第10話 強敵 2
『Gyauuuu』
ドラゴンは爪を使って攻撃してきた。
「おっと。」
その攻撃は高威力だが見切りやすくレベルが上った今の俺なら躱せないほどではなかった。・・・と言っても紙一重だが。そして序盤で飛ばしてきた水のブレスは溜めが必要なのかなかなか飛ばしては来なかった。
ブンッ。ドゴッ。
チッ。攻撃を受けない代わりにこっちも攻激できない。ここは草原だから身を隠すところもないし、向こうの攻撃の威力がすごいからこっちは無駄に動かなければいけない。分が悪すぎる。
「一か八かだ!天水流 四の技 天地人走り」
俺は一気に接近することにした。
『Gyau!』
ドラゴンは驚いたのか声を上げてから爪を使って更にスピードを上げて攻撃してきた。
「クッ。重いッ。」
天地人走りで回避しながら逸らせつつ、俺はこいつの腹の下に移動していった。 こいつの急所は額の宝玉だが、別に絶対にそこだけを攻撃しないといけないというわけではない。腹の下にたどり着いた俺は真上に向かって技を出した。
「天水流 三の技 上昇気流:突」
バキッ。ついに耐えきれなかったか。
『Cyauuuuuuuuuuuuuuu』
流石にドラゴンも腹への突然の攻撃に驚いたようだ。
「今のうちに。」俺はドラゴンの後ろに回った。俺がドラゴンの後ろに回ったのは2つ理由がある。1つはドラゴンの後ろに回ることでドラゴンからの攻撃の回数を減らし、こっちができるだけダメージを与えるためだ。2つ目は新しく使えるようになった魔法を使うためだ。幸いなことにドラゴンはまだ俺を見失っているようだ。魔法の使い方は選択したときに頭の中に流れ込んできた。無詠唱、つまり詠唱をしなくても発動できるらしいが、はじめは詠唱があったほうがいいらしい。なんでもイメージが大事らしい。
【風よ貫け。風の矢よ俺の願いに応じッ】
グハッ。
どうやらドラゴンの尻尾が俺に当たったらしい。そして透明な壁らしいものにあたった。
「痛っー。何だこれ?」
どうやらドラゴンの周りにサラスが張ってくれたものに似ているものが張ってある。こいつ、こんな能力を使うのか。...ゾクッ。考えてみればドラゴンが静かすぎる。ゆっくりと俺は振り返った。ドラゴンがじーっとこちらを見ていた。
『Gyaaau』
やばい。あいつはもう十分にタメをつけた。来る。
『Gyuuuuuuuuuuu』
あの時よりもかなり広範囲のブレスだ。防ぎきれるか?
【水よ。われを守る盾となれ。ウォーターシールド!】
ドカン!!!!!
クッ。うううううう。押されている。初めて魔法を使ったなら上出来だろうがもう無理そうだ。ごめん月夜。帰ることは無理みたいだ。
昔の思い出が脳内をフラッシュバックする。走馬灯というやつだろうか。
これは俺が昔、父と稽古していたときに月夜が観戦して俺に言ったことだ。
[あんたってお父さんの攻撃を受けるとき真正面からいつも受けてそして下から滑り込まれて上に飛ばされるわよね。]
ハッ!
そうだこのシールドを斜め下に向けたら、俺は宙に飛ばされるんじゃないだろうか。どうせこのままじゃ死ぬんだ。きっと月夜が助けてくれる。いくぞ。
「はぁあああ!」
ズズズズズズズズ。
痛い。シールドと透明な壁に挟まれながら上がっているので背中がとても痛い。でもあとちょっと。
パアン。
よし。想像どおりだ。俺の体は宙にあり、ドラゴンもブレスを打ち終わったばかりなので爪以外の攻撃がない。爪で攻撃してくるが、受けそうな攻撃だけウォーターシールドで逸らしている。そして俺はドラゴンの首筋に着いた。
『Gyaaaau.Gyuuuu.』
「ここならお前の攻撃も届かないだろう。ドラゴン野郎。」
『Gyau.gaooooooooooooooooo.』
俺は空間倉庫からサラスが作ってくれた最後の武器。木槍を取り出した。そしてドラゴンの額に移動した。ドラゴンはさっきから爪を使って攻撃しようとしているが、宝玉に届きそうでやめようとしては躊躇している。こいつといい、さっきのワイバーンといい目の色がおかしい。それともこれがこの世界の竜種なのか?まあそんなことはどうでもいい。
「これで終わりだ。」
槍で使える技は限られているがこれなら。俺は宝玉に槍を技とともに突き立てた。
「天水流 10の技 虹彩:極 突」
槍が突き刺さったところから紫と蒼の光が漏れ出してきた。その瞬間、ドラゴンは柔らかい声とともに倒れていった。
『経験値が入ります。対象ウォータードラゴン。経験知、100000+20000。称号の影響により、5倍されます。経験知600000。』
水沢虹輝:人間
レベル18
力 316
魔力 573
魔力量 621
速度 142
耐久値 198
スキル:任意スキル
鑑定スキルLv10、空間魔法Lv10、付与スキルLv10、地図魔法Lv10、鍛治スキルLv10、風魔法Lv2、水魔法Lv2、毒魔法Lv1
パッシブスキル
不死、自殺無効、体温調節
次のレベルまでの経験値360000
・・・・・倒した?俺が?ドラゴンを?
「ふうーーーーーーーーー。」
疲れた。ようやくこの世界から開放される。まだ始まりだが。ん、なんか結界らしいものが張ってあった範囲に白い光が満ちてきた。
「おいおい、これ逃げたほうがいいのか?」
しかしまだ結界が張られたままなのか、逃げることができない。どうなるんだ俺。そして俺は光の中に飲み込まれていった。
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