7部 学校祭スターット!
#56 幼馴染の思い出作り
少しだけ時間を遡って6部スタートです。
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「マゴイチ、漫才やるからネタ書いてよ」
9月中旬。
俺んちにいつものメンバーが集まった時に、就職先が内定したばかりのアフロが突然言い出した。
「ん?俺とアフロで漫才やるの? 人前に出るとかすげぇ嫌なんだけど」
「違う違う。漫才やるのはウチとアンアンのコンビ。マゴイチはネタを考える担当」
「え!?アンナもそんな話聞いてないですよ???」
「だから今話してるの。 アンアン、学園祭でウチと漫才やろう。もう申し込みしといたからさ」
「待って待って!え?学園祭!?申し込んだ!?どーゆーコトですか!?」
「ウチらの学校の学園祭で、体育館でフリーステージの時間があるの。 事前に申し込みしとけば一組5分使えるのよ。 いつもはバンドとかダンスとかカラオケとか出て来るんだけど、去年もその前も観客とか結構集まって盛り上がってたよ」
「いやいやいや無理です!無理無理!アンナそんなの絶対無理ですよ!」
「えー?いーじゃんやろーよ。ウチがボケ担当するからアンアンはツッコミ担当ね」
「はぁ?なに勝手に決めてるんすか!無理っつってんじゃないっすか!ナニこのセクシーブス!ヤリ過ぎて脳みそドロドロになってんじゃねーの!!!」
「お?いいね~!そういうツッコミが欲しいのよ。やっぱツッコミ担当はアンアンしかいないな。マゴイチもアリサもそう思うでしょ?」
「そうね。ボケはアフロでツッコミがアンナっていうのは間違いないわね。バカなアフロにはツッコミは無理だし」
そう言う優木会長も属性的には完全にボケ側だと思うが。
「アリサは黙っててよ!ツッコミがイヤとかそういうコト言ってるんじゃないんですー!ステージに上がるのがイヤなんですー!」
「えー?いーじゃん。一度ステージに上がれば度胸つくよ?陰キャぼっちから卒業出来るよ?」
「まぁブスのアフロと可愛いアンナちゃんのコンビっていうのはビジュアル的にもインパクトあって面白そうではあるな。 やってみたら?アンナちゃん可愛いし、また人気出るかもよ?」
俺は、敢えて爽やかイケメンスマイルをアンナちゃんに向けて、諭した。
「ぐぬぬぬ、また出たイケメンスマイルからの『可愛い』発言。 的確にアンナの弱点突いて来るとはイケメン恐るべし」
「学校じゃウチら学年違うし滅多に顔会わせなかったじゃん? アンアンと高校での思い出が欲しいんだよね~」
「むぅ・・・そんなん言われたら断れないじゃないですか。 はぁ、分かりましたよ。やりますよ、アッコ先輩と漫才」
「おぉー! やっぱなんだかんだ言ってアンアンってチョロいな!」
「はぁ?チョロいとかアッコ先輩やっぱムカつく!やっぱり漫才止める!」
「うそうそ、そういうボケだってー」
こうして、アフロに巻き込まれる形で俺も漫才のネタを書くことになった。
ネタにするテーマは任せると言うので、いくつか思いついた物をメモに書き留め、更にそれぞれのテーマで何かネタになりそうなエピソードやアイデアが思いつけば追記を加えたりして膨らませつつ、2つのテーマに絞って書いて、最終的にドチラのネタにするかは二人に選んでもらうことにした。
そして、もう1つ俺が拘ったのは、ツカミの挨拶。
素人漫才は兎角ウケない。
見てるコッチが恥ずかしくなるくらい寒いことも多い。
そしてスベって無言となった観客からのプレッシャーも相当な物になるだろう。
逆に、ウケれば観客の反応が追い風になり、更に調子が上がる。
だから、素人漫才はステージに出て来て初っ端から掴む必要がある。
多少強引なくらいがいいと思うな。うん。
ということで、この日の夜にツカミの挨拶の案を書いてみたメモを二人に見せた。
因みに優木元会長は、懲りずに焼き肉たらふく食べすぎて既に俺のベッドでダウンしている。
「ほうほうほう、なるほど。オモロそうじゃん」
アフロには好感触の様だ。
「んーっと、 『Gカップ』で~す? 『Fカップ』で~す? 二人合わせて『ドリルおっぱい』で~す?ってこんなん出来るかぁ!!!」とアンナちゃんは叫んで、俺の書いたメモを丸めて床に全力で叩きつけた。
「因みに、アフロがGでアンナちゃんがFね」
「ボツだし!!!ふざけてんの!?」
「まだコレはジャブだし、次の案はコレね」
俺は2つ目の案を書いたメモを渡した。
「ほうほうほう、コレもオモロそうじゃん」
アフロには好感触の様だ。
「んーっと、 『ボインボイン』のアフロで~す? 『ボインボイン』のアンアンで~す? 二人合わせて『ボインボイン』で~す?ってボインボインうるせぇーよ!!!」とアンナちゃんは叫んで、俺の書いたメモを丸めて床に全力で叩きつけた。
「ボインボイン言う時は、両手で自分のおっぱいを持ち上げる様にしてね」
「ボツだし!!!ボインボイン言わないし!」
「あれ?コレ自信あったんだけどな、ダメだった? じゃあ次はこっちで」
俺は3つ目の案を書いたメモを渡した。
「あははは、コレ、オモロイじゃん」
アフロには好感触の様だ。
「んーっと、 『3年2組のビッチ』で~す? 『1年4組のビッチ』で~す? 二人合わせて『ヤリマンズ』で~っす?ってコレ喧嘩売ってるよね???アンナ今確実に喧嘩売られてるよね?マジで買うよ?おぉん?」とアンナちゃんは俺の胸倉を掴んで威嚇してきた。
「気に入らないのならアンナちゃんだけ『1年4組の処女ビッチ』でもオッケー」
「いやビッチのままじゃん!処女とか処女じゃないとかよけーなお世話だし!!!そーゆーこと言ってんじゃないの! バカなの?ねぇバカなんでしょ?頑張って勉強して西高行ったのにバカなんでしょ?」
「お?いいね~!そういうツッコミが欲しいのよね」
「アッコ先輩は黙ってて!このイケメン、マジで1回シメとかないとダメなんだし!」
やっぱりアンナちゃん怒らせるのって楽しい。
「なにヘラヘラしてんのよ!だいたいマゴイチくんだってドーテーじゃん!このイケメン屑ドーテーがッ!」
「童貞のナニが悪い。そもそも俺の場合は敢えて童貞を守り童貞で有ることに誇りを持つ云わば童貞界の貴公子、いやプリンス? そんなプリンスの童貞は何にも代えがたい尊い物なんだぞ?」
「いやマゴイチ、高校入って彼女作ってイチャイチャラブラブして童貞卒業したいって言ってたじゃん」
「こらバラすなアフロ」
「うわ、きっも!ドーテーきっも!自分でプリンスって言っちゃうとことか超ナルシスきっも!ジイシキカジョ~のドーテーきっも!」
「くそ!自意識過剰扱いされるのを何より恐れている俺の弱点を的確に突いてきやがるとは、1年4組の処女ビッチ恐るべし!」
結局、ツカミの挨拶はシモネタ禁止となってしまった。
この頃から学校では料理部での学校祭の準備も本格的に始まり、家では漫才のネタを考えたり漫才の練習に付き合ったりと、2学期には新しく彼女を作ろうと考えていたことも忘れてしまうくらい忙しい日々がスタートした。
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