第50話 刺客

「何でこんな騒がしいんだ?」

 珍しく広場に居るリーナは、ピーノに尋ねる。

「王様がいらっしゃったんだよ」

「げ、マジで?もしかして護衛とかいるよね?」

「もしかしなくても、護衛はついてるけどね。新人のリバースレイドかもしれないね」

 リーナは、げっ、と言いたげな顔でピーノを見た。

「大丈夫。リーナは、一応休養中だから、任務は与えられないはず」


 ピーノはリーナの頭を優しくなでる。

「あと、万が一、リバースレイドがあなたに無理やり任務につかせようとしたら、お姉ちゃん、滅ぼしちゃうし」

 てへっ、と頭に手を置くと、リーのは噴き出して笑った。

「ありがとう、ピーノ姉。警戒はしておく」


 リーナとピーノは、カイムのもとへ向かった。


「ここが、カン塔です。ネンガいちの芸術家のおうちなんです」

 とりあえず、屋上から景色を一望してもらいたいから、カン塔に連れてきたけど、オッズくん、迷惑じゃないかな?

「階段を使うと面倒くさいので、一気に行っちゃいましょう!」

 僕は風魔術を使い、ドーズさん(王様)と二人で屋上に行く。

 あ、ちょっと!という護衛の声が聞こえたが、無視、無視。

「ははははは、魔術にも恵まれておるのか」


 ドーズさんは終始満足な顔で、僕を見る。

「ありがとうございます。外れスキルでしたから…」

 外れスキルでよかったー!!

「そうか、であの東の湖はなんじゃ?何やら三角の建造物が見えるのだが?」

「オコノミヤキ湖畔キャンプ場です。三角の建造物は、ワンタッチで建造可能のテントという、僕が開発したものですよ」

 設営は面倒くさいからね。ワンタッチテントが一番いいんだよね。


「ほう、面白いものを作りおって。よし、いくらか金をやるから作ってくれ」

「お金じゃないほうがいいんですけど…。できれば、廃棄物で…」

 不敬かな?不敬だよね?

 一瞬ぽかんとしたドーズさん。

「欲がない奴め、」

 そう言い、豪快に笑いながら、僕の頭をがしがしと撫でる?揺らす。

「ゴミならいくらでもくれてやろう。よし、今日の帰りは、お前も私の馬車に乗って首都まで来るんだな」


 あ、ちょっと、聞いた?いくらでもって言ったよね?言いましたね?王様?

「は、はぁ。では、国中のゴミをください」

「生ゴミでも?」

「不要物であればなんでもいいですよ」

 そう、何でもいいんだよ。とにかくくれ。欲しいんだ!!

 

「ところで、お前は、なぜこのような村に居る?」

「なぜと言われましても…。左遷されてきまして」

 僕的には、嬉しいのだよ。

 ドーズさんは、大きなため息をついて。


「いや、そうじゃない。お前ほどの魔術師がどうしてこんな辺鄙な村に居るんだ?」

「……………、へ?」

 僕は領主で、魔術師じゃないけど…?ほどって何?ほどって何?怖い怖い…。

「へとはなんだ?だから、お前の魔術は、とうに国内最強を超えているということだが?」


「……………………、??????????」

 まって、何言ってるか全然わかんないんだけど…?


「何を驚いているんだ?」

「わからないです」

「はぁ、そんなに難しい話をしたか?…つまり、お前は国内最強だ」


 一瞬体がくらっとしたと思うと、おい!と言うドーズさんの声を最後に、僕は意識を失った。

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