#80 童貞卒業までの道は長く険しい
アリサ先輩と恋人となりファーストキスまでして、俺は今度こそ愛する恋人とのイチャイチャらぶらぶが出来ると胸に希望を抱いていた。
もはや童貞卒業も妄想や夢では無く、現実のものとしてすぐ手が届くトコロまで来ているのだと。
これまでアリサ先輩も処女で異性にはギッタンギッタンに切り捨てて来たのに、俺にだけはことあるごとにベタベタスキンシップしてきたり抱き着いたりしてきたし、初めてウチのとーちゃんと一緒にメシ食べた時だって「いつでもウェルカム」とか言ってたし、何せ残りの人生を俺に捧げるとまで宣言してくれた。
もうこれだけ相思相愛ならばアリサ先輩も俺と同じ気持ちだと疑いようがないだろう。
だけど、いざ状況が整うと二の足を踏んでしまうのが童貞の悲しい性。
キスまでは行けるんだ。
学校終わった後に俺んちで遊んで夜になって家まで送って行って、別れ際にハグしてチュっとする。
これくらいは日常的に出来るようになった。
だがしかし、ココから先が進めない。
おっぱい揉めばいいのか?
いきなりそんなことすれば、鉄拳飛んでくるんじゃないのか?
服脱がせればいいのか?
アフロみたいに瞬時に締め落されるんじゃないのか?
やっぱ、そういうムードというか雰囲気づくりが必要なんだろうな。
でもそういうムードってどうやって作ればいいんだ?
だってさ、邪魔が入るんだよ!
二人きりになれる時間が少なすぎるんだよ!
アンナちゃんは気を使ってくれてるのか、今までよりも俺んちに遊びにくる頻度は減ってるし、来る前に必ず「アリサも居るの?邪魔にならない?」と聞いてくれるし、アフロはムトー飼い始めてからはたまーにしか来なくなったし。
問題は、アズサさんなんだよ!
なんで毎日俺んちに来るようになってるんだよ!
西高の学校祭で何かに目覚めちゃったらしくて、俺の部活が無い日は毎日の様に俺とアリサ先輩に会いに来るの。
ずっと俺と仲直りしたいと思ってて、仲直り出来て嬉しいのは分かるし、そう思ってくれるのも友達としては嬉しいし、アリサ先輩にだってスパルタながらも可愛がって貰ってて、先輩として慕う気持ちも分かるよ?
でもさ、俺たちが二人キリの時に限って予告なしに現れるのが1カ月近く続くと流石に遠慮してよって思うじゃん。
最近じゃ、俺もアリサ先輩も「今日も来そうだね」「うん、来るだろうだね」ってそういう会話が定番になっちゃっててさ、案の定来るんだよ。で、やっぱり来ちゃったか、って微妙な空気になってるのに、アズサさん一人だけ嬉しそうな顔して「先輩!今日もトレーニングがんばります!」とか言って、一人だけテンション高くてさ、アリサ先輩もそう言われちゃうと自分で面倒見るっていっちゃった手前無下に出来ないし、慕われるとやっぱり嬉しいのか「今日もビシバシ行くわよ!」とか言って結局トレーニング始めちゃうし。俺んちなのに。
で、テンザンの散歩ついでにアンナちゃんを召喚して相談してみた。
「ぶっちゃけ、最近アズサさんがウザいんですけど。アンナちゃん助けて」
「戸田っちだからね、仕方ないね」
「いや、仕方ないじゃなくてさ!マジで邪魔なんだよ!アリサ先輩とイチャイチャらぶらぶしたいのに毎日来て二人キリになれないんだよ!付き合い始めて1カ月経つのに俺まだ童貞なんだよ!おっぱいすら揉んでないんだよ!コレはあれか?わざとか!?俺にアリサ先輩のおっぱい揉ませない為にわざと邪魔しに来てるのか!?」
「うっわ、ドーテーまじキモすぎ!屑イケメンはドーテーのまま死ね!」
アンナちゃんは自分の胸をガードしつつ相変わらずの蔑むような眼差しで俺を罵倒するが、いつもの様にテンザンの様なつぶらな眼差しを濡らして助けを求めると、普通に相談に乗ってくれた。
「結局さ、いつもマゴイチくんちで会ってるから戸田っちもそこに居るの知ってて来るわけじゃん? だったら会う場所変えたら?」
「それなんだけど、前に同じこと考えて俺んち止めてアリサ先輩の部屋で二人で過ごしてたら、アズサさんから鬼電かかってきて結局アリサ先輩の家まで押しかけて来たし、次の日なんか西高の校門で俺たちが出てくるの待ち伏せしてて、それ以来アリサ先輩も「面倒見るって言ったの私だし、あんまり冷たくするのも可哀想」とか言って諦め始めちゃってるの」
「本人には話したんでしょ? 二人キリの時間を過ごしたいから少しは遠慮してとか言ったの?」
「二日くらい前にアリサ先輩が「マゴイチと二人になるのに邪魔だからあまりココには来ないで」ってどストレートに言ったら、しくしく泣き出して「アリサ先輩は違うと思ったのに・・・私のこと見捨てないと思ってたのに・・・やっぱり私は誰からも・・・」とか言われちゃって、結局俺もアリサ先輩もそれ以上は邪険に出来なくなっちゃって、お手上げ状態」
「中学の頃のことが相当トラウマになってるっぽいね」
「うん。アリサ先輩もそれ知ってるから、ああいう反応されちゃうといつもみたいにズバズバは出来ないみたいで、俺も強く言えなくなっちゃったし」
「うーん・・・だったら開き直ったら? 戸田っち居ても気にせずにイチャイチャしたら?見せつける様におっぱじめたら、流石にお邪魔虫なこと分かるんじゃない? 見てる方が恥ずかしくなって逃げだすとかもあるかもだし」
「なるほど・・・でも、流石に人前でイチャイチャらぶらぶするのは童貞にはハードル高いぞ。アリサ先輩だってイヤがるだろうし」
「だけどね、多分戸田っち、分かっててやってるよ」
「んんん?分かってて?」
「うん。 マゴイチくんとアリサがなんだかんだ言っても戸田っちには甘いこと分かってて。泣くのも二人が涙に弱いこと分かっててだと思うよ」
「え!?ちょっと待って! やっぱりわざと邪魔してんの?俺がアリサ先輩のおっぱい揉むの邪魔する為に俺んちに毎日来てんの?」
「邪魔しようとしてるというか、仲間外れにされたくないんじゃないの? 二人が付き合うことになったせいで見捨てられるとでも思ってるんじゃない? 中学の時に周りが全部敵に見えちゃったこととか依存してたマゴイチくんにフラれて嫌われちゃったことがトラウマなんだろうね。戸田っちも必死なんだよ。やり方は間違ってると思うけど」
「マジかよ・・・大人しそうに見えてもやっぱ女こえーな」
「女はしたたかな生き物だからね。 だから、「あんまり邪魔すると本当に嫌いになっちゃうよ」とか言い聞かせたら? それでもしつこい様なら、もう戸田っち居ようが気にせずにイチャイチャ見せつければ、流石に邪魔しちゃいけないって分かるんじゃない?」
「なるほど・・・」
と、アンナちゃんに相談してみて色々分かり今後の対応策も見えて来て、早速翌日学校でアリサ先輩のその事を話したら
「アズサのことならもう大丈夫よ。私だってアンナが言ってる様なこと考えてて、昨日の夜アズサの家まで訪ねて言い聞かせて来たから」
「マジっすか」
「ええ、もう誰にも遠慮する必要は無いからね!今日からイチャイチャするわよ!覚悟してなさいマゴイチ!」
「あ、今日は俺部活っす」
「じゃあ明日から覚悟しなさい!」
と、流石アリサ先輩と言うべきか、今度こそ状況的には整った訳だが、それでも二の足を踏んでしまうのが童貞の悲しい性。
イチャイチャしながらもモタモタしてしまい、気付けば冬休みも目前に迫っていた。
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