第6話 地球では 1
ピーンポーン。ピーンポーン。…………………ドンドンドンドンドンドン。・・・・・・・・・・・・ピーンポーン。
「オーイ。虹輝〜ドア壊される前に開けろ〜。私よ私、あんたの幼馴染の灯鬼月夜ほおづきつきよよ。あんたが3日も高校休むから私が様子を見に来たのよ〜。」
私、灯鬼月夜。虹輝と同じ高校1年生。虹輝とは家が隣同士で幼稚園、小学校、中学校、高校と同じ学校で同じクラス。この灯鬼っていう名字のせいでからかわれたときに助けてくれたのが虹輝ってわけ。
”ガチャ”
あっ、開いた。「虹輝、何してた‥の‥‥。」
「やあ、月夜ちゃん。できれば家のドアは壊さないでほしいな。」
ヤバい。「あら、お義父様。なんのことですか?私が光輝君の家のドアを破壊できるわけがないでしょう。」
私はおとなしめにとびっきり上品に話しかけた。
「相変わらずだね、月夜ちゃん。僕は君のお義父さんではないんだけどね。あと、君が学校の体力測定で握力計を握り壊したと虹輝から聞いてるよ。」
苦笑いしながらそう話しているのは虹輝の父親の水沢英二さんだ。私がこの人に上品に話しかけているのは”将を射んと欲すれば先ず馬を射よ”ということわざに習ってのことだ。ところで不思議なことがある。
「あの、お義父様。なぜ旅行カバンなんて持っているのですか。あと虹輝は?」
そう、何故か大荷物。何故か道場の看板も下ろしてある。「どんなに人が来なくても必ず看板だけは置いてたのに。」
「あのね、月夜ちゃん。心の声がだだ漏れだからね。一時は大盛況だったんだから。…ほんの20年ほど前。」
「そういうのを過去の栄光というのです。ところでそのカバンと虹輝は?」
「……バッサリと切るね。挨拶は今朝方全ての家に行ったんだけど、君は寝てたか。」
「いえ、部活に行ってたんです。…挨拶?」
「ああ。実は僕達は別の国に行くつもりでね。もう会うことはできないんだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ベツ・・の国・・・。もう‥‥会えない…。えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ。嘘でしょ。お義父様。ハッ、これは夢ね。お義父様、私の頬を叩いてください。」
「いや、できるわけないだろう。月夜ちゃん。それに夢じゃ「そうですね。虹輝のお父さんが義娘にそんなことできませんよね。では、ドアを少し拝借。」」
ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!
「ちょ、月夜ちゃん。頭から血が!」
「痛い!けど痛いなら夢から覚めたはず。お義父様。別の国は夢ですね。」
「いや残念なことに、夢ではないんだよ。」
「…………まだぶつけたりないんですね。」
ガン!ガン!ガン!ガン!
「月夜ちゃん!落ち着いて!家の中に入って!」
〜数十分後〜
コトリ。卓袱台にお茶が置かれた。そう。この家の机は今となっては懐かしいとされる卓袱台なのだ。よくここで光輝と宿題したな〜。虹輝に数学を教えてもらったな〜。
「落ち着いた?」
「はい。………」
「月夜ちゃん?」
「なんて言えるわけ無いでしょう!なんで。なんで突然。なんでもう虹輝と会えないの。こんなことなら、告白しておきゃよかった〜。」
「え、まだしてなかったの。あんなに周りにはバレバレだったのに。」
「え、知ってたんですか?というかバレバレ?」
そんなわけない。私の虹輝への気持ちはトップシークレット。親友の好香でも知らないんだから。
「うん、思いっきり本人以外に知られてたよ。」
またまた~。そんなわけないですよ〜。
「だって僕、君の親友の好香ちゃんから君たちが付き合ったら祝福しかしないように言われてたし。」
は?
「それに、ご近所さんからもいい加減にくっつけたらと言われてるし。」
え〜〜〜〜〜。嘘でしょ!
「すいません。少し電話を使わせてください。」
トゥルルルルル。トゥルルルルル。ガチャ。
「もしもし好香。」
「ん~~私だよー好香だよー。どうかしたー?」
「私が虹輝が好きだって知ってたって本当。」
「うん。ほんとーだよー。私どころか虹輝君以外のこの街の人全員が知ってたよー。」
ガビーン。ポワポワポワ。
「月夜〜!魂抜けてる音するぞー!」
「ハッ!好香。ありがと。切るね!」
「え〜。もうちょい話して」
ブチッ!
…………………スタスタスタスタ。ガタン。スラ。
「お義父様。この包丁で、介錯を。」
「月夜ちゃん。落ち着いて。って自分で死のうとしちゃ駄目ー!誰かー助けてー!誰かー!」
バタバタバタバタ。ブン!バタ!
「フー、スマナイな英二さん。こいつは連れて行くよ。」
「あ、あぁ。助かったよ吸鬼さん。」
「いいってことよ。じゃあいい旅たちを祈る。」
「あぁ。さよならだ。」
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