第37話 今度は話を… なるほどねぇん
〜
異界門から怪物達が溢れ出てきたあの日からしばらく経った、私は『異界門対策課』って所に参加している、最初は断ってたんだが異常が発生した異界門を近くで研究する事を許可するとの事だったから参加したんだが…
「では英雄様が敵だと言っていた存在が守護者だったと?」
「この報告書を見る限りではその可能性が高いでしょう、我々が攻撃したからやり返したと言われたそうですし」
「だが実際に怪我人が出ているではないか」
「死者は出ていません」
無駄な会議にずっと出席させられていた……
「その議題については次に守護者が現れた時に詳しく話を聞くという事に決まったはずです、次の議題に行きましょう」
「しかし…いいえ、わかりました」
この場に居るのは防衛に参加している組織の長と私の様な研究者それと政府関係の人、会議は総理大臣を中心に進行していく
「次の議題は異界門奪還についてだ」
「「「!!!」」」
異界門の奪還
国、世界を長い間支えてきた魔石を再び採取できるようにするのが目的だそうだ
私の研究が正しければ奪還では無く侵略と言った方が正しいかもしれないが
「私は反対です、今は防衛で手一杯であり奪還に隊員を割く余裕などありません」
「ですが魔石の貯蓄は現状のままですと2年程しか持たないのです、一刻も早く再び採取できるようにしなくては」
「敵の数は増え怪我人も増え不安を感じる者も増え続けています、次の侵略ですら防衛をできるかも怪しいのです!」
「しかし英雄様が言うにはーー」
「申し訳ないが今日の件で我々は英雄を信用できない」
この会話も聞き飽きた
防衛隊側は英雄に懐疑的で政府側は英雄を持ち上げる、今日の早朝にあった襲撃で英雄が黒幕と言って攻撃した存在に負けて気絶した事に加え相手が守護者である可能性があったから今回の言い合いは激しい
ちなみに研究者達は守護者と会話したい奴しかいない
「静粛に今は醜い言い争いをしてる場ではございませんよ?、話を続けます、お手元の資料をご覧ください」
新しい種類の怪物の写真と守護者だと思われる少女の写真が載っている資料だった
「今回の襲撃ではこの少女が行使したと思われる魔法により解決したが新たな怪物、ここでは『
「総理!英雄殿であれば倒すことも可能かと」
「意見は後ほど聞く、防衛に参加した者に問う自衛隊のみで影人の対処は可能だと思うか?」
「不可能でしょう、前に守護者が隊員にかけてくれた魔法の効果があればなんとかなるかもしれませんが…」
「そうか、研究者側は何かあるだろうか?」
うわ、こっち来た
はぁ何も決まらない会議に参加するぐらいなら魔法や怪物の研究したい…
あらかじめ皆でまとめていた意見出して終わらせるべきだな
「総理、私が代表し研究者チームの案を話させていただきます」
「門教授その案とは?」
「はい、正直に言って我々だけではこれから先の対処は無理でしょう海外のデータを見ても日本での怪物の出現量が1番多くさらに増え続けている現状です、英雄と呼ばれている青年が協力してるとしても難しいでしょう」
「チッ」
誰かが舌打ちしたな
研究者が会議に口出すのが気に入らないならまともな解決策出せって話だ
「私を含む研究者達が怪物や魔法の研究をしていますが結果を出すまでに時間がかかるでしょう、我々が生き残るには守護者の助けが必須だと考えます」
「ふむ…ではどのように助けを求める?報告書を見る限り対話はできるそうだがどこに居るかはわからんぞ」
「それについては資料37ページに纏めてありますのでご覧下さい」
その後の会議は守護者を発見した時には穏便に対話を求め協力を要請する事が決まった、途中資料が1つ足りないというアクシデントが起きたが円滑に会議は進んでいった
〜エルフ〜
「リースちゃーんそろそろ起きてー?」
「や、ぁぁ……」
いやぁぁぁぁ!眠ぃぃぃぃ!!
そうだ、今日この身体は早朝から起きてた事になるからとても眠いの!
エルフボディに引っ張られて眠くて起きたくないぃぃー!
「どうしましょう…」
「今日は学校休みなんだろ?もう少し寝かしてやればいいんじゃないか?」
「ソファで寝てたから眠り浅かったのかな?朱音ちゃんベットに一緒に連れていこ?」
「姉さんそれ絶対一緒に寝ようとしてますよね?」
「写真撮ってもいいですか?」
なんでもいいから眠らせてぇ
朱音さんあったかい、ぎゅってしててぇ
「リースちゃんいつもより抱きつく力強そう」
「そういえば朝怖い夢見たっぽいのそのせいかもしれないですね」
「そうだったんだ…今日の夜は怖くないように2人で抱きしめて寝てあげよう!」
「そうですね!」
ーーーーー
とあるカフェの一席
女物の派手めな服を着てコーヒーを飲みながら何かしらの資料を読む男がいた
(この娘エルフねぇ、事前情報では人間しかいない筈だったのだけど…)
他の客から多くの視線を向けられているがそんな事は気にしない
(みんな英雄様英雄様って五月蝿いからそいつがあの魔法の術者だと思ってたのだけれど盗んだ資料を見る限りは違うわね)
コーヒーを一気に飲み干し会計をして外に出る
(この国と私どっちが先に見つけられるかの勝負ね、久しぶりに燃えてきちゃったわ)
フフフ、と不気味に笑いながら人混みへと消えていった
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