第23話 風紀乱れ男子、拘束される 3
「待田さん……こ、これは何の真似かな?」
部屋の奥で座る待田さんを気にしながら、他の女子たちが一斉に俺の間近で立っている。
「ゆかり……って言ったよね? それとも言ってくれないのかな?」
「ええ?」
「じゃあ
待田さんはそう言うと、指をパチンと鳴らした。
その直後、すぐそばに立っていた女子たちが素早く動きだす。
まるで取り調べを受けるかのようにして、頭以外の両腕、両足、胴囲に至るまで押さえつけ始めた。
「な――何を?」
「身体検査……かな? やっぱり好きな男の子のことは隅々まで調べないとね! 本当は全部脱がして調べたいけど、ここって一応風紀委員の部屋だからそれはさすがにね」
う、嘘だろ?
運動部女子で真面目な待田さんがまさかのサディスティック女子とか。
しかも風紀委員長という立場を利用して、女子たちにこんなことをさせるなんて。
「や、やめようよ? ゆかりさんはそんな子じゃないはずだよね? 俺だって男だからやめるなら今のうち……」
正直言って亜南にすら力で勝てない俺。
そんな俺が運動部所属の女子に勝てるはずも無いけど、とりあえずハッタリくらいは仕掛けておかないと。
「ふーん? いいよ? 男子の力でそこにいる女子たちをやっちゃっても」
「ええ!? で、でもそれはさすがに」
「そうじゃないと皇君……ううん、
何とも穏やかじゃないことを言ってくるもんだ。
風紀委員長でありながら裏ではそんなことを実行するなんて、亜南以上に危ない女子なのか。
それにしても腕は掴まれて動かせないし、足もがっちりと固定されてどうにもこうにもらちが明かない。
「ぐ、具体的に何をするつもりがあるのかな?」
「うん。陽斗君が私を自宅に連れ込んでやりたかったこと以上のことをしてあげる……かな。したいんだよね?」
それは五分五分な気持ちがあった。
とはいえ、待田さんとはそういう関係になることを望んでいたでも無く、どちらかと言えば健全で平和で仲良く付き合っていけたらなんてことを思っていた。
それが何で彼女の方が危険な感じになっているのか。それも親衛隊らしき女子を使ってまで。
「で、出来れば健全に」
「ん-、さすがに自宅に連れて来させといてそれはなくない?」
「……いや」
「だからさ、ガチでいこうよ? 私もガチで最後までやりたいんだ。付き合うつもりがあったみたいだし、もういいじゃん? ね、そうしよ?」
何という危機的状況。
そして何でこういうときに限って、邪魔しにくる奴が現れてくれないのか。
こういう時に現れてくれたら少しはあいつのことを……。
「それじゃあ、私自ら陽斗君を調べちゃおうかな」
「ひっ」
おおい、マジか。
くそ、亜南の奴。早く姿を見せてくれよ、真面目に。
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