#66 初代元カノの宣言
こ、これはやはりそーいうことなのか!?
アンナちゃんが急に泊まりたいと言い出したのはコレが目的だったのか!?
まさか本当に十代の熱いリビドーをこの俺と解き放ちたいとな!?
今夜・・・俺は遂に卒業してしまうのか!?
恋人でも無いのに???
否、元カノだし、そういった将来もあった可能性は否定出来んし、ここで恋人かどうかという話を持ち出すのはナンセンスと言うものだろう・・・
ゴムはアクア先輩との交際時に念のために購入した物が確か未開封のまま机の2番目の引き出しに眠らせていたはずだ。
しかし・・・俺の尊い童貞はいつか心に決めた女性に捧げると誓ってここまで来たのに、このまま流されて良いのだろうか・・・
アンナちゃんか・・・アンナちゃん、カワイイしおっぱいも大きいし、おっぱいぶよんぶよんだし、アリか?と問われれば・・・おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい――――
「どしたの?固まって」
「いや・・・その・・・おっぱいが、じゃなくて・・・何でもない・・・」
「またおっぱいの事考えてたの?ホント好きだね、おっぱい」クスクス
いや、ココは怒るトコでしょぉぉぉ!
いつもみたいに罵倒してよぉぉぉ!
罵倒して頭バグった童貞を正気に戻してよぉぉぉ!
なんでいつもより穏やかな表情で許してくれちゃうのよぉぉぉ!
カワイイからドキッとしちゃったじゃないのぉぉぉ!
そうだ。
ココで俺が動揺してモタモタしては、期を逃してしまう。何度もそうやって失敗してきたんじゃないか。それに、童貞を言い訳に及び腰になっては、きっと勇気を出して俺を誘ってくれたアンナちゃんに恥をかかせてしまうだろう!
童貞の俺は、心を静めて、意を決した。
「ふ、服は脱いだ方が、イイよね?」
「え?なんで? あー!まさか、アンナがエッチなこと誘ってるって勘違いしちゃったの!?」
「え?違うの?」
「もぉ、マゴイチくん、アンナのこと全然分かってないなぁ。 恋人でも無い人とキスとかエッチとか絶対にしないよ? もう2度と後悔したくないから、いくら相手がマゴイチくんでも恋人じゃない人とはそーゆーことしません」
「そうなんだ・・・。アンナちゃんが昔のことソコまで反省してて自分を戒めてることを俺が分かって無かったのはその通りなんだけど、じゃあなんで一緒のベッドで寝たいなんて言うの? 普通誰だって勘違いしちゃうよ?俺めっちゃ動揺したけど、今のアンナちゃんめっちゃカワイイからマジで期待しちゃったし」
童貞が女の子に向かってこんな風に文句垂れるのは見苦しいと分かってはいるが、女の子の気持ちが分からない以上は、直接聞くしか無い。
それが俺がこれまでの数々の失敗で学んだことの1つだ。
「ベッドで一緒に寝たかったのは・・・マゴイチくんが傍に居てくれることの有難さを嚙み締めたかったの。 さっきも少し話したけど、今日は漫才のこととか戸田っちのこととか色々あって、それで夏休みにマゴイチくんと仲直りする前までのこととか思い出したり、最近はマゴイチくんが何かあると直ぐにアンナに相談してくれることとか、アンナのこと
「そっか。 萬福軒から帰ってくる時、なんか悩んでるっぽい顔してたけど、そんなこと考えてたんだ。 俺こそアンナちゃんの気持ち分かってあげられずに早とちりしてごめん。 でも・・・童貞ってこんな風にすぐ勘違いしちゃうからさ、大目にみてね?」
「ぶっ、分かった。 でもアンナも処女だもんね。男の子の気持ち分からずに勘違いさせちゃうようなこと言っちゃってたんだね」
「そうだったね、1年4組の処女担当だもんね」
「それはヤメテ。マジで笑えないから」
「ごめんごめん。んじゃ、ベッドで一緒に寝よっか!」
「うん♪」
アンナちゃんはツインテールに結っていたヘアゴムをあっさり外して、先にベッドの布団に潜り込んだので、俺は部屋の照明を消してからベッドの空いたスペースに体を潜り込ませた。
アンナちゃんの気持ちを聞かせて貰ってて、もしかしたらアンナちゃんは寂しかった10代前半の時間を今取り戻そうとしてるんじゃないかって思えた。
他の男に気を許してしまったアンナちゃんの自業自得と言えるが、そういう状況に追い込んでしまった原因は俺にもある。浮気されたと言いふらしてアンナちゃんを孤立させたのは他でもない俺自身だし。 だから、アンナちゃんが楽しい青春の時間を今取り戻そうとしているのなら、俺は出来る限り協力したいと思った。
二人で布団に入り少しばかり緊張しつつも、しんみりとそんなことを考えていた。
とは言え、気持ちはそう割り切れても、童貞の性欲はそう簡単には割り切れないのも事実。
俺のベッドは特別大きいサイズでは無いし、俺の図体はデカイ方だ。
布団の中に二人で寝転ぶと、抱き合ってるわけでは無くとも狭いし密着する。
「さっき、色々綺麗ごと言っちゃったけど、やっぱこうやってマゴイチくんと一緒のベッドに入ると、すごくドキドキするね」
「あーうん・・・っていうか、俺、トイレ行ってくるわ」
「えー、お手洗い行きたいなら先に行っといてよ」
「いや、男の子にも色々あるのよ・・・そこは察して責めないで・・・」
「あ、そっか・・・ごめん」
◇
トイレでコトを済ませて、無事に下半身の平常心を取り戻した俺が部屋に戻ると、アンナちゃんは笑顔で「おかえり」と言って、掛布団を捲って俺を迎え入れてくれた。
部屋の照明を暗くすると、意図せず事故を起こしかねないと思い、机の照明だけは点けて真っ暗にはならないようにしておいた。
「っていうか!いつもみんなが泊まった時とかどうしてたの? そういう時だってエッチな気分になったりしちゃうことあるんでしょ?」
「それ聞く?言わないとダメ?ちょー恥ずかしいんだけど」
「聞きたい!アンナこういう話、友達とかとしたことないし教えて教えて!」
「そりゃーまぁ、お風呂に入ってる時とか?朝とかいつも俺が一番に起きるから、トイレ行ってとかシャワー浴びながらとか?ってなぜ俺はこんな話をしてるんだ!?」
「へーほー、結構頻繁にそーゆーことあるんだ。 っていうかマゴイチくんって超モテるくせに、そーゆーとこはすっごい真面目なんだね。 ふつー女の子が泊まりにきたりしたら手を出すんじゃないの?アリサとかなら喜んで受け入れてくれそうだし、アッコ先輩なんて逆に襲ってきそうじゃん。 ってアンナが言えた義理じゃないけど!」
「マジで今のアンナちゃんほど言えた義理が無い女は居ないな。 さっきあれだけ語ってたばかりだっつうのに、マジで頭おかしいんじゃないの?ってレベルで支離滅裂だぞ」
「怒っちゃった?」
「そういうところがアンナちゃんらしいやって思うけど、怒ったりはしないよ」
「アンナらしいってどーゆーところが?」
「あざとくて、甘え上手で、カワイイから許せちゃうところとか」
「うふふ、ありがと♪」
「いや褒めてないんだけど。むしろちょっとは俺の気苦労を察して自分自身を見つめ直して少しは反省して今後の俺との付き合い方を改めて欲しいと俺は切に願っているんだけど」
「なにそれ!?いつものちょーメンド臭いマゴイチくんに戻ってるんだけど!?アンナのトキメキ返して!?」
「いや俺はただ友達としてアンナちゃんとのこれからの付き合いをより良くする為に常日頃から感じていることを今こそ言うべきだと勇気をもって苦言を
「えーアンナ頭わるいから難しいこと言われても、わかんな~い」
ベッドの布団の中で二人ともうつ伏せになり時折肩や太ももがくっ付く距離で、スマホをいじったりしながらダラダラとお喋りしていた。
先ほどは、アンナちゃんの楽しい青春の時間を取り戻すお手伝いがしたいと考えたが、こうして二人でくだらないお喋りする時間は、俺にとっても凄く楽しくて、過去色々あってお互いが本音を晒し合った二人だからこそ築くことが出来た関係なんだろうなと、少し眠くなった頭で考えていた。
「あー、やっぱ楽しいなぁ。 なんかね、今思ったんだけど、アンナとマゴイチくんの今の関係って、幼馴染だよね?」
「言わんとしてることは分かるけど、そうかな? でもそうなのかも?」
「小学校からの付き合いで、中学の間は離れちゃってたけど、今はこうして何でも話せるし、恋人じゃないけど一緒のベッドで寝てるし、アニメとかに出てくる幼馴染そのものじゃない?」
「うーん、幼馴染っていう定義に決まった物が無いとも言えるし、自分たちで『幼馴染です』って宣言しちゃえば、それはもう幼馴染なのかも?」
「じゃあ決めた! 『アンナとマゴイチくんは幼馴染!』 ついでにアッコ先輩も!」
「アフロはついでなんだ」
「そうそう、アッコ先輩はアンナが処女のことバラしたしマジむかつくけど、可哀想だからお情けで幼馴染に入れてあげるの」
「じゃあアリサ先輩は?」
「アリサはダメ。小学校違うし幼馴染に入れてあげない。 あ!そだ、さっき写した写メ、アリサに自慢してやろっと」
「それは止めた方が。アリサ先輩マジ切れするとシャレにならないよ?アフロなんて何度もマジ切れさせて締め落されてたし」
「そうなったら、マゴイチくんが守ってね♪」
「それはムリ。 アリサ先輩の恐ろしさを舐めたらアカンよ」
「もう遅いし、グルチャに貼っちゃった♪ うふふ」
アンナちゃんが楽しそうにそう言った瞬間、俺のスマホの通話着信音が鳴った。
画面を見ると、案の定アリサ先輩からだ。
「マジかよ・・・絶対怒ってるパターンじゃん」
「出て出て!」
「なんでそんなに楽しそうなんだよ。やっぱイカレてんな、アンナちゃん」
仕方ないので、ため息を吐きながら通話アイコンをスライドさせると
『もしもし!マゴイチどういうことよ!なんでアンナと二人でイチャイチャしてんのよ!二人でナニしてるの!?今ドコにいるの!マゴイチの部屋なの!?ソコにアンナも居るの!?なんでこんな時間に二人っきりなのよ!どういうつもりよあの小娘!次あった時ぶっ殺す――――』
耳がキンキンするのでスマホから耳を離して「アリサ先輩めっちゃ激怒してるんだけど、マジでやばそうだよ?」と言うと、「アリサの声、アンナにもめっちゃ聞こえた。夜中に声デカすぎ」とアンナちゃんは
再びスマホに耳を当て、アリサ先輩を
『もしもし?アリサちゃん?落ち着いて聞いてくれる?声デカすぎて近所迷惑になるよ?』
『マゴイチ無事なの!?大丈夫?アンナと如何わしいことしてるんじゃないの!?』
『そんなことしませんよ。 写メは遊んでただけですよ。今度アリサちゃんとも写メ撮りましょうね』
『ホント?私とも写メ撮ってくれる?』
『ええ、勿論ですよ』
『じゃあ、今日は許す・・・』
『それは良かった。 じゃあ遅いから切りますね』
『あ!ちょっと待って! もう一回呼んで!』
『あいあい。 おやすみ、アリサちゃん』
『ぐふふ、おやすみ、マゴイチ♡』
「ふぅ、なんとか機嫌直してくれた」
「なんてゆーか・・・マゴイチくんとアリサって二人だけの時っていつもこんな感じなの?」
「そうだね。最近は二人の時はいつもこんな感じだね」
「あの猛獣並みのアリサがマゴイチくんと二人の時だけは、完全に乙女になってるんだね・・・凄いわ」
「アリサ先輩だって女の子だし、そんなもんでしょ?」
「まぁそうなんだけど、あのアリサをそんな風にしちゃうマゴイチくんが凄いんだって。改めてマゴイチくんの恐ろしさが身に染みた気分だよ」
「まるで俺が猛獣使いみたいな言い方じゃん。 俺ほどシャイでピュアで心清らかな少年はそうは居ないと思うんだけど」
「ナニ言ってるの?ドコがシャイでピュアなの?おっぱいのことしか考えてない屑ドーテーじゃん。 っていうか、マゴイチくんとアリサって本当に付き合ってないんだよね?」
「うん、告白されたことあるけど、ハッキリとお断りしてるよ」
「でも、今のやりとり見てる限りは、完全に恋人同士だよ? そこまでの仲なのに、なんで付き合わないの?」
「いや、それは・・・」
「前に言ってた『かわいい子は浮気する』とか言ってたのが理由?」
「まぁそうだね」
「・・・・」
「その話はいいじゃん。 もう寝よっか」
「うん・・・」
こうして長かった一日が終わった。
今日は本当に色々ありすぎて疲れていたから、一度目を
翌朝、目を覚ますと、アンナちゃんが俺を抱き枕の様に抱き着いてて、アンナちゃんの柔らかい感触に俺の下半身は早速平常心を失っていた。
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