#88 二人の想いと努力の結実
1月4日、俺とアリサ先輩の誕生日。
遂にこの日を迎えた。
俺は16歳になり、十代の後半がスタートした。
十代前半は、不幸や苦難に多く見舞われた青春時代だった。
だが今は、アリサ先輩と恋人となり、もう苦難続きの青春とはおさらばだ。
付き合い出してからもちょいちょい苦難に見まわれているのが
そして、俺だけでなくアリサ先輩も18歳になり成人となった。
元々、超が付くほどの美形で大人っぽい容姿だったが、これからは本物の大人の女性だ。
俺の恋人は、多くの男子高校生が憧れて止まない『年上の大人で美人の恋人』なんだと改めて優越感を感じたりしたのだが、アリサ先輩に成人となっての抱負を聞いてみると、「何も変わらないわね。今まで通りよ」と特に何も思うことは無さそうだった。
ただ、アリサ先輩の場合は、元々自分にも他人にも厳しくストイックな人で、成人になる前から成熟した考えや価値観の持ち主であったので、今更何かを変える必要が無いのも事実だろう。
◇
午前10時に、自転車に乗ってアリサ先輩の自宅へ迎えに行くと、アリサ先輩は旅行用のキャリーバッグを持って出て来た。 バックにはお泊りセットとか色々入っているのだろう。俺も自分のリュックにお泊りセットだけでなく、今夜の為に用意した色々なグッズを詰め込んで来ている。
開口一番「アリサちゃん、誕生日おめでとう!」と祝福の言葉を伝えると、アリサ先輩はニコリと表情を崩して「ありがとう。マゴイチも誕生日おめでとうね」と俺のことも祝ってくれた。
この日のアリサ先輩は、バッチリメイクを決めてて、イヴの時と同じ赤いコートとヒールの高いブーツなのだが、開いたコートの下には、ブラウンのハイネックのニットにグレーのフレアのミニスカートと黒いタイツで、ミニスカート姿は初めて見たのだが、落ち着いた大人の女性な雰囲気を漂わせていた。
アリサ先輩は今日もヤル気満々だ。
その心意気が嬉しくもあり、期待も高まる。
それだけで俺の股間は半勃起だ。
ホテルは、アリサ先輩の家から少し離れてはいるが、歩いて行ける距離ではあったので、自転車をアリサ先輩の家に置かせて貰い、歩いて向かうことにしていた。
アリサ先輩のキャリーバッグを預かり、空いた方の手を繋いでお喋りしながら歩いた。
スタイルが良く美人のアリサ先輩がヒールをカツカツと鳴らしながら歩く様は、アダルティなフェロモンをムンムンに振りまいてて、途中で寄ったコンビニやドラッグストアなどでは、他のお客さんからの視線を集めていた。
男性に限らず同じ女性でもついつい視線を向けてしまうのだろう。それほどに今日のアリサ先輩は、綺麗で輝いててオーラを放っていた。
夏休みに、部屋着姿で自前マクラを抱えてウロウロし、別の意味での視線を集めていたのを思い出して、少し噴き出してしまったが。
ホテルに到着すると、フロントでアリサ先輩が手続きを済ませてキーを受け取り、エレベータに乗った。
エレベータの中で二人きりになると、気分が高まり緊張しているのか、お互い言葉数が減っていた。
エレベータが止まり扉が開くと、アリサ先輩の後に続いて廊下に出て、部屋ナンバーを確認しながら先を歩くアリサ先輩の後を追う。
予約していた部屋を見つけると、「ココの部屋ね」とアリサ先輩がキーを差し込んで扉を開けてくれたので、リュックを背負いキャリーバッグやコンビニ等での買い物で両手が塞がってた俺が先に入らせてもらった。
親と旅行した時とか学校の修学旅行なのでホテルに宿泊した経験はあるが、こうして自分たちで予約しての利用は初めてのことで、なんだか大人に一歩だけ近づいた気分で、部屋に入り綺麗にベッドメイクされたベッドを見た時に、そういった実感を一番に感じた。
俺がキャリーバッグを降ろし買い物などもテーブルに置いて片付けを始めると、既にコートを脱いでハンガーに掛け終えたアリサ先輩が、「マゴイチも上着脱いで頂戴」と言って、俺の上着を脱がせてハンガーに掛けてくれた。
上着をクローゼットに収納を終えると、アリサ先輩が両手を広げて「マゴイチ!」と呼ぶので、俺も両手を広げて抱き着いで、アリサ先輩をギュッと抱きしめるとそのまま持ち上げた。
「外寒かったから、温かいっすね。アリサちゃんの体、温かいや」
「いつもマゴイチのお家でお泊りしてるのに、いつもと違うホテルだとドキドキしてるからかしら」
「俺は、今日のアリサちゃんがすげえ大人っぽくてドキドキしてますよ」
「うふふ、ありがとうね。今日は朝早く起きて頑張ったのよ?」
「そうだと思いました。いつも綺麗だけど、今日はいつもの3倍は綺麗ですよ」
20センチ近い身長差がある俺とアリサ先輩だが、抱き上げているお陰で丁度同じ目線の高さで、見つめ合いながら話しつつ、ちゅっちゅちゅっちゅと何度もキスを繰り返した。
10分近く抱き上げたままイチャイチャしてたのだが、流石に腕が疲れて来たので降ろすと、アリサ先輩が「バスルーム確認しよう!」と言って、俺の手を掴んで引っ張る様にしてバスルームに入ろうとしたのだが、ブーツを履いたままだったので、「ブーツのままだよ!脱がせてあげるから座って」とベッドの端に座らせて、脱がせてあげた。
室内用のスリッパを履かせると、「行くよ!マゴイチ!」と普段学校とかで見る様な楽しそうなテンションで、俺の腕を掴んでグイグイ引っ張りながらバスルームに突撃した。
普通のシティホテルの並ランクの部屋なので、バスルームは特別豪華な訳では無いが、ウチのお風呂場よりも広くて、浴槽も大人二人が入っても充分な広さだった。
「ウチの風呂よりも広いっすね」
「そうね、後で一緒に入ろうね!」
「ココならローション使って転んでも大丈夫そうだ」
「あれから下半身鍛え直してるから、もうひっくり返ったりしないわよ!」
ご機嫌なアリサ先輩はそう言うと、バスルーム内でY字バランスを始めた。
流石独学とは言え鍛錬を続けて来ただけあって、体も相当柔らかく、綺麗で安定したY字バランスを見せてくれたのだが、黒いタイツに包まれた股間とお尻が丸見えだ。
「ココで片足でのY字バランスを保てるとは、かなり鍛えてますね。 因みに、そのポーズだとタイツ黒くても赤い下着が透けて見えてますよ」
「あ、今日の下着のお披露目、後のお楽しみだったのに」
そう言って、テヘペロって顔をするアリサ先輩がお茶目で超かわいい。
バスルームも確認し終わると、少し早いが昼飯を食べることにした。
この日のお昼は、俺が早起きして作って来た手作り弁当だ。
予算の都合や既に年末のクリスマスにプレゼント交換をしていたこともあり、今回の誕生日はプレゼントはお互いに無しにしようと事前に決めていたのだが、だったらお金をかけずに何か出来ないかと考えて、お弁当を作ってくることにした。
そのことは事前に話してはいたが、俺がアリサ先輩の為に作った唐揚げ弁当はアリサ先輩の予想を超えていたらしく、とても感激してくれて、「食べるのが勿体ないわね!」と言って、スマホで写メをパシャパシャ撮影していた。
味に関しても「流石料理部ね。本当に美味しいわよ! 朝からこんなに沢山揚げるの大変だったでしょ?」と上々の反応で、「初めて作った手作り弁当でしたけど、喜んでもらえて良かった」と返すと、「よく考えてみれば、ツンデレ王子とか狂犬マゴイチとか言われて他校にも有名な程のイケメン男子の手作り弁当とか、とんでもない贅沢なのかも知れないわね。マゴイチのファンが知ったら発狂しそうね」と唐揚げを頬張ってモグモグさせながら言うので、「いやいやいや、西高イチ美人で元生徒会長とのお泊りデートの方が、超プレミアムですよ。アリサちゃんのファンが知ったら俺殺されますから」と返した。
普段はこういったお互いのモテ話とかあまりしないのだが、この日は妙なテンションで、それは誕生日で1つ年を取ったことだけでなく、この後に初めてのセックスへのチャレンジが控えていることを、お互いに意識していたからなのかも知れない。
◇
結論を述べると、時間は掛かったが、ちゃんと出来た。
アフロのアドバイス通りに、時間を掛けてじっくりとお互いを愛し合い、そして無事に遣り終えた。
終わった後、「遂に童貞を卒業出来た!」とか「この日を童貞卒業記念日にするぞー!」とか、そう言った喜びが湧いて来るかと思っていたが、実際にはそんな物よりも、アリサ先輩に対する愛おしい気持ちで一杯だった。
アリサ先輩はきっと痛くて辛いはずなのに、今日は「痛い」とは1度も言わず、代わりに「マゴイチ!」と俺の名前や「大好き」という言葉をずっと言い続けていた。
普段と違うそんな健気なアリサ先輩が滅茶苦茶可愛くて、年上で俺よりも強いのを分かっていても守ってあげたくなる様な庇護欲をそそられ、堪らないほど愛おしかった。
終えた後もしばらく抱き合いお喋りしながら余韻を楽しんでいたが、アリサ先輩が「お風呂に入ろっか」と言ってくれたので、「準備してくるからそのまま休んでて下さい」と大急ぎでお風呂の準備(浴槽にお湯を出す)を済ませてベッドに戻り、「折角だからお姫様ダッコで運んであげますよ」と言って、お互い裸のままアリサ先輩を抱き上げた。
お風呂では、まだ破瓜の痛みで辛いだろうと思い、負担を掛けない様に俺からアリサ先輩の体や頭を洗ってあげて、湯舟ではゆっくり浸かってアリサ先輩の体を労る様に優しく抱きしめていた。
アリサ先輩を後ろから抱きしめる様にして二人とも脚を伸ばすと、アリサ先輩は後ろの俺にもたれる様にして穏やかで幸せそうな表情で何度も振り返っては俺の唇やホッペにキスをしてくれて、痛みで辛そうな表情はもう見せなかった。
そんなお風呂タイムをのんびり楽しんでいると、アリサ先輩がポツポツと語り出した。
「初めてのセックスを体験してみて、改めて私にはマゴイチしか居ないって思えたの。 心や肉体の繋がりだけじゃなくて、価値観とか考え方とか私と近い物を持ってて、同じ目標に向かった時に同じ目線で考えたりお互いを
アリサ先輩の話は、言葉にして言われてみると俺も全面的に同意しか無いのだが、大袈裟な言い方をするからなんだか照れくさくなってしまい、「俺もアリサちゃんの柔らかいおっぱいに出会えて、超幸せです」と後ろから両手でアリサ先輩のおっぱいをモミモミした。
__________
9部お終い。
次回、エピローグ。
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