第3話 朝からイチャイチャ
チュッ、チュッ、チュッ、チュッ……。
翌朝、俺は生暖かい感触で目を覚ました。
視線の先には、成実の可愛いお顔が目の前にあり、間近でこちらをじぃーっと見つめている。
「おはよう」
「おはよう成実」
お互いにおはようの挨拶を交わしてから、軽く一度キスを交わす。
キスを交わし終えると、またもや見つめ合い、にっこりと微笑み合う。
「はぁ……幸せ」
そう言って、成実はぎゅっと俺の背中に腕を回して抱き着いてくる。
「俺も幸せだよ」
「えへへっ……大好き」
朝から甘えん坊の成実を、優しく抱きとめて、彼女が朝から一緒にイチャイチャ出来るというありがたみを噛み締める。
「あぁーもう一生このまま君とくっ付いてたいよぉー」
「そしたら、遅刻しちゃうよ」
「もーう。現実的なこと言わないで」
「だって、そうじゃなきゃちゃらんぽらんになっちゃうよ?」
「ん? 仕事が無くなったらお金がなくなっちゃうって? そんなの必要ないもん。こうやってずぅーっとイチャついてれば、無料で永遠にイチャイチャ出来るもん」
それほどに、俺とのハグを大切に思ってくれていることに感動を覚えつつも、そろそろ本格的に起床しないと会社に遅刻してしまう。
「ほらほら、バカなこと言ってないで、起きた起きた」
「いーやーだー。君と朝のまったりとした時間を過ごしていたいの」
「ご飯はどうするの?」
「朝ごはん? そんなのいらないよ。君の成分をこうして吸い込むことが、私にとって一番の栄養補給なんだから」
「仕事中にぶっ倒れても知らないぞ?」
「もし仕事中に燃料が尽きちゃったら、君を呼び出してまたこうして抱きつけば元気でるもん」
完全に甘えん坊モードに突入してしまった成実。
こりゃ、今日も朝食抜きで仕事へ向かうことになりそうだ。
「仕方ないなぁ。もうちょっとだけだぞ」
「うん、もう少しだけ、君とこうしていさせて。スンスンスン。はぁっ、最高」
成実はぴったりとくっ付いたまま、スンスンと俺の匂いを嗅いで、幸せそうな声を上げる。
代わりに俺も、成実をぎゅっと抱き締めて、彼女のぬくもりを堪能することにした。
「えへへっ、君のハグ強くなった。全身包み込まれてる感じがして、凄く安心する」
至福のため息を吐生きながら、成実は、スリスリと俺の胸元で頬ずりをする。
その姿と言ったら、なんと愛おしいことやら。
「はぁ……もういっそのこと。今日は二人でまったりしてお仕事サボっちゃおっか?」
「ダーメ」
「いーじゃん。君だって、こうしてまったりイチャイチャしてた方が幸せでしょ?」
「そりゃそうだけど……本当にダメ人間になっちゃうよ」
「ふふっ、なら私が、君のことをダメ人間にしちゃおっかなぁー」
「それは本当にダメ」
「ちぇーっ」
成実はぷくりと拗ねたように唇を尖らせる。
時刻を見れば、そろそろ本格的に支度を始めないと間に合わない時間帯になってきた。
「ほら、そろそろ準備しないと、本当に遅刻しちゃうよ」
「本当は、もっと君とこうしてたいのになぁ……。幸せな時間ってあっという間だね」
「そうだね」
「ねぇねぇ」
「ん、何?」
「今日仕事から帰ってきたら、また沢山イチャイチャしてくれる?」
「……まあ、夜ならいいぞ」
昨日は夜更かししないでちゃんと寝たので、今日ぐらいはイチャイチャ夜更かししても問題はないだろう。
「本当に? やった。ちゃんと約束だからね? 私の為にささっと仕事終わらせて、定時で帰ってくるんだよ?」
「分かったよ。そうできるように頑張る」
「約束だからね?」
「うん、約束ね」
「じゃあ、んっ……約束のキス、して?」
成実は目を瞑って、唇を差し出してくる。
そのいわゆるキスをおねだりする顔、通称キス顔が胸がきゅんと締め付けられるほどに可愛らしくて、俺は自身の唇を彼女の唇へ思い切り重ねてしまう。
「んんっ……⁉ チュッ……チュッ……チュッ……ぷはぁっ……もう、朝からがっつきすぎだって」
「わ、悪い、約束だからな、しっかりと刻み込んでおいた」
「えへへっ、これでもう約束破れないもんね。夜また楽しみにしてるよ?」
そう言う成実の言葉は、完備の誘惑にしか聞こえなくて……。
俺はコクリと頷くことしか出来ないのであった。
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