第44話 穴は開くかも… ほんとに?

白仁朱音しらにあかね


「大丈夫?真顔になってるけど…」


「大丈夫です。」


いやダメです。

なんでなの?なんで皆んな私に魔法見せてってお願いするのぉ、詠唱なしでできる透明ボール(仮)で我慢してもらってるけど…

私じゃなくても他にもいるじゃん、英雄とか英雄とか。


「委員長〜この透明なボール形って変えられたりしないの?」


「やった事ないのでわかりませんが多分できると思いますよ。」


「三角にしてみてー」


「なんで三角なのかわかりませんがダメです、もし爆発したらどうするんですか…」


爆発はしなかったけど壁に穴開いたから危険なボールなんだよねぇ。


「え!これ爆発するの?!」


「爆発はしないから安心してください。」


「だよね!いやぁびっくりしたよ…」


「穴は開くかも…」


「それ、ほんと?」


後1時間かぁ、早く帰りたいです。


「だ、大丈夫だよね?私の手に穴開かないよね?」


リースちゃんもそろそろ学校に着いた頃か、馴染めてるといいなぁ。


「ねぇ〜、無視しないで?」


「え、なんですか?」


「私の手に穴開かないよね?」


「投げなければ大丈夫ですよ、多分ですが…」


「多分!?」


ガラガラ


「はい、注目!こんな時期ですが転校生がいます。」


担任の先生だ、あれいつもと雰囲気が違う?

いつもは疲れ切った感じなのに今日は少しだけ楽しそうに見える。


「この時期に転校生なんて珍しいね。」


「転校生が来ることの方が珍しいと思いますが…」


「やっぱり魔法関係かな、魔法使える子だったりとか。委員長何か知らない?」


「残念ですがわかりませんね。」


なぜ私に聞くのか、このクラスには魔法使える人他にも多いじゃん!


「一般的に見て可愛い方だ。」


「「「うおぉぉぉ!」」」


アニメとか漫画でよくある展開だぁ、本当にあの質問する奴居るんだな。


「男って単純だね…」


「貴方だってイケメンが転校して来たら叫ぶんじゃない?」


「当たり前。」


「入って来てください。」


ガラガラ


「し、しつれいします…」


あれ、聞き覚えがある声…


「え!リースちゃん!」


転校生はまさかのリースちゃん!


「あかにぇ…」


お互いに名前呼び合ったせいか私にも注目が集まってるけどそんな事どうでもいい!

女の私でも色々と危ないのに高校生の男女がたくさん居る所に来るなんてリースちゃんが危ない!


「転入生のリース・レイエルさんです。」


「い、いぇーい…」


ーーーーー


今日の5時間目はリースちゃんの為か自習という名のお昼休みの延長。


「好きな動物いる?私はネコ。」


「サバ……」


「サバ?!?!珍しいね!」


私の膝の上に座りながらクラスメイトの質問に答えてます。

それにしてもリースちゃんもっと緊張しちゃうかと思ってましたが普通に話せてます、私と初めて会った時以上に…


「リースちゃんの生まれ故郷はどこ〜?」


「にほん……」


「へー、両親が外国なのかな?何処の国?」


「んー……」


リースちゃんに話しかけるのは女子が多いです。

男子達は話しかけたいオーラは出してるけど女子達の圧によって近づいて来ません、リースちゃんの安全は女子達によって守られそうで良かった。


「久しぶりだね!覚えてる?」


「うん…」


リースちゃん浅井さんと会った事あったかな?私が忘れてるだけか。


「元気そうだねぇ、でも私と歳が同じだとは思わなかったよ〜」


「そっか…」


「小学生だと思ってたよ。」


「え…」


小学生って言われてショック受けてますね。


「私、おとな……」


「そうだねぇ〜。」


周りの人達リースちゃんの可愛さにやられてますね。


「演技じゃなくて素の反応だよね。」


「あれは天然ね間違いない。」


「お持ち帰りして撫でまわしたい…」


「委員長と一緒に住んでるって言ってたよね?」


「あんなに可愛い子が一緒に暮らしてるのか、いいなぁ。」


お持ち帰りしたいって言った人リースちゃんは学校では私と一緒に過ごすので深い仲になるのは諦めてください。


「……んぅ?」


「リースちゃんどうしました?」


「きのせい……」


急に窓から外眺め出した何かあったのかな?

まぁ気のせいって言ってたし大丈夫か…



〜カマー〜


強力な魔法を使ったエルフの娘が見つからないから英雄の男の子に接触しようと考えていたのだけれど、


「なぁにあの娘、私の隠密に気づいたのかしら?」


銀髪の小さな可愛い子ちゃん、最初見た時はエルフ娘に見えたのだけど耳が人だったわぁ。


「んー。偶然、かしら?」


窓から此方を向いているけれど私が見えてる訳では無さそうだわ、きっと何かを感じたとしても視線を感じやすいだけね。


それにしてもあの英雄、負の感情溢れすぎじゃない?私にとっては好都合だけど間違いなく英雄の器ではないわ、この世界の住人ご愁傷様。


『報告の時間だ。』


全く急に声聞こえるのびっくりするからやめて欲しいわね。


『英雄を見にいくと言っていたがどうだ?』


「お話にならないわ。私でも余裕で倒せそうだしエルフ娘を誘き出す餌にするぐらいかしら。」


『そうか、では洗脳系の道具を送ろう。』


洗脳ねぇ、そんな物より力与えて好き勝手やらせれば良いんじゃないかしら。


「それは少し待ってぇ、私に案があるの。」


『了解した、では後の事は任せる。』


「は〜い。」


『最後に報告がある、増援の件だが王達の推薦によりエルフ2人と我が国の騎士4名に決まった。好きに使え。』


「わかったわ〜。」


6人か勝手な事せず言う事聞いてくれる奴等ならいいのだけれど、エルフの増援は保護担当かしらどちらにせよこれから更に忙しくなるわね。


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