第33話 開発
朝になり、広場で諸々を過ごすと、僕はカン塔に向かった。
階段を慣れた足取りで、ピーノと登る。
オッズくんの部屋につくと、一息飲んで、ノックした。
「は~い、カイムくーん?ごめんね~、いまお取込みちゅう~」
「あ、そっか、ごめんね!出直すよ!」
「ありがと~」
あー、良かった…。いつものオッズくんだ…。
昨日は本当にびっくりしたなぁ…。
とりあえず、安心したから僕たちは、村へ踵を返し始めた。
「では、オズワルトさんが基本人格でオッズさんが主人格ってことですよね?」
き、基本人格?主人格?全然、分かんない…。勉強不足でごめんなさい…。
僕が完全に戸惑いを見せていると、ピーノは苦笑いして、僕の頭を撫でた。
「カイム様にはまだ早かったかもしれませんね」
?
"?"
まぁ、それはどうでもいいこととして。どうでもよくないんだけど。
街道も完成したことだし、どうしようか?
僕は、おじいちゃんの家で、緑茶をすすっていた。
「ねぇ、この村でやらないといけないことって、何かあるかな?」
おじいちゃんは、一気に緑茶をすすると、ほっこりした顔で。
「商売でもしたらどうじゃ?観光業でもやれば出来ん事ないじゃろ?」
確かにね。湖も、小さな山も、整えればキャンプ場とか、見晴らしのいい展望台とかにできるかもしれないなぁ。
湖で釣れるようになったエビやカニも料理してふるまえば、きっとお金がじゃらじゃら…、ふふふ、夢が広がるね。
「性格の悪そうな顔をしておるぞ、坊主」
そういいながらも、おじいちゃんは、欲望に顔をゆがませていた。
「ふふ、ありがとう!山とか、ちょっと削ったりしてみるね!」
「そうするのじゃ。そして、わしに金が
僕たちは、欲望の渦を緑茶に沈め、お茶がなくなるまで笑いあった。
「
僕は執事長の背に乗り、高速で、村の中で一番遠い山まで行く。
「ふぉっふぉっふぉ、着きましたぞ」
高速移動にもそろそろ慣れた僕は、ふらふらしながらも、執事長から降りる。
「ありがとう!」
執事長はとんでもございません、と言って、村に戻っていった。
砂埃にむせながらも、僕は山の頂上まで風魔術で吹っ飛ぶ。
僕は雑草がすっかり抜けたきれいな山肌を見て、ああ、
じゃあ、削って、段差無くして、階段つけて、管理棟つくって、牛でも飼って、新鮮ソフトクリームとかつくればいいかな。あ、小さい川もつくっちゃおう!
とりあえず、風魔法で削って、余ったやつは変換魔術で丸太にして。
それを繰り返すと、すぐにきれいな平地ができた。
高めのところに作ったから、湖が一望できて、景色もいいんだよね。
あとは、残った丸太で、変形魔術で、よくある階段、ベンチ、管理棟を作った。
水魔術で、山の上のほうから、どこから水が出てるのか分からない感じで、水を流して川を作る。
なにか、足りないんだよね。農場はそのうちつくるとして…。
うーん……………。
結局なにか思い出せなかった僕は執事長と村に戻ってしまった。
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