最高峰の道具だと2つが限界よ、鍛治職を筆頭にサポート職を見下す人は居たけど実際にやられるとかなり不快。


「それじゃ、遅れるなよ? ハハハ!これでクラスメイト達もチヤホヤされてる転校生も俺の物だ。」


びっくりするくらいのクズね、協力にしたの失敗だったわ……


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