第41話 驚愕 1‐2

 調査隊が来ると、僕のダンジョンを調べ始めた。

 モンスターの数とか、安全ゾーンについてとか。


 僕はこっちの世界のダンジョンを見たこともないから、僕の理想通りに作っちゃったんだよね…。

 大丈夫かな…?

「あの、第一発見者の方は?」

 

 探検家みたいな服を着た男性が、執事長おじいちゃんに尋ねる。

「ふぉっふぉっふぉ、こちらの坊ちゃんでございますぞ」

「こんにちは、カイム・セルトファディアです」

「こ、子供!?あ、私はオルソー・フォン・ハイゼルベルクと申します。本日の調査のご協力ありがとうございます」


「僕は何もしてませんよ!こちらこそ、わざわざこんな辺鄙へんぴな場所まで、ありがとうございます」

「いえ、ありがとうございます。それで、調査の結果ですが…、自然にできたもので間違いありません。少々安全スペースが大きく、モンスターの数が多いように感じられましたが、審査の許容範囲内です」


「よ、良かった…。モンスターとかでてきたらちょっと怖いけど、それは大丈夫そうなんですよね?」

 いや、多分、僕一人でどうにかなるけどね。

「はい、扉の設置は必要ないかと。あとは、ダンジョンの名称と所有者を決めたいのですが…。この地の管理人を呼んでくださりますか?」

「すいません、僕です…」

「あ、すいません!えっと、では詳細を決めましょうか。執事さんもこちらのへ」


 この人たちが使っている集会用テント、僕が売ったやつなんだよね。

 ふふ、こうやって野外で使ってもらえると嬉しいな。

 執事長のほうを向いてみると、執事長も僕のほうを見て微笑んでいた。

「こちらに腰を掛けてください。あ、アイズくん、コーヒーを。この子には、何かジュースを」

「あ、お気遣いありがとうございます!」

「ちょっとしたものしか出せませんが…。はい、では本題に入りましょう」


 どうやら僕たちは決めなきゃいけないのは、ダンジョンの名前、所有者、ダンジョンの周りの町の開発についてらしい。

 とりあえず、ダンジョンの名前はジオラスとかにしておこうかな?

「じゃあ、名前はジオラスにします。ダンジョン前の町の名前もジオラスで」

 すまない、ジオラス。君の名が知れ渡ると、君も嬉しいだろう(圧)?


「では、地名をジオラスとさせていただきます。所有者は…」

「僕でお願いします。ネンガ村の開発とあわせて、こっちも開発しますね!」

「はい、お願いします」

 いつの間にか目の前に置いてあったジュースを飲む。

 うん、おいしい。オレンジジュースだ。村のみんなにも作ってあげようかな?


「ふふ、ジオラス町の開発方針を決めましょうか。ダンジョン前の町は、必ず冒険者に賑わいますので、これが一番重要かもしれません」

「お店を置いたりするってことですか?」

「そうですね。武器屋や、回復道具屋、装備屋とかです。立てるためのお金は、無かったら支援させていただきますよ」

「いえ、お金はあるので…」


「じゃああとはお任せしますね!宣伝はしておきますので!」


「え!?」

 開発方針は、丸投げだった…。

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