#87 真面目な顔で語るエロいお話




 童貞卒業へのチャレンジは一旦お休みとなったが、ただ何もせずに待っていては、これまでの元カノたちとの交際と同じてつを踏んでしまいかねないので、積極的に行動することにした。


 具体的には、前戯のことをアリサ先輩に相談して、事前に同意を貰い、そして「どんなプレイまではOKか」「どんなプレイに興味あるか」などを聞き出して、出来れば予習と実践を含めた練習をしておきたいと考えた。


 で、相談してみると、実はアリサ先輩も同じようなことを考えていると教えてくれた。

 アンナちゃんたちがウチに来て勉強していた時に、眼鏡掛けて真面目な顔してスマホに向かって調べものしてたのも、男性が喜ぶプレイや前戯などをリサーチしていたとのこと。


 流石自主性モンスターというべきか、俺の為にエッチなプレイを勉強したり積極的に取り組もうとしてくれるその姿勢に感激の雨が止まない俺だったが、アリサ先輩は「マゴイチと出会うまでは、自分にそういった知識は必要ないと思って嫌煙してこの年齢まで来ちゃったから、今更慌てて勉強してるだけよ」と言いつつ、「この間のローション使ったプレイは最後失敗しちゃったけどマゴイチ凄く気持ち良さそうだったものね。もう滑ってひっくり返ったりしないから次はチャント最後までたっぷりしてあげるからね!」とノリノリでもあった。



 それで、お互い羞恥心を捨て去り、話し合いの内容は前戯に始まり、自分の性癖やどんなプレイに興味あるかなども話し合った。

 この話し合いは、お互いの性に対する理解を深め、初体験の成功は勿論のこと、今後、より良い性生活を送ることを目的としたもので、イチャイチャしてたらムラムラしちゃって、エロトークで気分を高めてセックスへもつれ込もうとする様な下世話な話では無く、大真面目にメモを取りながら話し合った。


 話合いの最中は、アリサ先輩にはメガネを掛けて貰った。

 その方のが真面目な雰囲気になるからであり、『年上のメガネ美人のお姉様がキリッと真面目な顔してエロい話をしている』というシチュエーションが性癖に引っ掛かったからでは無く、断じて邪なスケベな心など俺は抱いてはいない。


 ふぅ。

 因みに、俺も近藤君の様なピッチリ七三にしてみた。


 内容に関しては、いくら真面目な話し合いと言えども、他人に聞かせるのは憚られる様な物ばかりなのだが、感想を言わせて貰えば、俺と出会うまでは「恋愛なんて興味ありません」というスタンスだったアリサ先輩だが、やはり現役JKで年頃の女の子であり、「性に対する好奇心だって人並みにあるわよ」と本人が言うだけあって、今までのイメージが覆るような話を色々聞かせてくれた。


 端的に言えば、アリサ先輩は変態の部類だろう。

 先日のお風呂でのヌルヌルプレイを経て、俺になら自分の性的趣向や欲求をオープンにすることに抵抗感が薄れたらしく、話合いの中では俺よりもアリサ先輩のが積極的に話していた。というか熱弁していた。


 俺の方からは、ネットで調べたメジャーな前戯プレイの他に、過去のトラウマに関連したプレイ等も要望してみた。

 公園のベンチでの野外プレイ、部室で体操服姿での校内プレイ、後は赤ちゃんプレイからの授乳プレイ等々。

 これらは性癖と違い過去に元カノや間男たちに見せつけられたことや、熱望し我慢し続けたのに結局叶わなかったこと等によりトラウマみたいになっていたので、そのトラウマを克服するのが目的だ。 言い換えると、「羨ましかった。俺もやってみたかった」とも言う。

 まぁドン引きされて、そのほとんどが却下されてしまったが。


 と、こんな感じで、お互い真面目な顔で、最初は、してみたいとことや、やってあげたいことなどを意見交換したり調べたりしていたのだが、最終的には性癖の暴露大会となり、秘密の共有と言うべきか、他人には言えない様な内に秘めた想い(性的欲求)を話すことで、よりお互いの絆が深まり強固な物となった様に思う。




 ◇




 年末でも相変わらずアリサ先輩と毎日一緒に過ごし、大晦日でもアリサ先輩は朝からウチに来てて夜も泊まっていき、一緒に新年を迎えた。


 因みに、アリサ先輩はいつも寝るのが早いのを大晦日は無理して遅くまで起きていた為、0時を過ぎた途端コタツで寝てしまい、俺がお姫様ダッコで抱きかかえてベッドに運んで、抱き合って一緒に寝た。




 翌日元旦。

 朝起きた時には既に初日の出は過ぎていたのだが、俺もアリサ先輩も初日の出には特に興味は無かったので、そのまま布団の中で新年の挨拶と今年初めてのキスを交わしつつ、布団から出ずにイチャイチャ過ごしていた。


 かーちゃんが朝ごはんに呼びに来てから起き出して、洗面所で二人で順番に顔を洗ってから台所で食卓に座る両親に新年の挨拶をして、両親からは俺だけでなくアリサ先輩もお年玉を貰い、元日朝から4人でわいわいと賑やかな食卓になった


 今年のお節料理は、俺が料理部に入り料理をする様になったことや、かーちゃんが事前にアリサ先輩に手伝って欲しいとお願いしていたので、3人で作ったものだった。


 俺もアリサ先輩もお節料理を作るのは初めてで、前日の大晦日に朝から3人で台所に籠り、かーちゃんの指示に従って教えて貰いながら作っていたのだが、俺は料理部部員として料理には真面目にそして直向きひたむきに取り組む姿勢を見せているのに、かーちゃんとアリサ先輩はお喋りばかりしてて、エッチな話や俺のチンコがデカイ話で盛り上がったりするから、マジでグレたくなった。


 将来結婚してからも、こんな風に嫁姑問題で俺は頭を悩ませるのだろうか。

 いや、普通の嫁姑問題は仲が悪くて問題になるのであって、息子(恋人、旦那)をネタに下トークで盛り上がるのは嫁姑問題とは言わないか。




 元日のこの日は、俺の家に閉じこもってばかりでは無く、お昼にはアリサ先輩の家にも新年の挨拶にお邪魔した。


 アリサ先輩のご両親は初対面では無く、以前から遊びに行くと食事にお呼ばれしたりしていたので、特に緊張したりすることは無かったのだが、弟のタカシくんが今年受験生なのであまり長居しては悪いと思い、お昼ご飯だけご馳走になり、この日は早々に引き上げた。

 因みに、アリサ先輩のご両親からもお年玉を貰ったのだが、実はコレが目的だったりもする。

 高校生には、クリスマスに続いてお互いの誕生日にホテルでの一泊デートは財政的には非常に厳しく、それはアリサ先輩も同じだったので、だったら両家の親にお年玉を強請ねだってそれをデート資金に充てようと二人で企んでいた。


 あと、この時に教えて貰ったのだが、タカシくんも西高志望だそうだ。

 話を聞くと、担任からは問題無いだろうと言われているらしく、結構余裕をカマしていた。

 俺が「あんまり余裕カマしてると、死亡フラグになるよ」と苦言を呈すと、「マジすか!?ヤバイいっすね俺!」と何故か嬉しそうな反応を示していた。

 アリサ先輩が言うには、「狂犬先輩と仲良くなりたいから西高行く!」と言い出したらしく、姉弟揃って俺の事が大好きらしい。何故タカシくんに慕われているかは謎だが、将来義理の弟になるのが確定しているので、それはそれで良いことだろう。






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