第64話 雑談

 三時まであと三十分もある。

「どうしようかなぁ…」

「はい、新しい資料です。王都から届きましたよ」

 僕が開発した、紙無限製造機は、国内にどんどん回り、他の領主から届く手紙も、全部紙になった。

「ありがとう。でも、珍しいね、王都からなんて」

「そうですね。お分かりの通り、王様からですよ」

 

「な、何て書いてあるの?」

「王都の郊外に、街を作ってほしいだとか…」

 王都が街なんだから十分だろ!

「郊外って言うと…?」

 今発展していないのは、富士山無いけど、富士五湖、忍野八海、鳴沢氷穴周辺。

 後から知ったのだが、青木ヶ原樹海もあるらしい。


「王様的には、本栖湖の周辺を開発してほしい、っぽいです」

 おー、じゃ、青木ヶ原樹海も開拓せねばなぁ。

「いつ頃行けばいいのかな?」

「早くって書いてありますね」

 適当だなぁ、おい。

「早くって…。ジャスパー子爵閣下の対応が終わったら向かえばいいのかな?」

「そうですね!あ、私は紅茶を入れてきますよ。どの茶葉にしましょう?」


「うーん、キャンディの一番いいやつ…あ、あれ。西オレリア帝国のマーリック農家さんのやつ」

 キャンディは、ピーノにとって特別な紅茶らしく、僕は小さいときからずっと飲んでいるんだよね。

 マーリック農家さんは、西オレリア帝国の弱小農家さんでありながら、西オレリア帝国一の紅茶農家さんでもある。知る人ぞ知る、一級品を作る凄腕農家さんだ。

「かしこまりました。お持ちするころには、お時間になっていると思うので、客間まで行ってくださいね」

「うん、分かった!」

「いいですか!時間厳守ですよ!」


 ピーノが部屋から出ていくと、僕はため息をついた。

 ここまで言われるには、もちろん理由がある。

 学園に行く前、お客さんが家に来ていたのだが…、僕はお昼寝をしてしまったのだ…。それで二時間遅れてしまったのだ。いや、本当に申し訳ないけど。

 けど!!!

 いや、分かる?寒くなってくると、窓際の席で、日が当たってると、あったかくて、授業中寝てしまう現象と同じだから!!ねぇ!!


 授業中寝るのは罪?いや、罪じゃない!睡眠欲は本能だ!多分!

 ”暴論ですよ。普通は寝ません”

 寝るだろ!?なぁ!てか、ア●クサって学校行ったことあるの?

 ”ありますよ。私もここまでの知識を手に入れるために、138億年は学校に通いましたから”

 ビッグバンと同い年じゃん。ア●クサ学園?

 ”いえ、ハーバード大学です”

 

 ハーバード大学もビッグバンと同い年かよ。って、違うからな。あそこ400年くらい歴史ある学校だからな。

 あ、時間。あと十分。

 ”向かいましょう”

 そうだね。客間であってるっけ?

 ”はい。とっとと向かいましょう”

  

 僕は部屋を出ると、ウルが待ち構えていた。

「少し、お話ししながら向かおう。カイムくん」

「分かりました。ウル先生」

 僕はウル先生の指示に従い、ゆっくり歩きだした。

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