第34話 中二
一週間ほどたつと、何を作ればいいのか思い出した。
そう、道だ。
僕の場合、どんな場所でも
凡人には…おっと、すいません、悪気はない…ありました。
ここで謝罪を申し上げ…。
”ふん!”
ごふっ…。
ア●クサにパンチされたから、百倍返しにしてやって。
道と、あと看板かな。
駐車場も造っちゃおうかな?
とりあえず、キャンプ場に吹っ飛んでって、道にするところを削って、余った土で丸太を作る。
その丸太で、まずは、看板を作り、残りは机や、公園とかにある日よけの大きい屋根を製作し、風魔術で運ぶ。
ふう、僕は額に流れてきた汗を拭いながら、空中で出来栄えを見る。
あ…、田舎に作っちゃったから、人来ないよね。
というか、みんなキャンプ用品とかあるのかな…?
”この世界には、テントはありません”
ですよねー。つくるか…。
イメージで大丈夫だったよね?
”はい、耐久性や素材は私が何とかしますので”
助かるなぁ、頼むよ。
”変形魔術を発動しています。テント…その他キャンプ用品製作完了”
よし、ありがとう!これを、セルトファディア領につながる大きな道で販売しよう!そうだね、販売は経験がある人を選ぼうか!
早速僕は、昼食に戻った住民に聞いてみたが、誰一人いなかった。
予想はしてたけどね。
まあ、僕が先導してみんなに教えながらやろうかな。
「中央通りで、このキャンプ用品の販売を手伝ってくれる人、いませんかー?」
台に上って声をかけると、十人くらい来てくれた。
「きゃんぷ、とは、ははは、貴様もその異世界語を知っているとはな…。我は少々商売には興味があってな。ふはっ、貴様に協力してやらんことはない」
右目を髪で隠し、左手の雑にまかれた細い布のところを右手で強く握りしめならがら、近づいてきた彼。
はい、いわゆる中二病だ。
「ふはは、貴様、我の力を欲するのなら、協力してやらんこともない」
ちょっと、ツンデレ気味のセリフだが、彼は生粋の中二病である。
とりあえず、集まってもらった人たちに話を説明すると、さすがに理解が追い付かなくて離脱者が半分出て、僕合わせて六人になった。
「くははは、何だ貴様ら、十三号世界の貴様らとはまるで大違いだな!」
「はい、ジオラスくん、やめてねー?」
てか、そういうのって、どの世界でも同じなんだね?
僕はジオラスの右頬をパンチして、ジオラスを制圧し、持っていくものの準備を始めた。
雑草をおもちゃに変換したときから、たまっていた生ごみはすべて綿に変えて、村唯一の馬車に詰め込む。
ちなみに、辺境の村で何かと不便だから、僕が改造して、そこらの商人の馬車よりよっぽど大きい(縦長)、三十人乗りの自転車が動力の馬車にした。
なにをすればそうなるの分からないが、十回ぐらい漕げば、余裕で400万キロは走れる。そして、操縦ができ、スピードは変幻自在。
「領主様、またすごいものを作りましたね…」
引き気味に、今回最年長のおじさん、アレルさんが馬車を撫でる。
その姿が、僕が小さいときに見た、お父さんが車を愛でていた姿に似ていて、少し懐かしい気持ちになった。
僕たちは、綿を全部積み上げると、アレルさんが、馬車を漕ぎ始めた。
住人たちに見送られながら、ネンガ村を出発した。
「いってきます!!!」
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